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天狗の弟子になった少年の話  作者: たまむし
二章 蓋
55/131

幕外肆 広亮



『信じられます?…私の防壁が、剣で破られるだなんて…剣ですのよ…』

 金の髪を揺らして、女が呆然と呟いた。その目は茫洋と定まらず、虚空に据えられて何とも知れぬ彼女だけの像を見つめていた。

 その眼差しにはどこか鬼気迫る様子と、陶然と酔いしれるものが混在している。


『はいはい。わかりました。そう何度も言わなくても聞こえていますよ。それより大人しく寝ていることです。まったく、依体(からだ)が壊されるまで留まるだなんて無茶をしますね。なぜもっと早く抜け出さなかったのですか』

 尋常ならざる様子で何度も何度も呟かれる()(ごと)をさらりと流して、男が作業する手元から目を上げないまま問いかけた。


『そうは言いますけれど…(サー)。私が離脱しようとすれば、その隙に斬られましてよ…私の離脱動作よりあれが仕掛ける方が速いのです…ならば防壁で受け止めながら、段階を踏んで離脱すべきでしょう。…焦れったいですが少なくとも、核ははじめに逃がせますし、離脱途中で無防備に斬られるより遥かにましではありません?』

 言い訳がましく女が言えば、男は何かを混ぜ合わせる手元からほんの少しの間目を上げて、胡乱な瞳を女に注いだ。


『それ見たことか、と言って良いのでしょうね?わたしは言いましたよ。アヤカシに油断すべきではないと。反対を押し切っての単独潜入の結果がこれですよ。自業自得というものだ。そもそも貴女は…』

『ああ、分かりました。分かりましたわ…お説教は回復してからにしてくださいな。頭痛が酷くなります…』

『はぁ…わたしも貴女の功績は素晴らしいと思いますよ。次祭(クフィス)。貴女の働きで識域(シキイキ)の拡張は順調です。それに、今後の大まかな方針が定まりましたし』


 しょんぼりと肩を落とした女に、ため息交じりな声がかかるやいなや、その瞳が徐々に力を取り戻し煌めきはじめた。

『ええ。ええ、ええ!あのテングは間違いなく何か知っていますの!解りにくかったですけれども、確かに"白い翼"という単語に思念波が乱れました!それに、最後は観測できませんでしたがキパが取り逃がした少年の方ももしかしたら…うっ…』

『興奮し過ぎです。寝ていなさいというのに』

 勢い込んで捲し立てた末に頭を押さえて突っ伏した女を、心底呆れたようなジト目が見遣った。


『うぅ、すみません。でも…本当に信じられなくて…やっと手がかりが見つかったのですね…』

『ええ。これも神のお導きです。ですが、どう訊き出すかが問題ですね。捕獲出来れば早いのですが…貴女の話では一筋縄では行かないでしょう。何か策を練らねばなりませんね』

 手を止めて思案気に男が呟く。声はその剣呑な内容に反して柔らかく、伏せられたその目は薄暗さを増しつつある室内の影に沈んでその色は分からない。


『あの手強いのに当たる前に、他を探ってみては?なにも、一匹だけの秘密という訳ではないでしょう…。他に、あれくらいの規模の山にいるテングを探してみましょう。幾つか比べて容易いものを狙うのはいかが?』

 怠そうにこめかみを押さえながらも、どこか楽しげに弾んだ調子で女が言う。


『おや。貴女にしては珍しいですね。目の前の目標を放っておくなど』

『あら、これも探究のため。識域(シキイキ)のためですわ。あのテング、私たちのことを知っていましたの。"アヤカシに手を貸して山を襲っている術者"という認識でした!他をあたって今回のことが伝わっているのかどうかを調査すれば、テングの情報伝達能力並びに社会活動の、一端が…うぅ』

『話は後にしましょう。薬を飲んで寝ていなさい』

 しきりに手を動かしていた男が持っていたのは小ぶりの鉢。その中で丹念に混ぜ合わされていたものを湯呑みに移し、傍の土瓶から湯を()してそのいわく言い難い匂いが立つものを女に笑顔で押し付けた。


『…神よ、お見捨てあらんことを…』

 女は引き攣った顔で天井を仰いだ。











 小雛は、一定の拍を刻んでいた自分の足音が段々に遅くなり、やがては止まるのを聞いていた。

 渡り廊下の半ばから、庭の木々を透かして、見えてきた離れの壁をじっと見た。


 夕暮れの最後の光も空に微かに名残を染めるのみとなったいつもの時間。普段通りに春馬の許へと診察を受けに向かっていたのだが、春馬が滞在する離れはいささか普段と様子が違うように思ったのだ。

 夜の気配と共に鳴き始めた虫たちの声に紛れ、微かに人の声が聞こえる。


――――春馬さまと……女?

