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天界バイトで全言語能力ゲットした俺最強!  作者: 新田 勇弥
10章 青年期VII 非番と冒険編
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194話 世の反応

良いときは持て囃し、逆境になれば掌を返すのが世の中ですよねえ。特に人気商売は厳しいなあと思います……って、この小説とは関係ない話でした。


10章の開始です! 引き続きよろしくお願いします!

 呼び出された王宮から帰って来た。まあ無事だったと言えるだろう。

 

 今日は夕刻から祝勝会だ。

 騎士団員を公館に集める。ほぼ全員集まったので40人以上いる。


 広間にテーブルを出して、料理とエールの杯を並べる。

 団員やドリスさん始め、最近雇ったメイドや執事が一緒になって準備してくれた。


「では、御館様よりお言葉を戴きます」


「ああ、楽にして聞いてくれ。先日出動した皆はご苦労であった。俺をよく補佐し、負傷した民を救い、作戦遂行を支援してくれた。礼を言う。それから出動から漏れた者も、次回に向け、厳しく訓練していたと聞いた、嬉しい限りだ。それから執事やメイドの皆も充実してきたからな、今の準備のようにしっかり連携を取ってやってくれ」


 ふむ。まだ表情が硬いな。


「それでだ。今月の月番は解除となった。ああ、喜ぶのは早いぞ。来月6月はまた月番だ。非番が8日程短くなったということだ」


「何、それだけ多く働けまする!」

「ははは、トラクミルは働き者だな。まあ、休暇は随時取ってもらうが、非番と言えど訓練はやってもらう。バルサムが今から楽しみにしているそうだ。が、今宵は忘れて大いに食べて飲んでもらいたい。以上だ」


「ありがとうございます。さて、本日王宮にて国王陛下ならびに閣僚の方々ご臨席でお会いしたが、御館様が絶賛されたぞ」

 おおぉと響めきが上がる。

「ああ、ダノン」

「はい」

「それは違う。陛下は俺に向かっては居たが、団員皆をお褒め下さったのだ」


「はっ! そうですな。それから超獣の魔結晶を献上したので国家危機対策委員会から報償金を戴いた。これは何と仰っても御館様の手柄に相違ない。しかし、格別の思し召しを持って、皆にもお分け下さる」


 倍する響めきが起こった。現金なものだ


「出動した者は20ミスト、待機だった者も15ミストだ。今夜配るのは物騒ゆえ明日配るものとする。」


 20ミストォォ!!!

 また大きくざわつき、興奮が高まった。


 ダノンとバルサムの言った通りか

 実はもっと多く出そうと思っていたのだが、彼らに窘められた。多すぎる報償は為にならないと。バルサムに至ってはそもそも自分や団員に分け与える必要すらないと言っていたからな。とは言え俺が独占するわけにもいかない。嫉妬が行き過ぎると組織が崩壊する。


 一般団員の報酬は、年平均で100ミスト程だ。月収の2ヶ月以上に相当する。十分か。


 あと幹部とサラには50ミストずつ配った。エリザ女史達、光神教会から派遣された者達は受け取らなかったので、教会に喜捨することとした。あと金の掛かりそうなスードリと騎士団にも合議の上分割した。残りはモーガンに渡した。


