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天界バイトで全言語能力ゲットした俺最強!  作者: 新田 勇弥
8章 青年期V 上級魔術師選抜試験編
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152話 眼に見ゆるばかりが……

眼に見ゆるばかりが世界には非ず……そうだと良いんですが。生憎(あいにく)小生は見たことも、感じたこともないですねえ。

 ああ……。

 相手がゴーレム(無生物)だと、どうにも手加減が効かん。

 通路の表面が、グズグズになってしまった。


 緊急避難だ! 割り切ろう。

 再び歩き出す。

 過剰避難だと言うヤツには、ゴーレム百体を起動するとしよう。


 ふと気になったことを訊いてみる。


【ここができた時代は、ガル達と比べてどうなんだ?】


 俺に寄生した残留思念体達が脳裏に現れ応えた。


────古いだろうな

────おそらくな ただ古いからと言って優劣は定まらぬ


 エルフ先史文明は古い方が優れている!

 俺が、そういう先入観を持っていることへの警告らしい。


 直線部分の端まで来た。通路なりに右へ曲がる。


 ん?

 しばらく歩いていると、意外な物が有った。

 左側の壁に、階段が上に向けて口を開けていたのだ。


 ここって、さっき降りてきた階段だよな。

 そればかりか、通路の前方にはうっすらと、俺とセレナが付けた足跡があるではないか。


 右に2回曲がるということは、最初とは逆方向に進んでいるはずなのに、さっき歩いていった通路に、なぜ後ろから合流するのか?

 脳が認識を拒絶する。


「ラルフ?」

 セレナも気が付いたようだ。


「ここで待っていろ」

「ワフッ」


光翼鵬(アーヴァ・ガルダ)!!】


 床から1ヤーデン程に浮かび上がると、高速に飛行し、右に曲がり、さらに右に曲がった。

 やはり前方にセレナが居るではないか。

 急減速して床に降りる。


「なぜ こっち?」

「さあな」


────なかなか面白い趣向だ!


 ちっ! ゲドはカラクリを看破したようだ

 くそっ!

「もう1回だ!」

「はっ?」


【光翼鵬!!】


 右に2度回って、セレナが居る!

 まだだ!

 1度で駄目なら繰り返してみろっだ!


 何度か階段脇にいるセレナと擦れ違って、床に降りる。


「ラルフ 大丈夫?」

「まあな」

 そう答えて歩き出す。


「どこ へ 行くの?」

「怪しいのは角だ!」


 飛んで曲がっているときに、僅かな違和感が何度もあった。

 2周目で気が付いて、3周目で確信した。


 この角はなぜ曲がっている?

 仮に空間を自由に曲げられるなら、一直線に飛んでいたら元のところに来てしまった、で良いはずだ。その方が驚きが大きいからな。


 あと。

 曲がるだけなら、直角に曲がるで問題ない。

 しかし、この通路の角は緩やかに、半径5ヤーデン位の弧を描いて緩やかに曲がっている。

 そういう意匠?

 不必要だ。


 角に辿り着き、ゆっくりと進むと、やはり微かに違和感があった。

 行きつ戻りつ、何度も確認する。


「ここだ!」

閃光(ゼノン)!!】

 床に線を刻む。


「ここもだ!」

 1ヤーデン弱進んで、線を刻む。


「ここも……ここも……」


 数分後。

 振り返ると、床には都合5本の線が刻まれていた。

 それぞれが、15度程の角度を成している。


「確かに ここ は 変! 前にも 感じた ことある」

 セレナは首を捻っているが、正解まであと少しの所までは来ている。



「鋭いな! セレナ。もし、この線が見えて居る角度でなかったとしたら?」

「意味 わからない」


「ああ、済まん。つまり、こういうことだ!」

 3本目線の延長線、角の内側に右手を伸ばすと、壁には当たらずに腕が食い込んだ。


 左手を振って、そのまま進み壁の中へ入る。


「なんだここは?」


 そこは黒かった。

 暗いわけではない。

 俺自身の身体は、発光もしていないのに鮮明に見えるのだ。


 光源がない黒い世界とでも名付けるべきか。


────妾が眠りを邪魔するは何者ぞ?


 俺以外が見えなかった場所に、突如紅き焔がうねる

 絶え間なく吹き上がりつつも、炎の中に何やら顔が現れ俺を睨んだ。


 何者かは知れないが、存在感だけは圧倒的だ。


────応えよ!


「ラルフェウス・ラングレンだ」


────名? 人間か


「ラルフ?!」


 セレナの声に振り返ったが、似ても似つかぬ姿。

 蒼白い焔だ。

 どういうことだ?


────ふん、ここも終いか

────座が高き者よ、再び相見(あいまみ)えん


 声を出す間もなく、紅き炎が窄まり消え去ると、闇の位相が変わるように世界が昏くなった。加えて発動してあったはずの魔照明が働いた。


 俺が居たのは広間だった。

 さっきまで居た、通路を引き延ばしたような。

 姿を取り戻したセレナが、こっちを見てる。


「ラルフ どうした? ずっと 止まってる」

「いや、焔は?」

「なんのこと?」


 幻……なのか。


 偽装魔術だったのか、亜空間だったかは分からないが、全く違う場所になってしまった。


「それより あれ……」

「あれ?」


 期待と共に振り返ると、大蜥蜴が居た。

 見上がるばかりの偉容なのに、感知すらしていなかった。

 そいつが(おもむろ)に顎門を開いた。


 禍々しくも朱い焔を吐く──火蜥蜴(サラマンドラ)か。

 俺を誰何した紅き者ではなかった。明らかに異なる存在だ。


 迫り来る火焔に、腕を伸ばすと至極自然に寸前で阻んだ。

 人1人焼き尽くすに過剰な熱量が渦巻いても、俺には及ばない


氷晶金剛(クリオライツ)!!】


 盾にした腕に皓き靄が渦巻き凍気が迸ると、焔すら刹那に固化した。


お読み頂き感謝致します。

ブクマもありがとうございます


また皆様のご評価、ご感想が指針となります。

叱咤激励、御賛辞関わらずお待ちしています。

ぜひよろしくお願い致します。


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訂正履歴

2022/01/30 誤字訂正(ID:1897697さん ありがとうございます)

2022/02/14 誤字訂正(ID:1907347さん ありがとうございます)

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