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天界バイトで全言語能力ゲットした俺最強!  作者: 新田 勇弥
10章 青年期VII 非番と冒険編
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202話 言の葉の力

先に申し上げますが。新田の文章が劣化した(たどたどしくなった)わけじゃないんですよ……

【オゥ ズァダ 来タノカ】

 振り返る。顔見知りコボルト、だ。


【アア ドゥアス オマエモカ?】


 そう。仲間言ってた。ここ天使様居ると。

 だからここ、ツァルク来た。並んで広場に入る。


 居る居る。コボルトばかり。初めてだ。こんなたくさん。みんな天使様見に来た、のか? ああ、ドワーフだ。


 広場の端。土、盛り上がっている。誰もいない。

 まだか?

 天使様どこだ?


 誰だ? 騒ぎ出した。静かできないのか? 天使様来たらどうする。


 そのとき。上で音。鳥か?

 人だ! なんでだ。人間飛んでいる。


 天使か? 天使様なのか?


 俺達の上、ぐるぐる飛ぶ。土の盛り上がり降りた。


「オォォォォォォ……」

 いつの間にか俺叫んでいた。

 みんな、叫んでいる!

 大きい、大きい、怒号だ。


 おお、頭の後ろ光ってる。天使様だ。間違いない。


【コボルトの民よ、よく集まってくれた。礼を言う!】


 なんだ?

 人間の声。だけど、俺達の言葉、だ! 信じられない。


 あちこち唸り声だ。

 どうした?

 周りのコボルト、地面に伏せた。


【天使様! 天使様!】


 皆、祈ってる。俺も祈ろう!

 天使様、天使様。唱える。


【まずもって言っておく。我は神や天使にあらず。人族である!】


 ざわつく。

 何て言った!?

 天使じゃない?

 わからない。人間は鳥違う。


【先程。空を飛んだのは、魔術を使ったのだ。我は魔術師だ!】


 魔術、魔術師! そうなのか?

 コボルト魔術師居る。でも飛べない。


【そっ それ見ろ! 自ら天使であることを否定した! 我々は騙されたのだ!】

 誰だ? ドワーフだ!。

 うるさいぞ。


【我が天使でないと知って落胆した者は、気の毒だった。ただ折角来たのだ。少し話しを聞いてくれ】


【聞くな! 聞くんじゃない! 悪魔の言葉だ!】


【5年前、コボルトとこの土地に住む人間の諍いを止めたのは、我だ!】


 そうか。皆言っていた。だから天使様だと。

 静かになった。

 よくわからない。


【だが、この土地に今でも居るのはコボルトと人間が協力しているからだ! しかし、他の土地ではそうなっていない】


 そうだ! 俺居る場所、人間と諍い、多い。


【人間だ! 人間の所為だ! コボルトよ武器を取れ! 人間を斃せ!】

 武器?


【帰るところがある者は、幸いだ! ……だが】

 俺は無い、無いぞ!

 どうすれば良い?


【無い者は聞いてくれ。我はどうすれば良いか知っている】

 おお!


【聞くな! また欺されるぞ!】


 なぜ? このドワーフ、駄目。あの人族信じれる。


【ここ、スワレス領の隣。ラングレン領では大理石鉱山で働く者を、欲している】


【ッテ、天使様! コボルト デモ イイノカ?】

 誰か? 訊いてくれた!


【もちろんだ! 人間だろうと、ドワーフ、コボルトだろうと関係ない。給料は、働きぶりと、技術のみで決められる!】


 息荒くなる。熱い。


【ソレハ 本当カ?】

【嘘だ! そんな話は聞いたことない!】

【ドワーフ 黙レ! 俺 天使様 言葉聞ク!】

【俺モダ!】


【我の名を憶えよ! ラルフェウス・ラングレン、ラルフだ!。我が父は領主だ! その息子が保証する!!】


 天使様は、領主息子、なのか?!

 ラ、ラルフェ……ウス。


【俺 ヤル! 働ク!】

 大声だ。自慢だ。天使様こっちを向いた!


【よし! ラングレン男爵領まで来てくれ。東へ30ダーデンだ】


 おおぉぉぉぉ!