「さてさて、余り待たせては辛いであろうからな。宴を始めさせてもらおう。よろしいかな? では、乾杯!」

「「「乾杯!!!!」」」


 宴は盛大に。騎士団で誰が一番強いか!? などの話題でも始終盛り上がりつつ、和やかに夜半まで続いた。


     †


「おはようございます」

「ああ、おはよう。ん? どうしたローザ?」

 かなり嬉しそうにしている。


「お食事されるときに、わかりますわ。まあ、どこを見ていらっしゃいます? 違います!」

 まさかと思い、ローザの腹を凝視したが、身籠もってはいないようだ。


 身支度して貰い食堂へ降りると、アリーとサラが居た。

 テーブルには茶が出されていたので、朝食は済んだのだろう。


「おはよう」

 席に着く。

「おはようございます」

「おはよう。ラルちゃん」


 アリーは業務中以外では、やはりそう呼ぶことにしたようだ。器用なことだが、アリーに御館様とか言われると背中が痒くなりそうだから、この方が良い。


 アリーが何やらニコニコと笑い出した

「ラルちゃん、これ見て!」

 隣で、サラもうんうんと肯いた。

「ああ」

 差し出された、新聞を受け取る。


 ふむ。スパイラス新報紙だ。


 デカい見出しが躍る。

 上級魔術師ラルフェウス卿、大殊勲!!

 初陣にて超獣を昇華させることなく斃す大快挙!!

 将来の賢者候補に名乗りを上げたか。


 まあ、お褒め戴くのは嬉しいが、昨日の今日だ。余り軍を刺激するのは望ましくないのだが。


「よかったねえ、ラルちゃん」

「おめでとうございます」

「ああ、ありがとう」


 アリーが俺の顔を覗き込む。

「なんだか余り嬉しくなさそう!」

「そんなことはないぞ。特にここだ。ラルフェウス卿が率いる騎士団では、回復魔術師を正規団員とするとともに、臨時で薬師を帯同しており今回の出動では、100人を超える被災者が救われた。お陰で、同騎士団が現地に着いて以降、超獣による死者は出なかったとある。これは凄く嬉しいな。アリー率いる救護班とサラのお陰だな」


「エへへへ。そうかなあ」

 珍しくアリーが真っ赤になっている。

「私はともかくアリーさんは、凄く働いていらっしゃいました。この位の賞賛は当然です!」

「サラまで」

 身悶え始めた。


「ただ、この救護班帯同は大きな改革だ! というところは、昨日聞いた話からして軍を刺激しますね」

「ああ、そうだね」

 アリーも真顔に戻る。


「それにですよ! こんなに詳しく、しかも早く情報が新聞に出回るのは、不自然だとは思いませんか?」


 うむ。流石サラは鋭いな。


「おお、そうだねえ」

 慌てて肯いたアリーを訝しそうにサラが見る。

 アリーは、スードリと以前から仲が良いからな。裏で暗躍していることを知っているのだろう。


「確かにな」

 軽く答えてみた。サラは俺の顔をじっと見ていたが、何か感じるところがあったのか、そのまま黙り込んだ。


 ローザとマーヤが食事を運んでくれたので食べ始める。


「ラルちゃん、非番はどうするの?」

「2、3日したらエルメーダへ行こうかと思っている」

「ああ、そっか」

「エルメーダというと、お父上様の新領地ですよね」

「ああ、そうだ。サラ。何なら、2人とも連れて行くが」

 横に座ったローザが肯く。


「あぁ、アリーちゃんは救護班の増員を進めたいから、いいや! 行ったら行ったで気を使いそうだし。大変だよね、お姉ちゃんは」

 そうなのか?


「私は薬作りが立て込んでいますので。今回は遠慮します」


「分かった。サラも余り根を詰めないようにな。ガルには言っておく」

「ああ。いえ、はあ」

 微妙な反応だな。後でガルと話したらどっちかというと、無理をしがちなのはサラの方らしい。真面目だからな


 朝食を済ませ、公館へ赴く。

 擦れ違いざま壁際に控えて居る執事に声を掛ける。

「ああ、ニールス。ダノンはどこへ行った?」

 ギルドの紹介で新しく雇った公館付の執事だ。


 訊いたのは、魔導感知ではダノンの反応はなかったからだ。


「はあ。家宰殿は……30分前にお見かけしましたが。館内にはいらっしゃいませんか?」

「居ないな」

「恐れながら。お館様は、つい先程渡り廊下から入って来られたのでは?」


 その通りだ。疑うのも無理は……

 ずいと横に人影が乗りだした。

「旦那様を誰だと思っているのですか?」

 あぁ。ローザ、眉が吊り上がっているぞ。


「しっ、失礼致しました」


「ヘミングも居ないが」

「はい。ヘミングは1時間ほど前に出掛けました。行き先は……聞き漏らしました」

 きっとダノンと一緒だ。気になるな


 うーむ、ダンケルク家から紹介してもらった執事と同じ水準を望むのは無理か。頼りになる者も反応がないところを見ると、一緒に出掛けたか。まあ、打ち合わせは、昼からだったから良いのだが。何かあった気がするが。

