霊山 狗恋山
ピピピッ!ピピピッ!ピピッ!
「うはぁ~朝か … 起きるか…」
肩も足も異常なしと …
俺がまだ土工だった頃、朝目覚めたら金縛りみたいにピクリとも躰が動かなくなった事があってな…
会社に電話しようにも手が伸ばせなくて …
どうにもならなくてな、俺が出て来ないって心配した社長が見に来てくれて、救急車呼んでくれて、ミイラみたいな格好のまま 担架で病院へ運ばれた事があった …
あの時ゃ酷い目にあったぜ …
蓄積された疲労ってやつらしいけど、あれは辛いぜ、動けねぇんだ、テロリストに拘束された気分だったぜ…
皆も気をつけてくれよ、テロにも躰にもな っ!
それが治ってから毎朝、自己身体チェックしているんだ、簡単過ぎるけれどな …
さてと、今日は朝飯食って行けるな、時間があるからな…
何時もは、朝の5:30に家を出るから、朝飯食えねぇんだ、現場に向かう途中でコンビニ寄って食い物を買って車の中で朝飯を済ませているんだ。
嫁さんが居たらな …
「はいっ、鉄治さんお弁当♪」とか…
「鉄治さん朝ご飯よ♪」とか …
そんなラブラブも、あるだろうけれどな…
独り者は辛いぜ …
朝飯は白飯に卵と納豆、それから葱を散らして醤油をぶっかけて、冷蔵庫から佃煮引 っ張り出したら食って終わり。
朝なんて、そんなもんだろ?
さて、飯も食ったし、歯磨いて顔洗って仕度をして会社に向かうか …
あぁ、そうだな、今日は仕事じゃねぇから … デニムでいいんだよな… 山って言ったら… 何だろうな?
まぁ、悩む事もねぇな…
俺は、Tシャツの上に長袖のシャツを着て、下はデニムを履いた。
折角だからと、社長に貰ったイラタカ念数を首から下げて、額に汗止めとして青いバンダナを巻いた。
昨日スーパーで買って凍らせておいたスポ―ツドリンク3本を、中に入れた物が濡れないように、先にビニール袋に入れてからリュックに入れた。
よしっ、いいな、忘れ物は無いな…
何事にも確認は大事だぜ …
確認したって抜けているのが、人間てもんだからな、愛らしいだろ?
靴は履き慣れたランニングシューズを履き 、玄関を出て部屋の鍵を閉めて、テクテクと歩きオアシス公園に差し掛かる 、辺りを見渡すけれど …
玉五郎の姿は無かった …
「まぁ、しゃぁねぇよな…」
残念だなと思いながらも会社へ向かう、角のコンビニを曲がり会社の建物が見えると 、ガヤガヤと賑かな仲間達の声が聞こえてきた。
「おはようございますっ!」
俺は、皆が話しをしている輪の手前で、一礼をした。
「鉄治~ おはよう♪ワシやっぱりワクワクして少ししか眠れなかったよ~って… 鉄治 … そのイラタカどうしたの?」
矢野さんが、俺の首に掛かるイラタカ念数を見て聞いた。
「あぁ、これは、昨日ちょっとしたハプニングつーか事故つーか、そんなんがあって … 社長が首飾っておけと渡してくれたんすよ …」
俺が矢野さんに応えると、
「ふ~ん … そうなんだ、ワシも御守りみたいにイラタカ下げようかなっ♪」
羨ましそうにイラタカを見つめ、キュ ートに微笑んだ。
