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天界バイトで全言語能力ゲットした俺最強!  作者: 新田 勇弥
14章 英雄期II 賢者への途編
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328話 魔導兵器 吼える

30万ユニーク戴きました! ありがとうございます。

 どういうことだ?


 上空を飛ぶ、上級(アーク・)魔術師(ウィザード)の指令があったにも拘わらず、連隊司令の反応がない。先程焦れて伝令を出した。


 それから刻々と時間は経つが、100ヤーデン程下の陣には反応がない

 やはり、あれを無視して、あくまで戦端を開くつもりか?


 おっ、紅い腕章をした兵が、下から戻ってきた。


「伝令、伝令! 戻りました」

「ご苦労! 司令はなんと?」

「ただいま領都に問い合わせ中。よって作戦に変更なし。各自予定の行動を取れ」


 むうぅ。


 いくら、通信魔導具が配備されているからといって、一々お伺いを立てていては、対応が遅れるなど、下士官でも分かることだ。

 連隊は、あの参謀長が赴任して来てから変わった。組織が腐る時は頭からというが、我が連隊もそうなのか?。


「中隊長! あの魔導師に従わねば軍法違反に……」

 副官の言はもっともだ。だが第2大隊長の言葉が、頭を過ぎる。我が中隊が独自に引けば、戦列は瓦解する。


「分かっている。だが我々は、司令の命令に従う義務がある。作戦通りなら、あの陣地から発砲がある。第1射したら、すぐに駆け付けるぞ」

「「「はっ!」」」


 そうこうしている内に超獣(キュロス)は速度上げ、対岸の地面に刺さった赤旗の列を超えた。秘匿兵器の匣、それが陽光の下でも視認出来るほど、蒼く、そして鈍く輝いていく。


 魔導兵器──


 あの匣から漏れ出す不気味な力場が最高潮に達した。

 その刹那、匣から幾十条もの光が飛び出した。

 眼に止まらぬ速さ! 蒼く弧を曳いて超獣へ飛ぶ。

 一拍遅れて空気との擦過音耳に届いた


 箭を放った黒い匣。

 多連装魔導弩。制式名称、(アズル・)(フレッチャ)

 陸軍研究所開発局が作り出した秘匿兵器。


 秒を待たずして蒼箭は超獣に殺到。

 いくつもの魔閃光が弾け、遠雷のような爆音が轟く。


 やったか?!

 

 キシャャァァァアアアアアア!!!


 ちぃ! 超獣は健在だ……いや、効いてはいる、効いてるぞ。

 それが証拠に、巨大な体躯をのたうち回らせている。その度に、耳障りな凶声を上げる。


「おぉぉおおおおおお!!」

 遊軍の喚声が上がる。


「第一中隊前進! 急げ!」

 だが我が隊に快哉を上げる暇はない。今、撃った蒼箭の弩を再び装填させるため、この荷車をあの陣地に運び込まなければならない。


 油断するな、第1射では致命傷には至っていない。

 キュロスの歩みは止まるどころか、速度を上げたぞ。


 荷車と並行して走りながら、陣地を見る。

 何している! 匣は3つある。第2射だ! 早く撃て!


 激しい動悸がと荒い息を吐きながら、陣地に到着した。


「ご苦労、装填急げ!」


 そのときようやく左に離れた陣地から、射出音が響いた。再び空に蒼い光が弧を描いた。


 よしっ……なんと!

 轟音と共に空中が蒼く染まった。


 身を揉んでいた超獣が再び焔を吹いた。その火焔が第2射を薙いだのだ。

 突如魔導弾が空中で爆発したのだ。


 しかし、それだけでは済まなかった。

 空を焦がした火焔は、右の陣地へ向かっていく。


「総員伏せろ!」

 叫びながら、地に伏す。


 轟音が起きない。

 硫黄のような臭いが鼻を突き、肌がひりつくように熱い。

 だが炎には灼かれてはいない。

 恐々顔を上げると、信じがたい光景が見えた


 火焔が何かに遮られて飛び散っていた。


 何秒か経ったのだろうか?


 壁?

 目映い焔が途切れると、金色の障壁がそこにあった。あれが、遮っていたのか?

 そして、中心に白い人型が見えているのだが。


「上級魔術師だ! 上級魔術師が、焔を防いだ。防いでくれた」


 誰かの叫びで我に返る。

 命拾いだ、長く嘆息した。


 おおぉぉぉと喚声が上がったが、一瞬後に悲鳴に変わった。


 蒼箭の光が!

 空に弧を曳いて、上級魔術師の背に吸い込まれるように殺到していく。


 魔光が閃き、爆音が轟く。


 何てことだ!

