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天界バイトで全言語能力ゲットした俺最強!  作者: 新田 勇弥
9章 青年期VI 騎士団旗揚げ編
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187話 非常事態

水曜日は投稿時刻が一定しなくて恐縮です。


いつも通りと油断していると、いつか牙を剥いてやって来ますよね、非常事態ってのは。

備えて居るつもりでも、軽く乗り越えてきますしね。

 明けて5月5日。

 親父さん達が王都館へ行く日だ。

 叙爵に関わる移動なので、都市間転送を使えているはずだ。問題ないだろう。


 他に今日の予定は……。

 午前中には、超獣がペルザント卿の新造陣地の前を通過する見込みだ。

 先程、上空からの偵察で、その彼らの読みの確かさに感心したばかりだ。その後、新造陣地を訪問したが、既に作戦準備中ということで面談は叶わなかった。俺に対する申し送り状と言う名の指令書を受け取って帰ってきた。


 昨日の午後、俺達は本営を分け、少数を率いて新造陣地から南へ2ダーデン程の放牧地に駐屯した。

 こちらに来ているのは、俺を含めて7人と聖獣セレナだ。それ以外の大部分の騎士団員はストラバリの町に残り、救護活動を継続している。


「お館様、ご帰還です!」

 トラクミルの声が野営地に響くと、皆が出て来て整列した。バルサムは居ないがキビキビとした動きだ。


「うむ。楽にして聞いてくれ。ペルザント隊の作戦は本日10時を以て開始される」

 あと1時間半程だ。皆の顔に緊張が(よぎ)る。


「彼らは、超獣の南下に対して、東から攻撃することで西へ西へと進路をずらし、領都への到着を遅らせることを企図している。つまり時間の程は確定されないが、作戦通りであれば超獣は、ここの西側を通ることになる」

 少し(どよ)めいた。


「我らは、想定通り後詰めをすることになった。よって、今のところ、移動する必要はない。作戦開始時間まで待機だ。その後、進行状況に従って、別途指示する。想定1、西に流れた超獣を傍観。想定2、ここが超獣の進路至近となった場合だ。その場合、ペルザント隊の作戦が失敗したことになる。地下壕と、それぞれに障壁魔導具があるからな、そこまでは及ぶことはないと思うが、最悪は撤退だ。何か質問は?」


「はい!」

 女魔術師が挙手した。

「ゼノビア!」

「はい。想定2の場合、お館様はどうされるのですか」


「超獣を空から攻撃する。他は?」


 見回すが反応は……ゼノビアは俺と視線が合うと顔を背けた。

 何やら不満があるようだ。


「では、別命あるまで待機」


 皆が解散していった時。

「ゼノビアさん!」

 ローザが声を掛けて、2人で俺から離れていった。


 5分ほどして、天幕にローザが帰ってきた。何事もなかったような風だが。まあ任せておくか。


 10時5分前。

 偵察のため、上空に舞い上がる。

 超獣は想定通り、ペルザント卿の新造陣地の脇を抜けていく経路を通って居る。


伝声呪(パルレ)!】

 

「フロサン、聞こえるか?」

『はい! お館様様。音声明瞭です』

 ここは高度200ヤーデン。周りには鳥すら居ないが、すぐ側にフロサンが居るように聞こえる。


「俺は、そちらの南1ダーデンの上空に居る。そちらはどうだ」

『上空ですか?! ああ、失礼致しました。先程、配置に着けとの号令がありました。大尉(ペルザント)殿と魔術師の方々の準備が整っているはずです』


「わかった。何かあれば教えてくれ!」

『了解!』


 ふむ。フロサンが言う通り、極僅かながら魔力放射を感じるが、その源は2箇所に別れている。

 旗?

 感じた地点の近くで、白い布が振られた。あれで意思疎通しているのか……夜はどうしているのかな?


