表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/472

18話 呪文改変

ソフトウエアというか、プログラム言語習得の第一歩は、既存コードを部分的に改変して動作確認ですよね。

「ありがとうございました」


 僕は、適性検査の部屋を出た。

 少し離れた階段脇の廊下に、アリーが待っていた。


「あっ。ラルちゃん。あたし、1組になったよ。ラルちゃんは?」


「あっ、うん。1組になった」

「やったぁ!!」

 思いっきり喜んでいる。


「廊下では静かに!」

「ごっ、ごめんなさい」

 通りすがりの助祭様に叱られた。


「でも、嬉しくないのラルちゃん?」

「そんなことはないけど」

「ああ、そうか。大人になった時の仕事の話ね! 私は霊格値が高いから、巫女(メディウム)とかが良いんだって! だから言ってやったの。もう別の仕事が決まってます! それは、ラルちゃんのお嫁さん! ……って聞いてる」


 お嫁さんの下りは大事なことだが。これまでも何度も言われているので、全然驚きはしない。


「うん。聞いてる。歩きながら話そう」

 受け流して基礎学校の玄関に向かう。


 あの魔道具の呪文、面白そうだな。

 魔道具無くても、魔術として使えたら良いのに。

 ちょっと待てよ。


 大層な水晶玉だったけど、魔力の波動を感じて、強めれば良いんだよな。

 それって、魔術でできるような気がするなあ。セレナとかの念を読み取る感じで。

 あとは、結果を映す先を、金属板じゃなくて、自分に代えれば内容が見えるんじゃないかな。呪文改変、やってみるか。


ਇਕਚਮਰਮਟਡਮ(バステリウ) ਸਏਬਬਨਲ(ジェイエ) ਞਬਟਖਜ(デエム) ……」

 隣に並んだアリーが不審な顔をした。

「ねえ、ラルちゃん。さっきから何ブツブツ言ってるの?」


ਹਫਅਮਣਕਣ(サッティラマ) ਭਛਨ(ゼル) ਣਢਲਮਮਗਖਗਬ(アクメン!)


 できた!

 目の中に、文字が映る。


 氏名:ラルフ・ラングレン,性別:人族,性別:男性,年齢:192歳,知性:23,040,体力:11,200,魔力:28,160,霊格値:174,560。


 あれ?

 聞いた数字と全然違う。でたらめだ……そもそも僕が。

「192歳な訳ないだろ」

「192歳?」


「ああ、いや。うううむ」

「どうしたの、ラルちゃん。 お腹でも痛いの?」

 おっと。

「なっ、なんでもないよ」


 もしかして、何か尺度が違うのかな。

 192歳を6歳にするには……32で割れば良いのか。試しに全部32で割ってみよう。

 

 氏名:ラルフ・ラングレン,性別:人族,性別:男性,年齢:6歳,知性:720,体力350,魔力:880,霊格値:5,455。


 おお。知性から魔力までは、司祭様の言った値と同じだ。

 32で割るので合っているみたいだ。意外と簡単で良かった。とりあえず32で割るように、呪文を書き換えてっと。

 だけど、霊格値はなあ、余りにも大き過ぎるよなあ。1,000を超えるにしてもなあ。霊格値だけは、32で割るのが違っているとか?


 そうだ! アリーの能力値で確かめられるかも。


査読(アクメン)


 繋いでいた右手から、流れ込んでくる。

 視界に文字が浮かんだ。


 氏名:アリシア,性別:人族,性別:女性,年齢:6歳,知性:188,体力:127,魔力:306,霊格値:264。


 アリシアのも読めた!

 よしよし。

 でも僕程じゃないけど、霊格が100を軽く超えてる。これだけだと分からないか……。


「アリー。霊格値はいくつって言われた?」


「あぁーあ。やっぱり聞きたいんでしょ?」

 とっても嬉しそうな顔をした。

 うーむ、ただ霊格値を検算したいだけなんだけど。正直に言ったら臍を曲げそうだ。ここは。


「うん。聞きたい!」

 なんか、アリーの表情が一層緩んだ。あぁ、きっと誤解してる。


「264だって! 普通の人は、おばあさんになるくらいで、やっと100なんだって。6歳じゃあ凄いって言われたよ!」

 得意そうだ!

 それはともかく、霊格値の変換も32で割るで良いのか……。

 やっぱり僕の霊格値は本当に5,455ってこと? 信じられないな……凄いことなんだろうけど、実感がない。


 アリーの能力値を読み取ったけど……なんか、思ったより頭が良いよねって、アリーは良いけど、他人なら……なるべく使わないようにしよう。


 玄関から外に出る。

 終わった人から帰ってよしと言われていたので、校庭を抜け、道に出る。


「で、ラルちゃんは? いくつって言われたの? 霊格値」

「分からないって」

 僕は分かっているけど、そう言われたのは間違いない。嘘は言ってない。

「はっ?」

「測れなかったみたい」


 アリーが微妙な顔をした。

「そっ、そう……ラルちゃんが言うことだから信用する。あっ、だからかぁ。別の助祭さんが水晶玉を貸してって来たけど……ふーん」


 なんか、納得したようだ。


「あっ、そうだ! ラルちゃんは、大人になったら何になればいいって?」

神職(クレリック)!」

「はっ?」


「司祭様と同じ宗派の……」

「駄目! だめだよ、司祭様は!」


 司祭?

 いや司祭と神職は必ずしも同じじゃないけどね。

 アリーの中では、神職すなわち司祭(プリースト)なのだろう。

 まあいいか、説明面倒臭いし。


「なんで、司祭は駄目なの?」

「ラルちゃん。司祭様って結婚できないんだよ! 分かってる?」


 はあ?

 いや、そういうことか。

 確かに昔はできなかったそうだが……特定の修道会の修道士とか修道女を除けば、今はほとんどの宗派で結婚できる。

 とは言え、今も結婚しない司祭様はかなり多い。


 別に僕が司祭に成るつもりがないのは、結婚とは関係ないけどね。

 しかし、神職か。


『ラングレン君! 君は! 神職(クレリック)に成るべきだ! 素晴らしい、霊格を持っているんだよ。修行によっては私など比べものにならない、聖人にだって成れる!!』


 ダルクァン司祭様も、あんな言い方をしたらだめだろうに。凄い才能があるとか勘違いして、その気になっちゃうよ。いや。その気にさせたいのか。


「聞いてる! ねえ、聞いてる、ラルちゃん。絶対駄目だからね! 司祭様なんて」

「ああ、僕も成る気はないよ……司祭には……」


『神職候補生は、王都に留学して学習できるんだよ』

 司祭様の言葉が、引っかかっていた。

皆様のご評価、ご感想が指針となります。

叱咤激励、御賛辞関わらずお待ちしています。

ぜひよろしくお願い致します。


Twitterもよろしく!

https://twitter.com/NittaUya


訂正履歴

2018/2/2 ラルフの体力 誤250→正350 ,アリーのパラメータの並び(Knight2Kさん,ありがとうございます)

2019/10/18 誤字訂正(ID:855573様ありがとうございます。)

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