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天界バイトで全言語能力ゲットした俺最強!  作者: 新田 勇弥
10章 青年期VII 非番と冒険編
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210話 古代のなぞなぞ

お待たせ致しました。今日から投稿を元のペースに戻したいと思います。


さて長崎へ出張してきたのですが、業務の合間にグラバー園へ行ってきました。生憎旧グラバー住宅(あそこで一番有名な建物)が修理中でした。ふと思い出した、姫路城も、東照宮も行ったら修理中だった。むぅ・・・巡り合わせが悪いなぁ。


古代のなぞなぞ、スフィンクスのやつ有名ですよね。

「ここまできて、袋小路か」

 30ヤーデンも進んだところで、坑は突然細り、見る間に先がなくなった。


「御館様! ご覧の通りです」


 いやいや。誰も気が付かないのか?

 おっ!

 バルサムが気が付いたようなので、手を挙げて止める。


「致し方ありません。戻りますか?」

 うん。トラクミルは戦士だ。微妙な魔界には気が付かないよな。

 しかし、ゼノビア。お前は魔術師だろう。


「あのう……」

 俺とバルサムが行動を起こさないので(いぶか)しんだようだ。


「あっ! もしかして、どこかに抜け穴があるとか!」

「ゼノビア。勘は悪くないが。それだけでは魔術師は務まらないぞ。この辺りに怪しい部分がある。時間が無い、1分で探してみせろ」

「はい! 副長」


 んんん……。

 どんどん時間が過ぎていくが、全く見当違いの場所を探っている。


「うんぅぅ」

 焦って唸りだした。これは見つからないなと思った時。


「ワフッ!」

 セレナが右の壁の前に鎮座し、軽く吼えた。


「えっ? 何、セレナ。そこなの?」

 あぁぁ。

 ゼノビアが腕を突き出し、魔力を込めた手で右の岩壁を触った。


「ん? んん! 何これ?!」

 壁が鈍く輝き、丸い模様を浮かび上がらせた。


「うーむ。初めて見る形ですが、紋章ですかな?」

 いや、紋章じゃない気がするが。

 古代文字が、紋様の丸い縁の内周に並んでいる。


「古代文字か……」

「分かるんですか? 副長」

「いや、こんな呪文は見たことはない」

「ですよね……」

 バルサムが首を捻り、覗き込んだゼノビアが肯く。トラクミルは見切っているのだろう、最初から他人事のようにしている。


 バルサムが横に避けたので、前に出て壁表示の全容を眺める。その途端、いつものように頭の芯が冷える感覚に襲われた。


「これより先に進まんと欲する者は、我が問いに触って答えよ……か」


「やっぱり御館様は読めるんですね?」

「邪魔するな、ゼノビア」

「へーい」


「御館様。その問いとは?」

「ああ、ここに書いてある。暇……? 暇から生まれ、だな。暇から生まれ、多くの者が眼を開く場所はどこか? そう書いてあるな」

「流石修学院! ああ、あっ、済みません」

 んん?

 ゼノビアが首を縮めて恐縮する。


「コホン。して、御館様。その答えは?」

「さあ……」

 首をひねる。何か一瞬引っ掛かるものが……。


「バルサムは?」

「私も分かりかねます。ほら、お前達も考えろ!」


「いやあ。御館様が分からないのに、分かるはずが。ねえ、トラ?」


 トラって、トラクミルか。

 そうだ。この女、何となくアリーと似ているところが有るな。


 しまった。何か浮かびかけていたことが飛んだ。


「むう。確かに答えは分かりませんが……」 

 トラクミルは不審そうな表情でなにか言い掛ける。


「なによぅ?」

「笑わないでもらいたいんだが」

「もったいつけないで、早く言いなさいよ!」

「あっ、ああ。何やら、なぞなぞに似てる気がしてだな」

 なぞなぞ。


「馬鹿なんじゃない、トラは! なぞなぞって、古代人がなぞなぞを出す訳ないでしょ! アハハ……」

「だから、笑うなって言っただろ」


「ゼノビア!」

「ハハハ……。ああ、すみません。何でしょう、お館様?」

「なぞなぞかも知れないぞ」


「えぇぇええ! なぞなぞですか?」

「なぞなぞ……皆で考えるんだ」


 問題文も気になるが。もっと気になるのは、その内側だ。

 円が描かれ、その内側に古代文字が並んでいるが、ほとんど意味が分からない。

 分かるのは、”はい”つまり肯定と”いいえ”の否定だ。あと数字も順番に並んで居る。

 順番に?