 知らず柳眉が寄る。

 声の片方は春馬のもの。だが、もうひとつは酷く気だるげな女の声である。

 春馬が何かを言い、次に女が何かを言う。その間合いは確かに会話だというのに、不思議なことに声は音としてはっきり聞き取れても小雛には何を話しているのかが解らない。一人で首を傾げた。


 発されるのは聞きなれない音の羅列だった。連なって上がったり下がったりするところは、楽器をかき鳴らすのを聞いているのに近いかもしれない。つまりは、(がく)の音と同じくらい理解が出来ないということだ。


 小雛は不快感が胸に溜まってきて、無意識に重い息を吐き出した。

 春馬が理解出来ない言葉を使っていても、そんなことはどうでも良かったが、少し様子を見た限りでは、まだ話が終わる様子がない。来客中では今日は春馬に会うことが出来ないことに落胆を覚えていた。


 行きよりずっと重く感じる足を動かして離れに背を向けたその時、女の声が楽しげに弾んだ。それに柔らかく応える男の声。

 胸の底がちりりと焦げるような感じがして、小雛は思わず胸を押さえる。同時に心が波立つのを感じて、不快感が湧き上がった。

 こんなことは初めてで、密かに狼狽える。


――――何?これは…。

 普段滅多に大きく動くことがなく、春馬を想ったときばかり僅かに軽く弾む心に、今はどろりと黒い(よど)みが僅かずつ溜まって行く。

 今までは自分の内側の全てが明瞭で、隅々まで把握できていた。…筈なのに。

 溜まって行く不快な物と苛立ちを伴って、じわじわと自分が分からない不安が広がって行く。


 また女の声が高くなった。それに答える柔らかな声は、どこか親しげな響きがあって。

 ぼこり、と胸の底に何かが泡立ちながら沸き立つ。熱くて黒くて、粘りつくような不快なもの。


 それは小雛を酷く混乱させた。

 春馬は医者だ。あの女の声はとても元気そうには聞こえないから、患者だと自然に納得できる。医者が患者と和やかに談笑している。ただそれだけのことに何故自分がこんなに動揺しているのか。春馬が楽しそうにしていることは喜ばしい筈なのに、何故こんなに苦い気持ちが湧いてくるのか。何故、こんなにも腹立だしいのか。


 ここに居てはいけないと直感した。どうすれば良いのか分からないが、ここに居ても酷くなるばかりだということだけは何故だか知っていた。


 小雛は逃げるようにその場を後にした。

 心が乱れれば術の制御が甘くなり、悪霊はそこに付け込んでくる。払魔師の一人として一刻も早く心を鎮めなくてはならない。

 足音がいつもよりも荒くなっていることに気付いても、小雛は努めて無視をした。











外様(とざま)の癖に、貴様らこの頃の態度は目に余る」

「そうだ、橘の家の者でもないのに橘の、それも本家のお血筋である葭津(よしつ)さまに礼のひとつもなしとはどう言う了見なのだ!」

「下賤の生まれの役立たずが葭津さまを邪険にするとは何ごとだ!」

「居候の分際で、橘家を我が物顔で歩き回るとは恥を知れ!」



 足早に通りかかった外回りの廊下で、不快な騒音が聞こえて顔を上げれば、四人の男が庭の片隅で誰かを囲んで怒声を上げていた。

 塀の角に追い込まれた者は、合間から見える限り二人いるが、囲む男たちより背が低くてちらりとしか見えない。それらから二歩ほど下がった線の細い一人が、こちらに背を向けて扇子をひらひらさせながら冷笑していた。

 全員揃って橘家の術者を示す黒の布衣(ほい)。ただ囲んでいる者らは、橘家の血筋の者が好んでいる白い紐に緑の瑪瑙の勾玉を通した護符を腰に付けて、その上後ろの男は仕立ての良さそうな深緑の羽織でめかし込んでいる。

 本邸から外れたこんなところでは滅多に見ない人種である。


 小雛はそれだけを見て取ると興味を失った。自分には関係のないことだ。

 聞く限りでは外様―――橘家の外から参入した者―――に難癖を付けて(いじ)めている現場のようだ。小雛自身も出身は全く術や霊と無関係だから、外様という括りに入るのだろう。だとしてもそれが何だ。

 小雛の邪魔になるようなら邪魔にならないようにしてやるが、そうでないなら別に構ってやる理由は無い。ましてや自分も外様だからと囲まれた者らを仲間扱いして助けてやる気など更々なかった。