 彼は友軍を護った。その友軍に背後から撃たれたのだ。

 救世主を自ら害したのだ。


 だが──絶望すら、突然終わりを迎える。


 地面が丸く光った。

 次々と白く燦めくと、輪の内に兵達が続々と包まれていく


 光輪が、一際明るくなると兵が消えていた。

 何だ、何が起こっている?


 小官の足下も光った。


「まっ、待て!」


 次の刹那、地に転がっていた。

 砂地? 斜面?


 思わず受け身を取ろうとしたが、頭から水に落ちた。


 全くの混乱の中で、必死で藻掻くと、いつの間にか水際に居た。

 次々上がる水音に振り向くと、何人もの兵達が砂の斜面を転がっていた。そして水へ落ちて、音を上げる。


 はっ? はっ?


 なにが起こっているのか、全く理解できない。

 できないが、生存本能だろう。気が付くと巻き込まれないように岸から上がっていた。数歩歩いて、その場にへたり込む。


 はっ! 超獣!

 どこだ? どこに行った?


 居ない。どっちを向いても姿が見えない。

 はぁぁ。助かったのか?


 いやいや!

 あの黒煙はどうした?

 硫黄が燃えるような臭気は?


 ガクガクと揺れる膝に活を入れて立ち上がる。周りには何百人もの友軍兵がいた。

 砂の小山の周りに、水堀のような物があった。

 落ちたのは川じゃない。


 その頂上に次々と人が湧き、斜面を転がってくるのだ、


「大丈夫ですか?」

「あっ、ああ」

 見たこともない制服の兵だ。濡れていない。

 よく見ると、同じ制服が何人か居て、我が旅団の兵を水から引き上げている。


「きっ、貴官は、どこの隊の者か?」

 見ればまだ若い。

「ラングレン騎士団です」

 騎士団?


「ここは、一体どこなんだ?」


   † † †


 飛行魔術で川を下っていくと、超獣の姿が見えた。超獣の後方で火の手が上がっている。


 軍は? あれか!

 川の右岸に数百ヤーデンに広がり、兵が動いている。陸軍の陣地だ。

 超獣との距離、既に500ヤーデン程しかない。


音響(ソノ・)増厖(エムプリファ)!!】


「オリヴィエイト駐留連隊に告ぐ!!」


 自分の鼓膜が痛くなる程の音量。しかし、止めるわけに行かない。

 流石に気が付いたのか、兵達がこちらを見上げている。


上級(アーク・)魔術師(ウィザード)の職権に基づき命ずる。直ちに撤退せよ! 繰り返す直ちに撤退せよ!」


 ジリジリと時間が過ぎる。

 ちぃ。やはり言うことを聞かないか。


 むぅ。

 陣地内で、急速に魔圧が高まった。


 なんだ、箱?

 スードリが言っていた居たヤツか。


 すると箱が割れるように上部が開くと、幾筋も蒼い光が飛んだ。

 魔導兵器、弩か!


 放物線を描き、超獣に向かう。

 魔力が一気に拡散──爆発だ。


 キシャャァァァアアアアアア!!!


 むぅ。

 超獣が、悶えるように暴れ出した。

 超獣の魔導障壁は破れてはいない。寸前で阻まれた。よって、致命打にはなっていないが、それなりに効いている。

 同型の箱が後2つ。


 どうする?

 見守るか……いや強制的に止める!


深甚(シラマナ)


 俺の周りから光が失われ、時が減速した。

 額がチリチリと痛みを上げながら、位置を合わせ込んでいく。


 相対座標算定! 

 数百の行列式が唸りを上げて脳内を駆け巡っていく。


 刮目──


 第2射か、蒼い曳光が閃いた時、それを赤黒い焔がそれを迎え撃った。

 超獣が吐いた炎──


 まずい!

 頭が急に冷えると、無秩序にうねくる焔の帯が、数秒後にどうなるかが見えた。


 超獣を弾き飛ばすか?

 いや。


 一気に降下しつつ、自らの魔導障壁に魔力を注ぎ込む。

 地上すれすれで停止。

 陸軍陣地を背負って、展開した金色の壁が、うねる炎の帯を間一髪で受け止めた。

 超獣を弾き飛ばして発生する無秩序な焔より、俺は身を挺することを選んだ。


 熱い!

 焔は防げても、輻射熱が完全に遮断出来ていない。耐えること……実際は10秒もなかっただろう。しかし、いやに長く思えたが、ようやく途絶えた。


 だがその刹那、背後が輝いた。

 蒼く──

お読み頂き感謝致します。

ブクマもありがとうございます。

誤字報告戴いている方々、助かっております。


また皆様のご評価、ご感想が指針となります。

叱咤激励、御賛辞関わらずお待ちしています。

ぜひよろしくお願い致します。


Twitterもよろしく!

https://twitter.com/NittaUya


訂正履歴

2020/11/07 くどい表現削除

2020/11/07 脱字訂正

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