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解体屋 鉄治  作者: MiYA
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18/25

業火


「我苦所造諸悪業…」



羽波行者は読経を始めた…


15分程たった頃 …



カツカツカツッ… タッタッタ…


カツッカツッ … タタッ…



天井の上から、何かが歩いたり小走りする足音が聴こえてきた



まさか … バッ、バロン…



俺は天井裏が気になって仕方なかった…




その頃、天井裏では …



カツカツッ… … タタッ…ピタッ


カツカツカツッ… タタタッ… ピタッ…




「クガァー!何時迄ツケ廻ス気ダ … 猫神 … バレテルゾ…」




鴉は、玉五郎に背を向けたまま言った…




「オ前のヤッテル事ガ解ル迄ダニャ…ソウジャナキャ、コッチガヤラレルダロ?オ喋リクロウ…」




玉五郎はニヤッと笑った …




「グェ-カァッカッ!猫神… 良イ事教エテヤロウカ… 」




鴉はクルリンと振り返り…




「主ハナ… 此ノ家カラ誰モ還レナイト 言ッテイタゾ… 誰モ出レナイ…クケェ-! 」




玉五郎はお座りの姿勢で、右前足で首を掻いていた…



「聴イテンノカッ、猫神!グワァ-ァ!ナ ッ、何スル!離セッ! バカ犬!」



バサバサッ!バサッバサッ!




鴉は悶え羽を動かし暴れたが、確りと首の後ろをくわえられ身動きが取れなかった




「バロンッ、オ前ヤッパイイ奴ダナ…ソノ 、 クロウ… 咬ミ殺スナヨ… コッチダ、」




玉五郎は、バロンに鴉をくわえさせたまま 、鴉を縄でグルグル巻きにし(ハリ)に逆さに吊るした。



「先ズハ良シダニャン♪ バロン、オ前ヤルジャネェカ、シェパードノクセニ股ニ尾挟ンデ踞ッテタカラ、ダメ犬カト思ッタケドヨ 、遣イ魔仕留メラレル ペットナンテ 、ソウハイネェゼ… 天国ノ原ッパデ仲間ニ 自慢シテヤンナ、オ前ハ遣イ魔ジャネェカラ 、直グニ昇レルカラニャンッ… 」



玉五郎はバロンの頭を優しく撫でた …




「クゥェ-クックッ!猫神、随分優シイナ … オ前、ソイツガ羨マシインダロ?愛サレタママ死ネタペットッテヤツガ… 」




鴉は玉五郎を挑発した…




「アァ、クロウ… ソノ通リダ… オ前ハドウダ? オ前ダッテ同ジダロウガ、違ウカ?」



「ヴッ … 」



鴉は反論せず俯いた …


其から鴉は赤い目を瞑り …




「ナァ… 猫神 … オ前、何処カラ生マレタ? クガァー…」



玉五郎に聴いた …



「俺ハ…土ン中ニ埋メラレタ、デッカイ壺ノ中デ同ジクライノ年ノ猫ト殺シ合イヲシテ生マレタ… クロウ、オ前ハ?」



「クガァーッ、釜カラ生マレタ… 蓋ヲ閉メタ釜ノ中デ108羽グツグツ茹デラレタ中デ…生キ残ッタ …」



クゥーン… バロンは両前足で耳を塞ぎ伏せてしまった…



「ソウダナ… 俺達ミタイナ遣イ魔ッテノハ …ソウヤッテ 創ラレルカラニャン …」



鴉も玉五郎も悲しそうに俯いた




羽波行者以外は、天井裏の足音が気になって気になって仕方無かった、皆チラチラ天井の方を見ていたけど…



暫くすると音が止まった …



音が止まると、今度は …



躰がザワザワしちまって …



何かこう、風邪かな?ってのかな…



窓は開けてあるし室内の熱ったって知れてるのにな、産毛をサァーッと撫でられているように… 鳥肌が立つんだ …




ザワザワ、ザワザワ、してたんだ …





ワァォーーーーーーゥン …





犬の遠吠えが家の右端の方から聴こえた






ワァォーーーーーゥン …






今度は左端 …







ワァォーーーーゥン






それから羽波行者の前方…







ワァォーーーゥン





今度は頭の上…





犬の鳴き声は近付いて来る …




護摩壇から炎が吹き上がり、ブワッッと大きく膨らんだ …




「階由無始貧瞋痴…」



「羽波行者危ねぇ、火から離れた方が … 」




社長は羽波行者の肩を掴み声を掛けたが、言葉を止めた… 社長の顔から血の気が失せ腰が抜けたのか尻餅をつき、後退った…




「おいっ鉄虎どうしたっ!」




冴木さんが社長に声を掛け立ち上がると同時に、異様な獣臭さが漂いリビングを充たした …




社長は瞳孔を開いたまま固まっっている



獣臭ささで目までシバシバして



躰に気ダルさを感じた …





「火消すぞ、鉄治 動けるか?」



「はっはいっ」




「バケツに水持って来てくれ…」



「はいっ」




冴木さんに返事を返し、リビングを出て玄関へ続く廊下の右側にある、風呂場へ行こうと立ち上がった…




「くっ-痛ぅ-!」




こめかみ辺りに、ズキンッと釘でも突き刺したような痛みが走り、俺は頭を抑えた…




「鉄治大丈夫か!此処にいろ俺が行く … 」




「火を消す事は赦しません!」




羽波行者が叫ぶ …




羽波行者の声に社長はハッと我に返り




「救急車、救急車!」




携帯電話を胸のポケットから取り出し、ボタンを押した




「何で…携帯使えねぇんだ… 」



社長は呆然と携帯電話を見つめている




「おいっ鉄虎… 救急車何すんだ?」




社長は指先をプルプル振るわせ、羽波行者を指差した…



「ん?何だよ… 」



冴木さんは羽波行者の横に立った…




「あっ… あんた… 」




冴木さんは、自分の携帯をズボンのポケットから出してボタンを押したが…

社長と同じように携帯電話が繋がらない




「糞っ!」




「私の事でしたら… お気遣い無く… 其と…声を荒げてすみませんでした … 此の業火は… もう… 消せないのです… 」




羽波行者は穏やかにそう言った



俺のこめかみ辺りから始まった痛みは、頭の全体に拡がり…




「うぅっ…うっ…」



バタンッ …




俺は頭を抱えて倒れ込んだ …



「鉄治!」




社長と冴木さんが呼ぶ声は、聴こえているが、頭が割れそうで返事が出来ねぇ…





「何だってんだよ!どうなってんだ!」




冴木さんは獣のように雄叫びを上げた…



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