表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
楽したい男の本末転倒譚  作者: ジン
9/14

買い物3

 1つずつ檻を見ていく。檻は閉まっていて、外から彼女たちを見る。首輪だけで手枷も足枷もしていないのは、首輪になんらかの力があるからだろうか。


 ビゲルが一人一人奴隷を立たせて特技と値段を言う。ビゲルが立たせたものは例外なく戦闘が特技に入るらしい。安いもので金貨13枚、高いものでも金貨17枚だった。安いと思った。


 紹介するのがスキルではなく特技なのは、スキルを鑑定する道具がなく、自己申告で確実性にかけるためらしい。


 立ったものから鑑定していく。戦闘を特技というだけあり、戦闘スキルを持ち合わせているものが多い。もっていなくても獣人などは元から人族と比べると断然強いらしく、スキルは特訓などでも覚えることがあるらしいのでいいのだろう。


 最後の檻を見る最後の檻には一人しかいなかった。13歳ぐらいのやせ細った子供だ。不思議に思ってビゲルに聞いてみると、なんということもないというふうに喋り出す。

「こいつは少しだけ扱いづらくてですね、戦闘はバカみたいに強いんですが……なぜかよく返品されるんですよ。なので曰く付きとして安く売ってるんですよ。どうですか?返品不可の金貨一枚で大丈夫ですよ」


 色々気になったがとりあえず鑑定してみる。鑑定にはこう出た。


 アリア l.v12


 スキル 剣術 短剣術 体術 身体強化


 剣術 からだを動かすことに補正、剣を扱うことに補正


 身体強化 からだを動かすことに補正。身体強化魔法とは違い魔力を消費しない。ある程度の強さの切り替えができる。


 短剣術の効果は剣術と同じだった。一目見て戦闘に特化していることがわかる。ただこれだけのスキルを持ちながら金貨一枚なのかが気になる。とても危険な気がする。


 とりあえず保留とビゲルに伝える。


 この部屋は13歳から18歳までがいる部屋らしいので、良さそうな奴隷を何人か覚えておいて次の部屋に向かう。


 次の部屋も一通り見て、候補を絞ってからビゲルに尋ねる。

「別に買えないことはないんですが、もっと安い奴隷とかっていないんですか?怪我とかで高く売れないみたいな」

「もちろんそういう品も扱っておりますよ。しかしお客様が求める戦闘ができる奴隷には当たらないと思いましたので紹介しませんでした」

「そうなんですね、でも年齢が条件に当てはまっている子がいるなら見せてもらってもいいですか?」

「かしこまりました。こちらです」


 そう言ってビゲルは階段を下り地下まで降りていく。怪我なんてすぐ治るのでそれで安くなるなら儲けものだろうと考えていたのだが、地下に行くとその考えは改めさせられた。


 怪我の程度が俺が考えていたものよりも、断然ひどいのだ。

 最初の檻には、両腕がない目の死んでいる少女、顔面が焼け爛れて原型がわからない人、目を布で覆った片足を失った女性。見ているのが辛くなるような怪我ばかりだった。


 彼らを見ていられなくなったので部屋に目を向ける。部屋の作りは上となんら変わらなかった。奴隷の状態以外は。


 ビゲルは、俺の気持ちをよそに平然と話し始める。上で話す時との感情の変化は見られない。

「どうですか?ご希望の年齢が集められているのはこちらの檻のみですが。一応全員処女です。1人金貨1枚と言ったところでしょうか」

 そう言って俺が最初に見ていたところに案内する。


 上の子と同じ値段なことに少し驚く。もちろん上が安すぎるという意味で。


 俺はビゲルの質問を無視して尋ねる。

「この怪我はもう治らないんですか?」


 ビゲルは気にした様子もなく教えてくれる。

「回復魔法で火傷ぐらいなら治りますよ。ただ協会にたくさんのお布施を払わなくてはなりませんので……奴隷のためには払えませんね。あとはポーションとかでしょうか。これは噂ですが上級ともなれば部位欠損を治すと聞いたことがあります」

「回復魔法で部位欠損を治すことはできないんですか?」


 ビゲルは少し考えたあと答える。

「聖女さまが治したことがあると、知り合いに聞いたことがありますね」


 つまり治る可能性があるということだろう。ということは彼女たちを買うという選択肢が生まれるわけだ。とりあえず鑑定してみる。



感想お願いします。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