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天界バイトで全言語能力ゲットした俺最強!  作者: 新田 勇弥
9章 青年期VI 騎士団旗揚げ編
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176話 良い運動に……

最近少し体重がリバウンド気味。なんか、関節に負担が掛からなくて、時間が掛からず、痩せられるって、運動無いっすかね(あるわけないって)。

「なっ! 何と仰った? アルザス殿」

 ダノンが少し声を荒げた。


 対して、ふふんと小馬鹿にするように嘲笑するアルザス。

「不都合がある! そう申した。つまり、このままでは、こちらに我が人員を派遣できないと言っている」

 このままでは……か。


 何か仕掛けて来そうだとは思っていたが、そう来たか。

 こちらの騒ぎを察して、ゴーレム馬を見ていた候補達も戻ってきた。


 声が聞こえたのだろう、5人同士で顔を見合わせると、年長のフロサンが代表して話しかけた。

「アルザス様。どういうことでしょうか?」


 問われたアルザスは、顔を動かさず目だけで見遣る。

「参与様より代理を仰せつかっている。ホビット風情が、黙っていろ!」

「むう……」

 ドワーフのボルソルンが怒気を露わにする。


 それを、ルーモントが腕を出して制した。

「待て待て、ああ代理殿。先程我々を派遣できないと聞こえたが」


 10歳以上年下のアルザスに敬語か。

 子爵家の一族とは聞いたが。存外上屋敷の中では高い地位にあるのかも知れない。

 そうなると上屋敷に伺ったときに従者のような振る舞いが不自然だが。あるいは俺の顔を見たかったとか……考え過ぎか。


「それが何か?」

 にべもない

「何かではありませぬ。我々は伯爵様お声掛かりで集められ、ここに参った。貴官の一存で、それを覆すは明らかに越権行為だ」


「派遣の最終確認は参与殿が預かっている。その代理たる私が駄目と判断すれば、それすなわち伯爵様の思し召しなるぞ。それとも私に逆らうのか?」

「ぐっ……」


 一理なくもない。

 伯爵様の意思がどうであろうと、一旦対外的に宣言されてしまえば、それを覆すのは大貴族として面子に関わる。よって、短期間においては自分の言が通ると思っているのだろう。

 無論、反動をその身に受けるだろう。そんな簡単なことが、分からないとも思えないが。


「何が気に入らない?」

「はぁ?」

 アルザスがこちらを向いた。


「派遣に異議を唱えるのだ、気に入らないところがあるだろう?」

「ふふふ。ラングレン卿。あなた自身が問題だ!」


「ふむ」

 ダノンの(まなじり)が吊り上がる。

「我が主人にどのような不都合があると?」


「ははは。生来嘘が付けない性格にて、ご容赦願いたい。が、申したことは本気である。音に聞こえしダノン殿はともかく。ラングレン卿は、5人の人材を預けるに足る人物とは承知しかねる」

「しかし、派遣の儀は伯爵様のご発案にございますぞ」

「承っておりませぬ」

「なんと!」


「ダノン、控えろ」

「ははっ」

「で? どうすれば認める? アルザス」

「何?」


「先程、”このままでは”と言ったではないか?」

「ふふふ……察しは良いようだな、ラングレン卿」


 さて。

 この男に何か恨まれるようなことをしたか?