【俺モ 俺モ働ク】【俺モ!】【俺モ!】【俺モダ!】…………


 俺だけ、じゃない。沢山、コボルト手挙げた。


【なぜだ! 人間には、何度も酷い目に遭わされただろう。なぜ信じるんだ!?】


 そうだ。その通りだ。

 どうして天使様。いや天使様、じゃない、人族だ。なぜ人族、信じられる?


 分からない。だが、疑いない。


【言ってみろ!】

 ドワーフ怒った顔。


【言葉ダ!】

 ああ、そうだ。自分で言って。気が付いた。


【言葉だと?】


【人ナノニ コボルト言葉 話シタ】

【それが、どうだと言うんだ?】


【人ハ コボルト 言葉 話サナイ! 卑シイ 思ッテル 話ソウ 思ワナイ】


 そうだ! 天使……ラルフ……様は、憶えて話してくれた。

 コボルト蔑まず、対等! そうだ!対等話してくれた。信じられる。

 だから、信じられる!!


【むぅ!】


【ラルフ様 コボルト ノ 味方ダ!!】

 オォォォオオオオ!


【黙れ 黙れ 黙れ!】


 ドワーフ、どこから出したのか。棍棒振り上げた。

 悲鳴上がる。

 ああ、アレで。俺殴られるんだ。

 目瞑った。


【アッ、アア?】


 眼開ける。

 何故か、棍棒短くなってた。だから、叩かれない。でも、どうしてだ?


【オオ! ラ、ラルフ様ノ 奇跡ダ!】

【奇跡だ】【奇跡だ】


 ラルフ様。助けてくれた?


【争いを持ち込む者は、立ち去れ!】

 ラルフ様だ!


【くっ くっそう!】

 棍棒だった物、投げ捨て。ドワーフ逃げていった。


【コボルト達よ、ラングレン領で働こうとする者は、あそこに居るドワーフが先導する。一緒に行ってくれ!】


 違うドワーフだ。

 ああ、行かなくては。俺働くぞ!!


     †


 ふう。

 俺は舞台を降りた。

 数百人が、俺が指差したドワーフの元に集結していく。


「なんだ、バロック。何がおかしい?」

 壮年の男は、恐そうな顔を歪めつつ笑っている。


「いやあ、信じてはいやしたが、また奇跡をこの目で見ることになるとは、震えがきやした!」

「なんのことだ?」


「5年前も、コボルトを取り込みやしたが、今日もより多くの者を。ラルフ様は、修学院でやしたよね。そりゃあ上級魔術師って分かってはいやすが。アッシ思うんでやすが、神職に成られやしたら成られやしたで、聖人様にも成られるんじゃないかってねえ、思うんでやすよ」

 得意そうに腕尾を組むと、何度も肯く。


「俺は神職なんか向いてない」

「そうは思いやせんがねぇ。ですが、ラルフ様。頭の上、金環が光ってやすぜ……神職なんざ、まどろっこしい。天使なんかどうでやす?」


 不敵な笑い


「天使は虫酸が走るんだが」


 ふと、言葉になった。

 何時嫌いになった? が、天使と聞くと背筋がぞわぞわする。


「それはいけやせんな。おっと! アッシの考えなんか、どぅーでも良いことでやした」


 ふん。


「ああ、ここらから先は、アッシの仕事でやす。エルメーダで、あいつらを迎える準備をしないと。後はお任せ下せやし。コボルト500人集めて、配下のドワーフを通訳と動員して、ちゃんとコボルトを働かせてみせやす」


「頼むぞ。俺はいつまでもこの地に居るわけにはいかないからな。それと親父殿とバロックには、そうだな……挨拶ぐらいはできるようになってもらうぞ。もちろんコボルトにな」


お読み頂き感謝致します。

ブクマもありがとうございます。

誤字報告戴いている方々、助かっております。


また皆様のご評価、ご感想が指針となります。

叱咤激励、御賛辞関わらずお待ちしています。

ぜひよろしくお願い致します。



Twitterもよろしく!

https://twitter.com/NittaUya


訂正履歴

2019/07/20 細々訂正

2022/08/01 誤字訂正(ID:1346548さん ありがとうございます)

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