 ここなら遮る物がないからわかりやすい。このまま、観戦するとしようか。


 10時だ。

 超獣は陣地のまだ手前だから、戦闘は始まらない。

 ここだと角度悪いからな。


 15分経過。

 やっと近付いた。

 赤い旗が振られた。手前の陣地の魔界強度が上がっていく。


 数十秒後、えらく時間が掛かったが、何条もの眩い火線が瞬いた。


 緩やかな放物線は、ゆったりと蠢く巨体を捉える。しかし、いや予想通りか。火線は弾かれた。超獣の角鱗に届く以前に魔術炎は射線を変える。


 超獣の反撃はない。

 そう。超獣も、この後の主役の攻撃を待ち構えているのだろう。


 ん?

 んん?


 超獣はゆっくりとは言え……新造陣地の横を、通り過ぎていく。

 進路とペルザント卿の陣地を結ぶ線の角度が鈍角に替わっていく。


 どうした? なぜ攻撃しない?

 このままだと、進路をずらす効果が喪われていくぞ!

 早く撃て!

 なぜだ? 何を待っている?


 まさか、待っているのではないのか?


「フロサン! 何かあったのか? ペルザント卿は?」

『わっ、分かりません? 分かりませんが、大尉の陣地が騒々しくなっています!』


 やはり何かあったのか?

 放置はできん。

 足下に向く。


「騎士団前衛隊、セレナ! 聞こえるか?」


『ワフッ!』

 送信の魔術が使えるセレナから返信が来る。


「非常事態だ! 念のために地下壕に籠もれ!」


 土魔術を駆使し、10ヤーデンの深さまで構築してある。

 無論そこまで、超獣をやる気はないが!


『ローザ 護る!!』


『お館様!』

 ん?

 新造陣地からだ


『やはり何か変です……あっ! スードリ殿……ドケぇーーー』


 フロサンか? 何だ?

 争うような音が聞こえる

「なんだ、どうした?」


『お館様、スードリです。ペルザント卿が倒れました、セザール殿!!』


『こっ、これでラルフェウス卿に聞こえるのか? わっ、わかった!! ラルフェウス卿!』

「聞こえている!」


『ああ、大尉は人事不省状態と成られました!』


「人事不省?! 回復は?」

『わっ、分かりかねます。大変恐縮ながら、規則に基づき我が隊の指揮権を委譲致します!』


 なんたることだ!

 上級魔術師が任務遂行が困難になり、別の上級魔術師が居合わせた場合、後者に指揮権を委譲しなければならない。その規則のことだろう。


「了解! スードリ、今からアリーとサラに連絡を付けろ。大至急だ!」

『はっ!』

「ペルザント隊は……別命あるまで待機! 超獣は俺が対応する。それから既にやっていると思うが、回復魔術師に、大尉の治療をさせよ!」


 状況の分からない者など率いることはできん。

 あと問題は、どうやって進路をずらすか!?

 まだ味方が近い、威力は抑えねば。


 あれか! 術式は憶えている。魔力量は、ペルザント卿をなぞれば良かろう。


 一気に降下──眼下に捉え詠唱!

 

ਥਕਬਞਧਇਧ(猛き神よ) ਮਤਇਬਰ(ああ) ਫਉਪਠਉਸਤਢਠ(ヴェントスよ!) ੳਠਛੲਡਓਗਹ(揮い) ਵਤਸ(給え!) ਪਭੳੲਧਲਭ(その) ਜਬਫਫਭਭ(黒き) ਮਕਬਕਓਤਯ(腕を!) ੜਹਵਨਹਤੲਣਟਛ(遍く) ਸਯਯਙੜੜੲ(従えんが) ੲਡਓਗਸਡ(ため) ਫਓਲਅਟਅ(黒南風)


 伸ばした腕の先、黑き珠が渦巻き膨れ上がる──狙いは超獣の左腹。


 ペルザント卿を大きく上回る魔導球が放たれた!


お読み頂き感謝致します。

ブクマもありがとうございます


また皆様のご評価、ご感想が指針となります。

叱咤激励、御賛辞関わらずお待ちしています。

ぜひよろしくお願い致します。


Twitterもよろしく!

https://twitter.com/NittaUya


訂正履歴

2025/05/03 誤字訂正 (ferouさん ありがとうございます)

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