「いや~鉄治の姿!懐かしいね矢野さんっ !俺がガキの頃には鉄治みたいに活がいい若い衆がイラタカ下げて解体していたっけ … ガキながら憧れたもんだ…」
「そう? それはさ、熊八の話でしょっ!ワシは、今したいなって言っているのに … 今でしょっ!今っ!」
いや、その… 参ったな …
熊谷 八雄 … 70才・職業:重機オペレータ ー・窃盗の前科有り・趣味:道具の手入れ …
「ネェ、何、ジジィ2人デモメテンノ?」
「ジミー!爺とは何だ!爺とは!」
矢野さんがムキになる
「そうだジミー!好きで取った年じゃない !少し考えて喋れよ、矢野さんに失礼だ ! 」
また熊谷さんも刺のある言い方するな…
ジミー・オレガル … 31才・海外からの出稼ぎ労働者・土工・何時もテンション高め・日本語は片言が多く意味を正しく理解していないと本人は主張している…
「あぁ~ 熊八!今、お前だってジミーに爺 って言われたのに、ワシだけ爺にしたでし ょ!お前って奴は~手癖も悪けりゃ根性も悪いんだからなぁ~!」
「今の話に手癖は関係ないですよね!どうしてアンタは何時までも昔の事にそう煩いのかねっ!」
「ふんっ!」
互いに背中を向け離れた …
「オヨヨ~爺喧嘩シテヤンノ… シッシッシ !」
ジミーは白く大きな歯を剥き出して笑った
「ジミー!お前が悪いぞ!矢野さんと熊谷さんに謝れ!」
「ヤデスヨ~ アノ2人怖ェモン …」
「怒らせたのお前だろ?謝らないならバスから叩き落とすぞ!」
「イヤ~鉄サン本当ニヤルカラ危ナイヨ、 オレ… 即死ダヨ… 解ッタヨ… 脅シニ乗ルヨ … 」
ジミーは矢野さんに向かい
「矢野ッチ… サッキハゴメンナ… オレ…日本語知ラナイカラ…爺ハ謙譲語ダト思ッテ…尊敬シテル、本当ダ誓ウヨ …」
「ジミー … そうだよな… ワシも言葉一つにムキになって、すまなかった …」
嘘っ!矢野さん涙ぐんでるよ … 謙譲語って言葉が出てくるんだぜ、日本語知ってるって!
矢野さんに気にするなと許しを貰い、背中をポンポンと叩かれたジミーは、今度は熊谷さんの所へ行き
「熊ッチ … my brother … 許シテクレ…デナイト、オレハ… オレハ… die …罪ノ意識デ死ンデシマウヨ … brother、オ願イダ… 許シテクレ…」
「ジッ … ジミー …俺なんかを、brotherって… 兄弟だってか…お前って奴は …」
熊谷さん泣いているよ!抱き合っているし !えぇ? それでいいのか?
ジミーは熊谷さんと抱き合いながらも、俺を見て、ニカッと白く大きな歯を見せ、手を握り親指を立ててgoo!とポーズを決めて見せた。
ジミー … 頭張ってやろうか… お前悪だな…
「鉄さん、おはよう!」
天野が挨拶に来た
「鉄治さ~~んっ!」
すると清が、大きく手を振り走り寄り、俺と天野の前に立った。
「ゼェ…ハッ… 鉄治さん、天野さんっ、おはようございますっ、ハッ… たっ玉五郎来ましたかっ?ハァ…ハァ…」
息を切らせて聞いた。
「いや、まだだ… 朝も会わなかったんだ… でもよ、昨日の今朝だろ?もう少し待とうや、なっ!」
「はぃ …」
清の息づかいは落ちついたが、ションボリと俯いた
「おはようですっ! 」