 ただ、今は虫の居所が悪い。不快な雑音をそのままにして通り過ぎるのも逃げるようで業腹(ごうはら)に思えた。だが…相手をしてやる手間を思うと面倒だ。

 面倒だという気持ちと不快なものを排除したい気持ちを量り比べてみて、結局面倒な方が(まさ)った。

 いつの間にか止まっていた歩みを再開する。




 一通り三人が怒鳴りつけるのを薄ら笑いで眺めていた後ろの男が、ぱちんと音を立てて扇子を閉じた。

「これ、もうその辺りにしてやりなさい。何か取り返しのつかないことがあったでもなし。役立たずでも橘に属する者に違いはない。心から詫びるならこの場限りで収めてやろうぞ」

「おお、流石は葭津さま。お心が広くていらっしゃる」

「まさに空の如く広きお心。貴様ら葭津さまの御懐の深さに感謝せよ」

「なんと慈悲深きお言葉だ。お前ら、葭津さまに感謝して、誠心誠意お詫びするのだ!」

 羽織の男が親切ごかして言うのを、取り巻き連中が囃し立て、黙り込んでいた二人を前へ押し出しにかかった。




 小柄な方が捕まれそうになって小さく悲鳴を上げた。通り過ぎようとしていた小雛は、思わず歩幅を小さくした。

「止めて!」

 震える気弱そうな若い男の声が聞こえて、完全に足を止める。

 小雛は(はばか)ることなく盛大に、苛立ちで熱くなった溜息を吐いた。面倒なことだと思いながら、無視する気がなくなってあちらを見れば、案の定羽織の男の前に突き出されて強張った顔をしていたのは、同じ班の柚葉(ゆずは)広亮(ひろと)だった。


――――気が変わった。

 理屈も言い訳も考えるのが面倒だ。

 苛立つ方に一気に傾いた心のままに庭に出ると、黄昏時も通り過ぎ、影から闇に変わったばかりの庭木の下を足早に進み始めた。






「さあ、お詫びせよ!」

「頭の下げ方も知らんのか!流石はごくつぶしの余所者だな!」

「仕方ない、手伝ってやろう!」

 完全に調子に乗った男たちが掴みかかってくるのを避けられず、広亮は引っ張られてよろめいた。


「離してください!」

 乱暴に体に腕を回された柚葉が悲鳴を上げて咄嗟に抵抗する。だが、大の男二人相手に敵う筈もなく押さえこまれてしまう。

「柚葉!柚葉を離して!止めてくださ…ぐぁっ!」

 広亮は後ろから腕を捕まれ身を(よじ)りながら声を上げたが、腹に羽織の男の足が打ちこまれ、前のめりに倒れかけて膝を突いた。すかさず背後の男が広亮の後頭部を掴んで地面に抑え付けられる。勢いよく打ちつけられた額に鈍痛が走る。


「広亮さん!!」

「ははは!役に立たん鳥頭でも謝罪の役に立ってよかったな!!ほら娘!さっさとしろ!それともお前も手伝って欲しいのか?」

 早くしろ役立たず、と笑いながら取り巻きが口々に騒ぐ。

 止めなくては。だって柚葉は女の子だ。男の自分が護ってあげなくてはいけない。そう思うけれども、刃向うどころか制止の声を上げることを思うだけで心の底からの怯えが喉を塞いで息まで押さえつけられる。


 最悪だ。きっと傷が出来たのもだが、相手も悪い。

 橘の葭津彦。

 もう良い歳だというのに、橘家当主の従兄弟(いとこ)だか再従兄弟(はとこ)だというのを盾にして務めから逃げ続けていると聞く。矜持ばかり高く、いつも取り巻きを引き連れて歩いて、下の者に目を付けては吊し上げる悪評高い人物。

 抵抗して傷をひとつでも付けようものなら、一体何十倍になって返ってくるのだろう。この男が大手を振って歩いているということは、それを許している者が居ると言うことなのだから。それも、組織の上の方に。


 ここは無抵抗でいるしかない。そういう考えがつい浮かんで、痛みよりも胸の底に湧いた苦味に顔を顰めた。

 理由を付けて自分の臆病を肯定してしまう自分が、吐き気がするほど嫌いだった。

 けれども、何をしようにも体は怯えて竦んで、ただ柚葉が幸運にも逃げられることを祈ることしか出来なかった。


「娘、早うせよ!それとも何か、他の方法で詫びてくれるのか?ん?」

 下卑た笑いが混じった声に、柚葉がぐっと口を引き結んで、それでも気丈に顔を上げ―――その目が大きく見開かれた。



「…広亮と柚葉が役立たずだと聞こえたけれど」



 騒ぐ濁った雑音の中、静かな、しかし不思議とはっきりと聞こえる抑揚のない声が響いた。


「うわぁあ!」

「葭津さま!」


 驚く声と共に頭を押さえる手が外れて、広亮は恐る恐る顔を上げた。

 羽織の男が、片耳を押さえながら跳び退いていた。男がいたその場所のほんの一歩向こう側、それこそ耳に直接言葉を吹き込める位置に、人形じみた美貌の娘が闇から生まれたかのような黒を纏って、表情の抜け落ちた顔を男に向けている。


――――小雛…?