 初めて会ったのは、あの上屋敷だと思うが。まあ、恨まれる方に自覚がないのは、往々にしてあることだが。


「されば、ラングレン卿自身で私と仕合い、証明されよ」

 ふむ。


「代理殿! ラングレン卿は、上級魔術師であるぞ!」

「それは、魔獣とだらだら戦う汚らわしき術であろう。武人には武人の嗜みというものがある」


 だらだらな。

 魔術師が嫌いなのか。アルザス子爵私領は、バズイット伯爵領の隣か。


「ほう。では、武人の嗜みとやらで、お相手しよう!」

 アルザスは、しめたと口角を上げる。

 余程武芸には自信があるようだ。


「御館様!」

 肯く。呼ばれて、なぜか怒っている自分に気が付く。


「御者、例の物を!」

 彼らが乗ってきた馬車の屋根から、長柄の武具を取り出すと、こちらに歩きアルザスに渡した。


 槍の被せを外すと青光りする穂先。

領都(ソノール)にその人ありと聞こえし槍の名手ドーメル殿より賜ったこの槍にて仕合わせて戴こう。異存ありや?」


 無論人を殺せる本身──

 むう……阻止しようと身を乗り出すダノンを制する。


「御館様……」


 伯爵様ご次男の家臣だな。数年前に中等学校で会ったきりだな。


「特段。では、こちらは……」

 一振りの剣を取り出す。


「木剣……だと?」

 残念ながら、あの時の火掻き棒の持ち合わせはない。

「異存ありや?」


「くう……ならば尋常に勝負!」

「応!」


 その声が消える間もなく、槍先が飛んできた。

 軽くその側面を弾いてみたが、さほど軌道がブレない。後ろで見ているルーモントがほうと唸った程だ。

 中々腰が入っている良い突きだ。十分体重が乗っている。


「ハッ、ハ、ハァァァアアーーーー」


 嵩に掛かって、何度も突き繰り出してくる。当たれば、只では済まないな


「フン! 准男爵の分際で生意気なんだよ!」

 煽り文句と共にうなりを上げて伸びる尖鋭。

 俺の顔面に三段突き──


「……なっ!」


 数瞬前、俺の頭があった所。虚しく槍が伸びきっていた。

 槍の柄の片方を左手で掴んでいた


「むっ、うう、むぅううん。はっ、離せ! 離すんだぁあ」

 力み返っているが、微動だにしない。


「はっ! さて、離すのはどちらかな?」


 アルザスの両肩に強張る。

「ううっ、ううぅむ。なんだ?! この、このぅぉぉおおお」


 ヤツの足が地を離れた。

 体躯が持ち上がっていく。支えるは、俺の左腕一本。


 おぉぉぉと、遠くで響めいた。堀の向こうから見られている


「ばっ、化け物がぁああ」

 槍が45度傾いたところで急に軽くなった。


 ううっと呻き、地に這ったヤツの首に反転させた槍を宛がう。


「こっ、この卑怯者!!」

 はっ?


「魔術を使っただろ。この卑怯者がぁ!!! やはり下賤のものらしくやり口も汚いな!」

 本身の刃を擬されながらよく言う。


「男爵様は、魔術を使って居られません!」

 大声の主はフロサンだ。


「貴様、ホビットの分ざっ、ぐぁあああ」

 槍の石突きが、アルザスを突き飛ばしていた。


「黙れ、下種」


 フロサンの方を向いて頷き合う。

 俺の怒りの原因はこれか。


「なっ、何をする??」

「それっ!」


 槍を投げ渡す。

「もう一度掛かってこい!」

「ひっ、卑怯者となど戦えるか、汚らわしい!」


「あぁぁ男爵様は、魔術使って無いし! それに魔術使うのが卑怯って、プッ!」

「だな」

 ゼノビアも認め、ダノンが肯いた


「貴様ら、グルか?! 不愉快極まりない」

 アルザスは槍を拾って、そそくさと馬車に乗って去って行った。


「男爵様、申し訳ありませんでした」

 戦士のルーモントが胸に手を当てる。


「ああいや。しばらく身体を動かしていなかったからな。良い運動に……までは行かなかったが」

「ははは……確かに」


「ほら、フロサン!」

 ゼノビアが、恐縮している男を引っ張り出した。

「あ、あ、ありがとうございます。男爵様!」


 彼は涙ぐんでいた。

お読み頂き感謝致します。

ブクマもありがとうございます


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叱咤激励、御賛辞関わらずお待ちしています。

ぜひよろしくお願い致します。


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訂正履歴

2025/04/27 誤字訂正 (イテリキエンビリキさん ありがとうございます)

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