政が両頬に絆創膏を貼り、不機嫌そうに歩いて来た。
「政、何だ?顔どうした?」
政はムッとした態度で
「漢の勲章ですっ!別れ話の縺れでヤられましたっ!」
何て応えらいいんだ …
清々しい朝に、この重い空気 …
「違いない!それは確かに勲章だな、政! ハハハッ!」
天野が見事に空気を和ませた
大型バスが1台会社の前に止まる。
社長の考えなのか、このバスなら20人弱の仲間達と1台で一緒に霊山へ向かえる。
「よしっ、皆揃ったか? バスに乗る前に名前言って1人ずつ乗れよ 」
社長が、従業員の名前が書かれた名簿を持ち1人1人に
「おはようさんっ! 」
挨拶を交わし、名前に色ペンを引き出席者の確認をした。
従業員全員がバスに乗り終えると、最後に社長が乗り込み、バスはゆっくりと目的地の霊山を目指して走り始めた。
向かう先の霊山では
「狗恋山 」
修験者の修行場としては有名な場所で片道約2時間の道のりだ。
バスの中は、普段ゆっくり話す事が出来ないからか、皆、多弁で、まるで遠足みたいな気分になる。俺はバスの1番後ろの窓際の席に座っていた。走り出してから10分 程過ぎた頃、社長がマイクを持ち
「え~ 皆聴こえるか?会話の途中に俺の声ですまないが、ガイドだと思って聞いてくれ…」
「えーっ!社長、真奈美ちゃんは?」
従業員一同ブーイングをする
「真奈美にはな… 社長!虫刺されって痕残りますし、私、虫アレルギー体質だから山なんて行けません!と怒らせてしまったガハハッ!まぁ、年頃の娘の言う事だ許してやってくれガハハッ!むさ苦しい野郎ばかりの霊山行きだが、楽しく行こうや!なっ !それで だ、着いたら先ず霊山の中腹にある滝を目指す、修験者が修行する山だ滝に着くまで 険しい場所もあるから、皆、無理はするなよ、滝に着いたら滝の脇にある更衣室を使 い、用意してある白装束に着替え 、修験者の羽波さんの指示に従い滝行を行う、それと、霊山の云われを一応話すかな 、えぇと … 今から約1200年前修験道の霊場として修験者の多 拍道が開山した。多行者は大変な愛犬家で何時も5匹の犬を連れていたが 、ある大飢饉の年… 霊山の麓に暮らす農民達 が結託し眠り薬を入れた食べ物を多行者に 贈った…多行者は農民達の心の暖かさに何度も礼をし感謝し有難そうに口にした、然し多行者が眠ってしまった隙に多行者と共に暮らす5匹の犬達が連れ去られ、農民達の食糧にされてしま った … 犬達を失った多行者は哀しみ… 泣き叫ぶその声は、山の麓の農村へ毎夜響き渡った。犬を失ってから丁度49日目の夜、多行者の泣き叫ぶ声が聴こえなくなった… 翌朝、農民達が恐れながらも、多行者の暮らす家へ行くと… 多行者は座り姿で、頬に涙跡を残したまま亡くなっていた … 農民達は自分達の罪を知り深く反省をし、多行者と5匹の犬達を手厚く葬った… 多行者が殺された犬を恋しがり自らも命を落としてしまった事から狗恋山と呼ばれていると言う事だ… 厳かな気持ちで登ってくれよ!ガハハッ! お っ、もうすぐサービスエリアだ、サービスエリアに着いたら15分後に出発するからな、遅れるなよ!」
何か、狗恋山の伝われ… 怖過ぎないか?