 思いがけない人物の出現に、広亮は唖然と目を見開く。

 知り合いの中で一番こういう時に助けてくれなさそうな人だと思っていた。…思っていたより情がある人物なのかもしれない。


「な、何だ…っ!?そなたは!!」

「広亮と柚葉が役立たずだと聞こえたけれど」


 全く同じ抑揚で、全く同じ言葉が、時が巻き戻ったかのように繰り返された。

 しんと静まり返った庭に静かな声が思いの外大きく聞こえて、いつの間にか夏虫の声が聞こえなくなっていることに気が付いた。


「そ、それがどうした!この橘宗家(そうけ)葭津彦(よしつひこ)に何か文句でもあるのか!」


 動揺を隠すように、上ずった声が上がる。

 小雛は小首を傾げた。さらりと小さな音を立て、腰までの黒絹の髪が僅かに揺れた。


「では、あなたがたの方が、手練(てだ)れだと…?」


 続く言葉が何故か身震いを連れてきて、男がひくっと喉を鳴らすのと同じくして広亮は身震いをした。

――――なにか、嫌な空気が…。


「…無論のこと。それともお前は橘宗家の血筋よりも、何処の馬の骨とも知れぬ市井(しせい)の者の方が優れているとでも言うのか」

「そう。それは素晴らしい」


 ひとかけらの感情も籠らない口調で、黒い娘は褒めた。

 微妙に食い違った答えは、暮れたばかりの闇にぽっかりと浮かんで見える白い顔と相まって、温度を感じさせない声が不気味さばかりを際立たせる。

 何やら黒くて重い、禍々しい空気を纏っているような気がするのは、恐らく錯覚だろう。


 夜とはいえ、夏の蒼竜京(そうりゅうきょう)は蒸し暑い。だというのに汗のひとつもかいていない涼しげな顔が、その場に立つ者たちひとりずつを確かめるように、ゆっくりと(めぐ)った。

 目線と共に、今までそよとも吹かなかった風が、ふわりと生暖かい湿気を吹き付けたのは偶然のはずだ。

 目を向けられた者たちの顔が段々と強張る。何かがおかしいと思わせる、違和感と混ざった不気味さがひしひしと増していく。


「では、助けて」

「え」


 葭津がじわりと後退る。

 そうして開いた距離を、黒い娘は滑るように詰めた。


「このところの蒼竜京(みやこ)は、魑魅魍魎(ちみもうりょう)が夜ごとに出没する、まるで魔境」

「そ、れはわたしも憂うところではあるがしかし…」

 じりりと後退する男を追って、無情にもう一歩足が進む。


「私共も手を尽くしてはいる、でももう手一杯もいいところ」

「それがお前たちの務めというもの!弱音など吐くでない!」


 悲鳴じみた叱責を綺麗に無視して、小雛は微笑んだ―――目を見開いたまま口の端をきゅっと吊り上げ…ついでに屋敷の灯火を背に受けて影に沈んだ禍々しいそれが微笑みだとはどうしても思えなかったが、不幸にして一般的に唇の端が上がる表情は笑顔だという知識は持っていた。


――――小雛は、すごい。

 恐ろしげな雰囲気を纏うことで相手を驚かし、毅然と語りかけるだけで追い詰めて行く。その背筋の伸びた姿は見慣れているはずなのに、今はなんだかとても強く大きいように見えた。

――――比べて僕は…。

 無様に捕まって、柚葉も逃がせず、ただ膝を突いて唇を噛んでいる。声も出ず、抵抗もできない。


「あなたはこの二人より優れている―――そう言った」

「っ…」


 これを否定すれば自分が劣ると認めることになる問いに、否と返せる葭津ではないだろう。そう思ったのは広亮だけではないようで、捕らえていた腕が放されて、取り巻きたちがじりじりと下がり始めていた。


