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天界バイトで全言語能力ゲットした俺最強!  作者: 新田 勇弥
11章 青年期VIII 新世界編
229/472

222話 新世界

新世界よりと言うとドヴォルザークですが。彼の人は乗り鉄だったそうですね。

とある音楽家が、第4楽章がSLの走行音にインスパイアされてとTVで言ってましたが、さもありなんですね。

 光が止み眼を開ける。


 重力──

 空間の歪みを感じて足下を見ると、蒼く巨大な球面があった。


 惑星だ。

 ガス状ではなく、岩石系。

 陸地だけでなく、海に、大小の島々、それに雲も浮かんでいるし、大気もしっかりあるようだ。


 残念ながら俺が居た惑星ではない。直径が1割程小さいからな。照らしている光源(恒星)を見る。

 やはり放射スペクトルが違う。


 どこかに──

 全天を見回してみる。魔感応が恐ろしい程のスピードで情報を処理(FFT)していく。

を、何十万の輝点にそれらしき恒星(スペクトル)は見当たらない。 

相当遠くに来たのか……。


 改めて足下の惑星に、意識を向けると魔力を感じる。動物だ。どういう惑星なんだ。


───君の任地だよ


 姿はないがテレパシーが来た。


───はっ? 審査官 一体ここはどこなんです 俺が居た星系ではないですよね


───ははは 星系ね。君らが居た銀河と同じ宙域にある虚数空間だよ

───並行世界 新世界 君が亜空間って呼んでいるやつと基本的には変わらない


 亜空間? こんな大規模なものが存在するのか。


───それはともかく あれは(エー)256星系第2惑星 固有名は未登録

───住人は自らが惑星に立っているとは 認識していないからね。


───人間が居るんですか?

───居る居る よく似てるよ でっ 君はここで神アズダーになって貰う


───はっ? 何言ってるんですか? 神なんか成れるわけないでしょ!

 全く理解がついて行かない。


───大丈夫 大丈夫 君が知っている本当の神じゃない この星の伝承にある神だ


───ああ 流石にラルフ君も ここのことは知らないよね 支部の管轄外だし。


 俺の目の前に小さな光が生まれると、すっと変位して俺の中に吸い込まれた。


 おわっ!

 知晶片の時と同じように様々な情報が入ってくる。一瞬驚いたが、以前よりは整然と記憶される。アストラル体だからか?


 ふう。随分長い時間が掛かった気がするが、実際には数秒の出来事だ。


 アズダー:ਏ256星系第2惑星現地民の神名、光の神格。

 有翼で眩い白色光を発する姿か。


 光の神格というと、光神(アマダー)と同じと考えて良さそうだな。


───それで 俺はアズダーになって 何をすれば?


 荒唐無稽すぎて、呆れるばかりだ。


───この星における人類をとある災厄から5日間護ってくれれば良い

───災厄って何です?


───あぁぁ……それは言えないことになってるんだ 悪いね


 やはりソーエル審査官発の話じゃないということだな。


 それにしても。


───災厄は何かは言えないけど 君なら事前に気が付く 間違いなくね


───気が付くねえ 天使が下界に介入することは 禁じられているはずですが

───だから君がやるんだよ


 そう言う問題じゃないだろう


───ああ あと 護るときはアズダーの姿でやってね 頼むよ


───むう 


───じゃあ そういうことで 魔収納だっけ それに必要そうな物を入れて置いたから 終わったら いつものように こっちに来た数秒後に戻すからさ よろしくね!


───おい ちょっと待て!


 テレパシーが完全に不通になった。

 丸投げか!

 大体、災厄って何だよ?


 天変地異?

 それとも超獣?