清なんて涙ぐんでるぜ…
あいつ、大丈夫かな …
会社前を出発し1時間が過ぎる頃、サービスエリアに到着した。
各々に手洗いに行ったり売店で飲み物を買 ったり、喫煙者は煙草を吸ったりと休憩を取りバスへ戻った …
社長が1人ずつ名前を読み上げ点呼を取った。全員の確認が取れたので、バスは再び狗恋山へ向かい走り始めた 。
街を離れ狗恋山が見えてくると、辺りの景色が一変した。
皆の話し声や笑い声が響くバスの窓から、外の景色を眺める…
木々達の優しい緑が何とも心地いい…
空には秋の雲が拡がる …
「良い1日になりそうだな… 」
俺は微笑み呟いた …
10年前の俺なら …
霊山修行なんて参加しなかっただろうな…
世の中を恨んでいたし …
てめぇの事で精一杯だった …
笑っちまう程、クズだった …
まさか先に、こんな人生が待っているなんて思っても見なかった …
人間を信じてみてもいい…
俺が、そんなふうに思える日が来るなんてな …
アスファルトの道から砂利道に変わり、バスは狗恋山の麓の駐車場に止まった。
「皆、着いたぞ、此処から中腹にある滝を目指して歩くぞ、現段階で体調悪いやついないか? 」
社長がマイクを持ち話したが、皆、体調は万全のようで、返事はなかった。
「よしっ、いないようなので、各自バスを降りたら気をつけて登ってくれ、あっ!悪い悪い、今、狗恋山の地図と今日のスケジ ュールが載せてあるプリント配るから、必ず1人1枚持って登ってくれ、緊急時の電話番号、俺の携帯番号載せているから、何かあ ったら電話してくれな!」
前の席から順にプリント用紙が後ろへと送られて来た。
プリントを受け取った順にバスを降り、駐車場で準備運動をする人もいれば、早々に山を登り始める人もいる…
俺は準備運動派なので、全身の柔軟体操を始めた。
アキレス腱を伸ばしている時に、ふと、多田氏の事を思 いだした …
どうして多田氏は、弟の事を遠縁の親戚と言ったんだ?兄弟って身内じゃないか ?
まぁ、養子に出ただの何だの、家庭の事情があるのかも知れねぇけどな…
「鉄治さ~ん、まだっすか~っ!」
政が山の手前から俺を呼ぶ、見ると清も天野も俺を待っていた
「おうっ!今行くっ!」
俺は3人の元へ向かった
「もぉ~鉄治さん!何時まで体操してんすかっ!ドベじゃないですか!マイペースなんだからな~もう!」
政が俺に言う
「おう!マイペースは大事だぞ、人にカリカリしたって思うようになんてならないぞ …つかお前は機嫌悪過ぎ!絡むなよ… ほら 政 、行こうぜ!」
政は仏頂面で頷いた
「ハハハッ!政 、鉄さんに怒鳴られなくて良かったな!ハハハッ!」
天野が笑って政に言う
ピョンピョンピョンピョンッ!
へっ? 浮いては沈む影に驚き振り返えると
えっーーっ!
「きっ、清っ!お前っ…何で兎跳してんの っ !」
清はキョトンとした顔をして
「はいっ!常日頃から足腰を鍛えなさいね♪とコーチが教えてくれましたし… 今、鉄治さんがマイペースは大事だって言ったから… 僕、この砂利道を見て直ぐに、兎跳で登ってみたいなって思ったから …」
「あぁぁ… そうか…鍛えてんのか…でも無理すんなよ、躰壊したらシャレにならないからな…」
「はいっ!」
唖然とする俺達を気にもせずに、清は堂々と返事をした。
こうして俺達は狗恋山の中腹へと向かった
狗恋山の中腹までは約40分で到着するとプリントには載せてあった。
流石、肉体労働者!ヘバる奴等いない 、皆、雑談したりゲラゲラ笑いながら余裕で登って行く…
ヘェ、ヘェ、ヘェ… バタッ!
兎跳びの清は、50m程で挫折し砂利道に突っ伏した。
「こらっ!鉄治!天野!政!お前等、清に何をさせてる!」
社長が鬼のような顔で俺の胸ぐらを掴んだ
「清が自分で鍛えたいって始めたんですよ っ! 」
まぁ、社長ならこうするだろうし、俺も事情知らなきゃ同じ事をする…
「しゃっ、社長、本当です! 僕が自ら始めました!今からは普通に歩きます! 」
清はそう言うとバッと立ち上がり直立した
「清 … そうか… 3人共悪かったな…」
社長は安心したように微笑み、俺の胸ぐらを掴んだ手を離し、シャツを伸ばした。
ガサッ!ガサッガサッガサッ!砂利道脇の草むらが揺れる …
「なっ、何だっ?」
俺達は目を凝らした
ガサガサッ!