「広亮さんっ」

「…柚葉」

 隣で捕まっていた柚葉もまた放され、直ぐに駆け寄ってきて、大きく目を見開いた。

「おでこ、血が!これ使ってください」

「あ、ああ…」


 差し出された手巾を上の空で受け取り、縮こまって固まった体をぎこちなく動かして、一点を凝視しながら後ろ向きに離れて行く男たちを振り返った。


 脂汗まで流して下がって行くのを見て、広亮は複雑な気分になる。いい気味だと思う反面少し同情してしまったからだ。

 実物の小雛を始めて見たのなら、怯えるのは無理はないと思う。


 小雛は色々な意味で目立つ存在だから噂に事欠かない。その幾らかは小耳に挟んだことがあるが、恐ろしげなものが多かった。噂は次々に更新されていって尾鰭(おひれ)が付く暇がないようで、かなり正確な話が多かったのがまた怖いところだ。


 誰が好き好んで前線に立ってたった三月(みつき)屍鬼(しき)払いどころか悪鬼斬りを達成した、超攻撃的な払魔師を相手取りたいか。

 しかも、飾っておきたい美人との評判の実物がこれだ。確かに美しいのだが…夜に会いたいとは広亮は思わない。しかも敵対なんてとんでもない。


 じわじわ退がり続けた背が硬いものに当たって、男たちはひぃっと声を上げた。

 今や苛めに絶好の、人気が絶えた庭先の塀の角というこの場が逆に彼らを追い込んでいた。―――いつの間にか、塀の際まで追い込まれていたのだ。


 恐ろしい笑顔がするすると近付いていく。


「柚葉よりも完璧に悪霊を惹きつけて誘導できるということ?広亮よりも素早く広範囲の、それこそ数百の悪霊と場を根こそぎ浄化できるということ?二人より有能なのなら、出来るはず。でしょう?」


「それが如何(いかが)した!」

 自棄を起こしたような叫びが上がる。


「出来るの」


 すっ、と。

 小雛の顔から表情が抜け落ちた。

 相対する者たちがびくりと身を震わせる。小雛が怒ったのではないかと、広亮も思わず息を詰めた。

 だが、白い顔が怒りに歪むことは無かった。何事も無かったかのように、その小さな唇が開く。


「では、二人の代わりに班に入って」


――――え?

 広亮は、怯えも緊張も忘れて、呆然と目を見開いた。

 思考がまっさらになって、しばし自分がどこに居るのかも頭から抜け落ちた。その間にも目の前の話は続いていく。


「な、何…?た、橘本家の血筋のわたしに、最前線に立てとそ「柚葉より上手く物の怪を惹き付けられるなら、今までより止めを刺すまでが早くなる。広亮より広い場を浄化出来るなら、雑霊の駆除が速く済んで本命に直ぐにかかれる…」


 葭津の言葉を途中で遮りながら、宙を滑るかのようななめらかさで、黒い娘はするすると、逃げ場のない男に近づいて行く。


「そうすれば、今は一晩に二ヶ所が精々なのが、三ヶ所回れる。もっと多くの物の怪を狩れる。悪霊を払える。怨霊を滅せる…あの方の邪魔を減らせる。あの方のお役に立てる…あのお方の…」

「く、来るな!!そなた正気か!」


 声は段々に呪詛のごとく低くなり、後の方はぶつぶつと呟くばかりで聞き取れない。表情が絶えた顔の中で双眸だけが異様にぎらぎらと輝いて見えて、だというのにどこか恍惚とここではないどこかを見つめていた。

 控えめに言ってもその様は異様であり、正直に言えば霊に取り憑かれた者に酷似して見えた。彼女が払魔師でなければ浄化の文言を以て悪霊退散の念を浴びせられてもおかしくない。


 悪霊の調伏は数日を費やして備えを固めるのも珍しくない難行事。近頃が異常なのだ。準備に時間を取れないという事態が脱落者の数を増やしているというのは周知の事実だが、その状態が続いているのは一晩に一件以上片付けなくては追いつかないほどに事態が逼迫している証拠でもある。

 無論、本来数日またぎで対処すべきところを一晩に一件対処すれば、精神力体力両面で消耗が激しく並の者であれば三日も続けば倒れてもおかしくはない。

 それを小雛は一晩に二件回ると言い、更には時に余裕があればもう一件行きたいと言う。小雛が強くても、疲労は感じる筈だし限界は必ず来る。それを感じていない訳はないのに、その上で我が身に頓着しないのだ。

 狂っている。ぽつりと浮かんだ言葉がしっくりと嵌った。


 青ざめて震えるばかりだった葭津が不意にはっと顔を上げた。その目に僅かな希望が灯る。

「そ、そなたの班にわたしが属せよと言うが、それは出来ぬな」


 彼女はゆうらりと、妖しい眼差しを男に戻した。

 葭津はそのふたつの黒玉に映った途端おこりのように身を震わせたが、必死に顔をあげて言い募った。


「班員を選定するのは上役の方々ぞ。わたしの一存でどうこう出来るものではない!」

「そう…?」

「左様。班の構成に意見出来るのは上役の方々以外には班長のみぞ。残念ではあるがこ「班長なら、出来ると」


 葭津の言葉を遮って、くるりと小雛は振り返る。

「どう思う。班長(・・)