 伝染病など疾病、蝗害というような病害虫の可能性もあるが。 


 何か分からないかと、改めて惑星を見る。人も居るってことは、陸で暮らしているのだろう。

 魔感応に魔力を込めていくと、生物の密度が朧気ながらに見えてくる。

 ある程度大きい生物反応に限定すると、あの辺りか。


 でかい川の河口付近。人口が高くなるであろう場所だ。星は変われど習俗は変わらないということか。


 空の上で悩んでいても始まらない。行ってみるか。


勇躍(リープ)!!】


 瞬時に地表に転位した。

 全く発動に抵抗がなかった。上級魔術だったが魔力の消費もほとんどない。

 本当に行使したのだろうか、自らそう疑う程だ。


 時刻は昼。

 海に向かって乾燥した風が吹いている気がする──触感ではなく、魔感応経由。どうも視覚以外の感覚が希薄だ。


 右が港、左は赤茶けた土の大地に低い草が生い茂る丘陵の斜面から上に町がある。

 なるほど。もらった知識によるとフォルトスという国らしいが、さほど治安が良いわけではないようだな。良ければ分ける必要はないからな。


 何か体感のないまま丘陵を昇っていく。まるっきり人魂だな。


 見えた都市か。差し渡しざっと500m位か。

 って、度量衡の意識が前世に戻っている。なんでだ? まあどっちでも問題ないが。


 近付いていくと層状になっている土肌がよく見えてくる。

 粘土を突き固め、築いた城壁。


 あっちが門だな。

 城門の前に、荷車と牛に似た何か、そして人間が並んで居る。

 相当近くまで寄ってみたが、こちらには気が付かない。見えないようだ。


 ミストリアの人族に──いや、エルフに似てるな。確かアルフェン族だったな。概ね細身で背は俺と同じぐらいかやや低いぐらいだな。耳は張り出しているが細くはない。麻と毛織物の服を着ている。


 音も無く、歩くでもなく進み。入城待ちの列を横目に見ながら城門へ。

 人が多く擦れ違うのを煩わしく思うと、不意にこのままと城壁を見ると、走るより早く交錯し、そして透り抜けた。


 肌がざわっとした。

 物体を擦り抜けたが余り良い気分ではない。次から城壁は上を越えることにしよう。


 少し進むと、路地から通りに出た。

 おおぅ。人、人、人だ。

 狭い通りの両脇に延々と並ぶ露天商の間に、人間がひしめいている。こんな狭いところに千人は超えている。


 通り沿いの建物は、日干し煉瓦で作られた2階建てまでの低層建築。着衣の縫製技術などから言って、文明程度はミストリアの数百年前というところか。


 とりあえず、災厄が何かを探らないとな。

 どうやって?


 人はいくらでも居るが。

『災厄って何ですか?』

 そう訊くか?


 いやいや。まあ、なんだこいつって訝しがられて、無視されるのがオチだな。

 俺の星のように超獣っていうわかりやすいのが居るなら、話が早いが。


 まあ考え過ぎてもしょうがないからな。訊いてみて反応を見るか。

 訊いてみて?


「…………」

 やはり声が出ない。肉体がないから空気が振動しない。当然か。

 じゃあ、魔術で振動……いやいや。姿がないのに声だけというのは恐いだろう。


 外見を作るか。

 もう一度路地に戻る。


光託身(リーンカナティオ)!】


 まずは電磁場で疑似実体を製作。あとは……見た目を現地人アルフェン族に合わせるべきだが、耳以外はそのままでいいはずだ。俺も痩せてるからな。


擬人装(マスケラーレ) (レヴォルブ)!】


「ローザ、アリー、セレナ……」


 よし! いつもの声によく似ている。誰かに話しかけてみよう。

お読み頂き感謝致します。

ブクマもありがとうございます。

誤字報告戴いている方々、助かっております。


また皆様のご評価、ご感想が指針となります。

叱咤激励、御賛辞関わらずお待ちしています。

ぜひよろしくお願い致します。


Twitterもよろしく!

https://twitter.com/NittaUya


訂正履歴

2019/10/05 少々加筆

2019/11/10 転移→転位

2022/08/01 誤字訂正(ID:1346548さん ありがとうございます)

2025/05/03 誤字訂正 (ferouさん ありがとうございます)

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