「あれ~?あ~社長、ワシ脇道に何か珍しい花でもないかなって入ったら道を間違えたみたいだよ~♪はいっ 、四ツ葉のクローバーあげる♪ 今、其所で 見つけたの~♪」
「矢野さん… こりゃ、どうも …」
社長は矢野さんが差し出した四ツ葉のクロ ーバーを受け取ると、シャツの胸ポケットのボタンホールに差し、胸元を四ツ葉のクローバーで飾 った …
やっ、矢野さんのマイペースは…究極だな…
俺達は顔を引きつらせ苦笑いした
トゥルル!トゥルルルルッ!
社長の携帯が鳴り、社長が電話を受けると
「社長~! 矢野さんが居なくなった~!く っくっく熊谷ですっ!ジミーと俺と矢野さんで歩いていたんですけど、ルルルン♪ルンルン♪って歌って草むら入ったから小便かと思ったんですけど、居ないんですっ!探して下さい!頼みます!」
熊谷さんは、余程心配したのだろうな…声が泣き震えているよ …
「熊谷さん… 矢野さんなら心配ない… 今、 四ツ葉のクローバーを頂いたところだ …
ガハッ!ガハハッ!」
社長は大笑いし、熊谷さんを慰め電話を切 った。
究極のマイペースは人を心配させてしまうんだなと言う事を、俺はこの時知った …
その後はワイワイ!ガヤガヤ!皆と雑談をしながら滝のある霊山の中腹まで歩いた。
羽波行者の指示に従い、白装束に着替え竹で作られたベンチで5分程躰を休める。
先に滝に打たれている仲間が、羽波行者の指示で滝を出ると、3人ずつ呼ばれ
「貴方は右、貴方は中央、貴方は左です、経を読める方はどうぞ、手は必ず合わせて下さい … あら? 貴方は修験の行者ですか ?その念数… いぇ… そのまま中央へどうぞ … 」
羽波行者は何か変な感じだったけれど…
俺は気にせずに、自分の打たれる滝筋の指示を貰い滝へと進んだ …
「冷たっ!」
政が思わず声を上げた
空かさず羽波行者が
「私語は慎んで下さいっ!」
恐っ! 羽波行者の声も眼光の鋭さも滅茶苦茶恐い …
何て言うか… 人間じゃねぇなって感じた…
俺と一緒に滝に打たれているのは、右が天野で左が政だ。
俺達の後ろの組は、社長、矢野さん、清の三人だ、どうやら、それで全員終わるらしい …
先に滝行を終えた同僚達は30分程歩き、山頂を目指しているようだ、前の組が滝から出る時に、羽波行者が言っているのを聞いた。
ザーザーザーザーッ!
何れくらい滝に打たれたか…
「はい、滝から此方へ…」
羽波行者の声で滝を出る …
滝の水って冷っこいっ!と言いたくなる程冷たい 、けれど段々躰が熱を持ち始める、最初はガチガチ震える程だが、滝を出る頃にはポッポポッポしていた、不思議なもんだな …
1人に1枚、羽波行者が、
「どうぞ…」
白いバスタオルを渡してくれた、あれっ?同一人物かと思う程、羽波行者の目からは剣が消え、優しい笑顔を浮かべている …
俺は同性愛者じゃないが、ホッとしてgooと感じていた。
「あれっ?」
バスタオルを肩に掛けて、これから進む道を何気に見ると、男性が1人山頂へと向かい歩いていた。
男性は此方を全く気にせず、怖い顔をして登って行ったが 、俺はその横顔に見覚えがある!例の解体現場の依頼主の多田氏だ …
いったい何で、こんな所に?
遠方なんじゃなかったか?
遠縁なのに弟だし …
俺の中の疑問が募る …
俺は更衣室に走り急いで着替えると、リュ ックを持ち、
「悪い、先行くわ!」
皆の声等聞かずに多田氏を追った …