「…せめて何の話かを聞きたいのだが」

 小雛が離れてほっと息をついたのも束の間。葭津は身を固くして顔をひきつらせた。

阿弥彦(あやひこ)…」


 偶々通りかかった風情で、廊下の半ばから小雛たちの班の(おさ)、阿弥彦が疲れた顔をこちらに向けていた。

 壁際に寄り集まった葭津とその取り巻き、葭津に触れんばかりに近づいた小雛、地面に膝を突いて擦り傷がある額を押さえた広亮と、その傍らの柚葉。

 それらをざっと見渡して、阿弥彦は頭痛をこらえるようにこめかみを揉んだ。


「…一体これはどうしたことだ」

「この人が、広亮と柚葉より有能だと言うから班に誘っていた」

 葭津が口を開く前にすかさず小雛が言った。色々と端折りまくって簡潔過ぎるその説明に、阿弥彦は若干呆れた顔をしたものの、ちらりと強張った顔の広亮に目を向けると、ふむと鹿爪らしく腕を組んだ。


「確かに、このところの連戦で二人の消耗が一等激しい。同等以上の働きが出来るなら是非も無い」


 がつんと頭を殴られたような衝撃を感じて、広亮は一時(いっとき)息を忘れた。

――――班長も…僕を班から外すと…?

 分かっている。葭津を脅して懲らしめる方便だと。―――しかし同時に、仕置きの出汁に使えるような、軽い扱いなのだ。

 広亮は、腹の底から上がってくる震えを感じて、眩暈(めまい)がした。


「阿弥彦、貴様…っ」

「葭津彦、そなたは聞くところによると実力を試す場が欲しいと方々(ほうぼう)でこぼしていたそうだな。我が班の広亮、柚葉の両名よりも腕に覚えがあるならば実力も充分であろう」

「なっ…は?」


 阿弥彦は疲れが滲む顔のまま、辛うじて疑問と分かる呟きにも生真面目に頷いた。

そなたも知って(・・・・・・・)いる筈だが(・・・・・)、両名ともに由緒正しき(かんなぎ)の家系の出。家名に恥じぬ実力者であることは我が班の戦歴が示している…如何(いかが)した。顔色が悪いようだが?」


 青を通り越してどす黒くなった顔色を見ながら、そらっ(とぼ)けて阿弥彦が言う。

「なっ!?き、聞いてなっ「明日、八篏橋(はちがんばし)の燃える車の討伐。葛宮(かずらのみや)近くの、瘴気と呪詛を吐く三つ目の大牛と、明陽門(めいようもん)の幽鬼の群れもついでに」

「…そうだな。ああ急だが葭津彦は案ずることはない。私が全て計らっておく。まさかご当主もお前がやる気なのを止めはすまいから安心して明日に備えると良い」

「集合場所は、日の入りに裏門」

「そっ…、は…っ」


 淡々と重ねられるふたつの声に、葭津は意味を成さない音を発して尋常ではない量の汗を流している。


「囮して。それと浄化も。惹きつけて誘導。班員が位置についたら取り敢えず雑魚全部浄化して」

「討ち漏らしたものは私ともう一人が対処する」

「ま、」

「出来ると聞いた。任せた」

「顔合わせは明日で良いな?なに、近頃は初対面の者と組むのはよくあること。優秀な橘の者ならぶっつけの連携など軽いだろう」

「そんっ…」

「決まり。明日に備えて戻れば」

「なっ」

「道具は充分に念を入れて備えると良い。ではな」


 とんとん拍子に話を進め、全て決まりとばかりに締めくくる。

 話が終わる気配の中、頭が沸騰しそうに熱かった。頭だけでなく体中が。


 追い詰められた葭津は顔中から汗を流し、眼は逃げ場を探して一瞬も止まらずに動き続け、おまけに鼻水まで垂らした強張り歪んだ顔を晒して、青くなった後に赤くなった。


 ぐらぐらと煮え立つ鬱憤を湛えているのが誰の眼にも明らかだ。

 苦難から距離を置き、生来の地位に胡坐(あぐら)をかいて、子供じみたまま体だけ大人になった手合いには、言外に浴びせられる侮辱とこのままでは逃れられない危機の予感は刺激が強すぎた。