 不自然だな。文章ではないのか? それに重複している文字がない……。


「はあ、目を開ける場所って言えば、寝室! ……いや、トラ! そんな目で見るなら、あんたこそ、なんか答えを言ってみなさいよ!」


 んんん……。

 まずはそっちだ。

「ああ、さっきゼノビアが言った言葉の中に、何か引っ掛かる言葉があった気がするのだが。もう一度言ってくれ?」


「えっ、私なんか言いましたっけ?」

 ふざけた顔が、バルサムに睨まれて真顔に戻る。


「ええと。古代人が、なぞなぞを出す訳が……」

「もっと前だ」

 困惑した顔になる。


「えっ、えーと……ああ、お館様にわからないことは」

「もっと前!」

 半泣きになる。

「私、何って言った? トラ!」

「俺に振るなよ。うぅんん、あっ! そう言えば、流石何とかって」


 ゼノビアが眉間に皺を寄せる。

「流石? 流石、流石……ああ、流石修学院。って、そんなわけないでしょ!」

 またしても、頭が冷たくなった。

「それだ!」


「はっ? 修学院ですか?」

「いや。答えは、学校だ!」

「学校?」

 俺は答えを知っていた。答えは学校だ。


「おおぅ。そう言うことですか。なるほど」

 バルサムも気が付いたようで肯く。

「どういうことですか? 副長」

 彼は一瞬鬱陶しそうに顔を顰めたが、俺が肯いたので語り始めた。


「つまり、人間は学校に通うことで蒙を啓かれる」

「ああ、目を開けたっていうのは、世の中のことが見えるようになるって意味ですか。そうですよね?」

 バルサムじゃなくって俺に訊いてきた。

「ああ」


「でも、暇から生まれたっていうのは?」

「学校と言う言葉の語源は、討議する場所だ。学問の討議をする者は、日々の仕事に追われない余裕を持った者。よって、古代語で学校と暇は同じような言葉になっている」


「へえぇぇ。流石、御館様」

「いや、ゼノビアの言葉に、何か引っ掛かったんだ」

「もしかして、お役に立てましたか?」


「ああ。トラクミルのなぞなぞという言葉も参考になった。だから、いつでも誰かに頼るだけでなく、自分でも考えることを止めるんじゃないぞ」

「はい。分かりました。トラも返事!」

「えっ!? はい!」

 トラクミルは、ちゃんと考えていた気がするがな。


「答えが学校だったとして、どうしたら、先に進めるのでしょう?」


「学校! 学校! ……うーむ、反応ないか」

「ゼノビア。言うにしても、古代語じゃないと駄目なんじゃないか?」

「トラめ……知ってたら言ってるわよ! 御館様。お願いします」


「触れと書いてあるから、声に出しても駄目だろうな」

「では、どの様にすれば?」


「こうするらしい」

 頭に降霊盤(ウィジャボード)と言う言葉と使い方が浮かんだ。


 盤の隅にあった、三角と丸が組み合わさった図形(カーソル)を触ると、そこが光った。

 それをずらして行き、カーソルの丸の中にਸに合わせる。

 指を外すと、ਸの文字が光った。

 次は、ਛ。その次にਹへ合わせていく。ਓ、ਲ、最後はਏだ。


 ਸਛਹਓਲਏ(スコレー)


 その文字達が一瞬眩く光って、降霊盤ごと消えた。

 代わりに、床が光った。転送陣紋章だ!


 この術式──

 意識がそちらに向かいかけたとき、うわっと誰かの声が聞こえた。

 暗闇の場所に転送された。


 魔感応にも何も反応しない。

 俺一人か。


 とにかく、何も見えないのをなんとかしないとな。


光輝球(ルーメナント)!!】


 んん?

 煌々と辺り一面眩しくなるはずが、蛍が光っている程度明るさだ。見上げると、光の球体があるにはあった。魔術は一応発動している。

 確かに魔束の透りが悪かったが……どういうことだ。


 投入する魔力を増やしていくと、なんとか明るく。いや薄暗くなった。

 魔術が効かないのではなく、効きづらいのか。

 それでもなんとか、ぼんやり周りが見えた。


 クゥ…………

 おっ、セレナが居た。

 不安そうな声音を上げて、俺の傍らで纏わり付く。

 肩から背をなでていて、愕然とする。


 真っ暗闇だったとは言え、わずか10ヤーデンも離れていないセレナの気配にすら気が付かなかったのか。いつもは意識せずとも、屋敷の隅々にどこに誰がいるか分かるというのに。


 周りを見回す。

 がらんとした何もない空間。

 明かりは、指呼の距離で途絶え見渡すに至らない。床は見えるが、壁はおろか天井すら見えない。


 照明魔術にもっと魔力を、そう思ったときだった


───ここで魔術を行使するとは 名を訊こうか!


 声が頭脳に直接響いてくると、ぼうと床が明るくなった。

学校:schoolスクールの語源は、ギリシャ語の暇:σχολή(スコレー)だそうです。


お読み頂き感謝致します。

ブクマもありがとうございます。

誤字報告戴いている方々、助かっております。


また皆様のご評価、ご感想が指針となります。

叱咤激励、御賛辞関わらずお待ちしています。

ぜひよろしくお願い致します。


Twitterもよろしく!

https://twitter.com/NittaUya


訂正履歴

2019/08/24 ウィジャボードの説明を加筆

2025/05/24 誤字訂正 (コペルHSさん ありがとうございます)


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