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天界バイトで全言語能力ゲットした俺最強!  作者: 新田 勇弥
6章 青年期III 王都1年目の冬休み編
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閑話3 巫女アリー

もう一発閑話です。

次回は7章始めます!

 まだ、アリーちゃん達が王都に来てから、1ヶ月も経っていない頃の話。


 お姉ちゃんは、あいかわらず怖いよねえ。


 ちょっと寝坊して朝起きたのが遅くなっただけなのに、20分も叱られちゃった。

 まあ、朝ご飯はしっかり食べたから、文句はないけどさあ。


 で、1人で冒険者ギルドに来てみた。

 午前中だらだらしたら駄目! そう寝坊のついでに叱られた。

 いいじゃんいいじゃん。サラっちが家事を手伝ってくれてるしと言ったら、後頭部を(はた)かれた。何気にお姉ちゃんは力強いんだから勘弁して貰いたいんだよね。


 普通なら見えなくなるように隠れるんだけど、お姉ちゃんには通用しないんだよね。

 ご飯抜きという最終奥義があるし。


 それはともかく。力なく自在扉を押して中に入る。


 にこやかにサーシャが迎えてくれたけど、長くは続かなかった。


「それで、ラルフ君はどこに?」

 やっぱりそう来たか。


「はあ? アリーちゃん1人よ! ラルちゃんは、学校に決まってるじゃん!」

「あっ……そうですよね。平日だし。午前中だし」


 言葉が丁寧なのは変わらないけれど、あからさまに落胆してるよね。いい気味だ。


「そういうこと」


 ん? 何か視線を感じる。特にお尻。


 勢いを付けて振り返ると、ロビーに居た男共が何人も顔を背けた。

 タダで見るってどういうこと! お金取るぞ!

 はあ、ラルちゃん居ないし、服はもっと大人しい目でよかったか。


 睨み付けて、サーシャに向き直る。


「ああ、アリーさん、ギルド預金を降ろすのは、奥の窓口ですよ」

「違うって! なんか依頼を斡旋して貰えないかなあぁって」


「お一人でですか?」

「ないの? 確か巫女系の依頼は、掲示板には貼られないって言ってたでしょ?!」


「はい。色々依頼者に差し障りがありますからね。ああ、良いのがあります。……あのう」

 何声を落としてるの。

 ふんふん。聞こえたらまずいと。ラルちゃんのあの魔術使いたいよね、まわりに声が聞こえなくなるヤツ。


 ああ、教会の癒やしの恵みねえ。なるほど。

 小声で答える。

「でも、アリーちゃん聖職者じゃないけど!」

「大丈夫です。ここに行って下さい。依頼料は安いですけど、ギルドへの貢献は高いですから」


 慈善事業は、大体そういう物とは聞いた。まあいいか。お金で困ってるわけじゃないし。


     †


「なかなか、魔力が強いようですね。経験は?」


 サーシャさんが言った通りの場所へ来たら、即採用された。

 いつもの回復術士の1人が不在だそうで、手が足りてなかったそうだ。


 やり方を光神教会の助祭女の人が教えてくれている。


「ああ、こういう会は初めてだけど、戦闘時や、超獣にやられて大量に怪我人が出たときとか、やったことあるわ」

「じゃあ、大丈夫ですね」

 軽いな。


「お客はお年寄りばっかりだけど、どんな回復をすればいいの? 慢性的なやつは……」

「慢性的な疾病は魔術で回復が困難なのは、良く存じています。何でも良いのです。身体活性化とか、疲労回復だけでも、皆は喜ばれます。まあ、程度は他の人を見て決めて下さい」


 ふーむ。けっこうお手軽だな。


「では、さっき見られた舞台の上で、施術して戴きますので。そちらの服と、頭巾を被って下さい」


 服は、助祭女さんと同じ……は分かる。布教のためだもんね。でも、頭巾ねえ。

 顔がほぼ隠れますけど!


「ああ、頭巾は聖職者以外の術者が、皆に顔を憶えられないようにするためです」

「はっ?」

「昔、顔出しでやっていたこともあったそうですけど、恵みの会以外、例えば道を歩いていたら、施術をせがまれたことがあったそうで」

「ああそうか、断り辛いものね。じゃあ、被ります」


 頭巾を着けて舞台へ出ると。


 げっ!

 ちょっ! ちょっと。人の列が凄い!

 100人以上、お爺さんとお婆さんばっかりいるんだけど!

 これ、みんな施術待ちなの! 本当に?


 うわぁ、お手軽とか言ってごめんなさい。

 ああ、でも術者がアリーちゃんの他に2人居た。よかった。

 これが他の人か。


 1人目のお爺さんは、頭巾してる一番向こうの術者へ行った。

 2人目のお婆さんは、真ん中の術者。頭巾してないから、(れっき)とした教会の人だね。


 アリーちゃんはしばらく観察なので人が捌かれてこない。


 えっ? ええ?

 それって、初級回復魔術……。真ん中の人は低級だ。結構派手目に、金の光子が降ってるけど、あんまり魔力使ってない。あれだけでじゃ、体力が20も上がらないけど。

 まあ、このお爺さん、お婆さん達は魔獣にやられてるわけじゃないから、回復魔術を掛けると身体の具合が一時的にしろ良くなるからね。


 とは言え、なんか少ないな。

 そりゃあ待ってる人は多いけどさあ。


 まあ、ちょっと他の人より、少し多め位でやってみよ。


『その香しくも匂い立つほどの艶やかな女神様! お願い申し上げます サナーレ!』


    †


 はあ、はあ、はあ。

 流石に疲れた。


 100人ぐらいだと思ったら、外にもまだ居たんだよね。詐欺だ、詐欺だ!

 150人くらいだった。

 アリーちゃんに回ってきたのは、50人ぐらいだったけどね。


 あれ? 終わったと思ったけど。

 まだ隅っこに誰か居る。

 おばあさんと、子供だ。

 舞台の方へ来た。

 ああ子供が怪我をしているのか。


「お願い致します」

「だめだ、だめだ。今日はお年寄りだけだ!」


 教会の人の言うことも、わからなくない。

 誰でも良ければ、冒険者とか来ちゃうし、病院の事業とか圧迫しちゃうしねえ。


 私も依頼を受けている身だから、勝手なことはできない。


 癒やしの会を終わった。

 とても良かったと褒められた。


 アリーちゃんも、やりがいは感じたよ。お年寄りにとても喜ばれたからね。

 これからも時々やっていこう。


 依頼料を直接貰って、着替えて外へ出た。

 周りにバレるほど、アリー様は間抜けじゃないよ!


 さて、ギルドへ戻ろう……あれ? あの人。


 さっき、舞台に詰め寄った、お婆さんと子供だ。

 孫かな?

 だけど、お婆さんは人族、子供はドワーフ族だ。


 何だか気になって、後を付けちゃった。


 東門外の路地を10分も歩いて、付いた。

 ん?

 小さい庭に、子供が一杯。

 孤児院なの、ここ?

お読み頂き感謝致します。

ブクマもありがとうございます


また皆様のご評価、ご感想が指針となります。

叱咤激励、御賛辞関わらずお待ちしています。

ぜひよろしくお願い致します。


Twitterもよろしく!

https://twitter.com/NittaUya


訂正履歴

2020/12/28 誤字訂正(ID:1973091さん ありがとうございます)

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