 力で敵わないのがはっきりしている二人に逆らうことも出来ず、そのまま逃げる道も、感情のはけ口も見失った葭津の様子もこの気持ちを宥めることは出来ない。


「…待って」


 思わぬ方向からの静止の言葉に、場の視線の全てが一点に吸い寄せられた。


 身動きするのさえもあれ程難しかったのに、声を出すのはこんなに簡単だっただろうか。今や殆ど塗りつぶされた心の片隅で、ほんの少し残った冷静な部分が呑気に疑問を作り出した。


「なんで」

 広亮はゆっくりと立ち上がる。

 腹の底から煮えくり返って体が熱い。噴き上がって来ようとするものはそのまま顔に出て、自然に眼差しがきつくなった。

 その目の先は阿弥彦。次には小雛をも睨んだ。


「なんで、当の僕らに何も言わないで勝手に話を進めるんですか」

 怯懦(きょうだ)を塗り替えたのは憤怒(ふんぬ)だった。心の底から湧きあがる怒りだった。


「僕はやれます。勝手に班から外さないでください」

「よくぞ言った!」

 阿弥彦も柚葉も、驚きの色を隠せないでいる中、葭津が嬉々として声を上げた。


「いやはや残念だが、こう本人が言っている以上、わたしが役目を代わるのも仕事を奪うようで心苦しい。ここは心意気を立てて身を引くのが橘の名を持つ者の務めであろうな!中々どうして外様とはいえ捨てたものではないではないか。これからも務めに励むが良いぞ!」


 先ほどの様子はどこへやら、息を吹き返したように生き生きと喋り散らす葭津の方を向いた広亮は、ぐっと拳を固く結んで、視線が刺さるものなら風穴が開けとばかりに目に力を込めた。


「僕は…貴方の言う"外様"というやつだろうけど、自分の役目を他人に押し付けて平気な顔が出来るような恥知らずじゃない。それだけ」


 葭津は一瞬きょとんと抜けた顔をしたが、恥知らず呼ばわりを悟って目を剥いた。

「なっ…貴様…っ」

 小雛と阿弥彦相手ならば委縮もしようものだが、相手が小柄で見るからに気弱そうな広亮なら話は別だ。

 恐怖という(たが)が外れた葭津は鬼の形相で、瞬時に沸騰した頭は言い返す言葉を探すよりも先に閉じた扇子を高く振り上げた。


 やれるものならやればいい。と思った。生まれて初めて獰猛な気分になった。

――――もう、家だの血筋だの上だの下だの、そんなのはどうでも良い。やられたら、やり返せばいい。後のことなんかもう知るか。

 扇子が当たった瞬間にやり返してやる心算で拳を作って待ち受けた。


 ぱし、と渇いた音がした。


「そんなに参加したかったの」


 間近で止まった扇子の先が視界一杯に映っていた。

 扇子を握る葭津の手。その手首には細い指が絡み付いて、その動きを制している。軟弱そうな男の手首は、日頃重い刀を握る小雛の手によって締め上げられて、見る間に色を失っていく。


「なら、班に追加で入れるよう、説得、手伝おう」

 横から葭津を覗き込む小雛の顔は、広亮の位置からは見えなかったが、葭津の顔は良く見えた。


「ひっ、ひぃいい!や、止めろ!!来るな!!痛い痛いいたいぃいい!!離せ、離せぇえええ!!」

 葭津は何を見たのか。その形相は恐怖に歪み見苦しく取り乱し、恥も外聞もなく子どものように暴れ、泣きながら腕を捥ぎ離した。


 そこからは早かった。意外に俊敏な動きで跳び退くと、明らかに尋常ではない様子で口角から泡を飛ばして「木偶(でく)め!」と喚き散らした。

「どうせ粋がってられるのも今の内だ!精々駆けずり回って壊れてしまえ!!」


「葭津彦!!!」


 阿弥彦の怒声が響き渡った。その場の大半の者がびくりと肩を揺らす程の大声に、葭津はひっ、と喉を鳴らすと、くるりと背を向けて脱兎のごとく逃げ去った。その後を、這う這うの体で取り巻き三人が続いた。


 広亮は渦巻く熱を持て余して、呆然とそれを見送った。



「…小雛。身内が済まぬ」

 やがて騒がしい足音が完全に聞こえなくなった頃、苦い溜息を吐いた()阿弥彦がぽつりと言った。

「別に」

 それに答える声はいつもの通り素っ気なく、足音を追うように、去って行った方向を見ていた。


「広亮と柚葉も、済まなかったな」

「…班長、謝るのは身内のことだけですか」

「広亮さん…」

 むらむらと倍増す怒りに煽られてくらくらする。身の内で圧を高めたものが、出口を見つけて噴き出すのを感じた。


「僕は早く実力を身に付けて帰らなきゃいけないんだ!あの人にやり返すなんて下らないことのために班から外そうとするなんて不愉快だ!!疲労が溜まってる?僕がいつそんなこと言いましたか!!勝手に人を量って口実にするなんて巫山戯(ふざけ)るな!!」