「ヘミングが出掛ける前に誰か来なかったか? この1時間ぐらいの間だ」


「ああ、そう言えば。トラクミル殿が来ました」

「トラクミルか」

 ふむ。どうやら、訓練場に行ったようだな。トラクミルの反応もない。


「わかった」

 彼と別れ執務室へ入った。


     †


 昼前に、ダノンが帰って来た。

「お館様。ただいま、戻りました」

 後から執事のヘミングも入って来た。

 25歳らしいが、なかなか人物ができた男だ。

 最初は公館付として紹介してもらったのだが、最近では実質ダノン付執事に成りつつある。まあ、ダノンは忙しいからな。色々の人と会い、交渉し調整する。


「うむ。訓練場に行っていたのか?」

「はい。バルサムから呼び出しがありまして、行っておりました」

「お館様。失礼ながら行き先は、ニールスに申し残して参りましたが」

 だろうな。その点ヘミングが失念するとは考えにくい。


「あの者に問いましたが、聞き漏らしたと申しましたが」

「申し訳ありません。奥様。よく言って聞かせます」

「そのように」


「それで、バルサムの用件とは?」

「連絡騎士団への入団希望者が30人程来ておりまして」

「30人もか……で、種別は?」


「残念ながら、普通科です。その場で、追加募集をしていないことを宣告はしたのですが……」

 今欲しいのは、回復系魔術師、薬師、医師だ。

 普通科、つまり戦士は現状多いとは言えないが、騎士団としてはこれ以上増やす必要が乏しい。


 そもそも団員は多ければ良いというものではない。この辺は兵隊と同じで、多ければ行軍が遅くなる。糧食も必要だし給与も増える。国からの補助金も有限だからな。

 午後からのダノンやモーガンとの話は、金の話だ。


「そうだな、救護班の員数が増えて、その警備やら支援業務が増えていけば、別だが」

「はい。しかし、どうしても、その武芸を見てもらうだけでもと粘られまして」


「うむ。で、訓練場に詰めかけているということは、一般人ということだな」

「はい。それで、あちらの方は」

 そう言って、ヘミングが5、6通はある書状の束を見せる。


 横でローザは頭を振った。


「貴族か?」

「ええ、伯爵の末子、子爵の弟をはじめとしまして……従者込みで入団させよと」

「ダノン殿、そちらも戦士なのですか?」

 ローザが一応という感じで尋ねる。


「ええ、皆様そうです。軍の方は狭き門ですからな。ウチが与しやすしと見えるのでしょう」

 箔付けしたいのだろう。貴族で実力があれば、士官学校へ入ってるだろうからな。


「しかし、もう書状はうんざりです」

「どうかされましたか? 奥様」


「ああ。本館へも、書状が届いていてな」

「そうなのですか?」

 ダノンが少し身を乗り出す。


「ああ、側室への売り込みだが」


 なるほどと言う顔で、2人はローザを見た。

お読み頂き感謝致します。

ブクマもありがとうございます。

誤字報告戴いている方々、助かっております。


また皆様のご評価、ご感想が指針となります。

叱咤激励、御賛辞関わらずお待ちしています。

ぜひよろしくお願い致します。


Twitterもよろしく!

https://twitter.com/NittaUya 


訂正履歴

2020/02/16 誤字訂正(ID:1523989さん ありがとうございます)

2021/05/11 誤字訂正(ID:737891さん ありがとうございます)

2025/05/03 誤字訂正 (ferouさん ありがとうございます)

2025/05/24 誤字訂正 (コペルHSさん ありがとうございます)

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