 言い切ってしまうと、しんと静まった場の空気が沁みて、不思議なほどすっと熱が引いていくのを感じた。


――――八つ当たりだ。

 そう悟ると同時に、最後の熱がふっと消えるのを感じた。






 しばらくは、誰も動けなかった。それほど不意を衝かれたのである。無口で気弱なばかりと思われていた広亮が高らかに発した叫びは確かに信念と矜持を感じさせる、鮮やかな怒りだった。

 広亮のせわしく上下する肩を宥めるように柚葉が触れた。


「…そうですよ。班長も小雛ちゃんも、広亮さんに謝ってください。広亮さんはとっても頑張ってるんですからね。今だってあたしと短呪(たんじゅ)の練習をしていたんです。とっても真面目で、何回失敗しても諦めないで必死に頑張ってるんですから!」 

「え、えと…柚葉…」

 怒った口調で加勢するついでに秘密の特訓を暴露されて、たちまち広亮は狼狽えた。


「済まぬ。考えなしだった」

「…済まない」

「いや、あの…え、と…分かってくれたら、良い、です。あの、僕も、助けて貰って、その…ありがと、ございまし…」

 真摯に頭を下げられて、勢いを失ってしどろもどろにごにょごにょ語尾が消えて行く。

 そんな広亮に柚葉がちらっと微笑んだ。


「経験を積んでお家に帰る、ってことは、修行に来てたんですね」

「ええと、うん…僕は、一応跡取り候補だから…」

「え!そうなんですか!すごい!」




 柚葉のように声は出さなかったが、阿弥彦も内心で驚きつつ、密かに眉を寄せた。

 阿弥彦にとってもその話は初耳だ。班員を選ぶときに渡された資料には記されていなかった内容だった。名家の跡取りの候補に万一のことがあれば大きな問題になるだろうことは想像に難くないのに、だ。


「そういえば阿弥彦さんはどうしてここに?」


「…ああ。そなたたちを探していた、のだった」

 阿弥彦はここに来たときの三倍は疲れた顔で溜息を吐いた。


「夏の終わりに大祓(おおはら)いを執り行うと、主上(しゅじょう)宣下(せんげ)があった。我が班も都を見回り細々(こまごま)と祓いを行う故その心算(つもり)で居るように」


 大祓いとは、(すめらぎ)の命令で行われる、都全体を祓い清める儀式である。これを行えば運気が整い、怪異が止むと言われている。

 柚葉は顔を輝かせ、広亮はほっと息を吐いた。―――一人はよそ見をしたままだった。


「大祓いが終われば、一息つける…」

「よかった…終わりが見えましたね」

「喜ぶのは早い。嫌でも他家の術者とも関わることとなろう…今まで以上に用心せよ」


 苦々しげに葭津が去った方を眺めた阿弥彦の考えを、二人が察しているのを感じた。

 他家の者どころか家中でもこのざまなのだ。他が絡めばどんな事があるか。

 阿弥彦は、もう一度体中の疲れを絞り出すように溜息を吐いた。






 小雛はあの男が去った方角をなんとなく眺めながら考えていた。

 後のごたごたが面倒で、物理的に対処するのは止めておいたが、あの様子では中々効いたようである。

 とはいえ、話に聞いた"溜飲が下がる"という感覚は無い…と思う。すっと胸がすくような感じがすると言うけれど、そんなことは無かった。

 ただ、不愉快な騒音が去って、内側に充ちていた苛立ちが静まり、元のように凪いだだけである。原因が去ったのだから当たり前ではないかと思うが、それとももしかしたらこれが溜飲が下がるということなのだろうか。だとしたらあまり人の話はあてにならない。


「あの人たち失礼だったね、小雛ちゃんが物静かなのを良いことに人形扱いするんだもの。あんまり気にすることないよ」

 柚葉が声をかけてきたのに一度頷いておいた。

 気にはしていない。ただ、妙な言い回しだったなとは思った。まあ、どうでも良いことだ。あの男自身と同じく、気にする価値もない。


「あ、そういえば小雛ちゃんは今日は診察じゃなかったの?どうしてこんなところに…ひぃっ」


 途端、介入する切っ掛けになったことを思い出して、一時忘れていた不愉快なものがぶり返した。

 小雛から影が揺らめき立ち、柚葉が小さく悲鳴を上げて一歩下がった。


「……来客中」

「こ、小雛ちゃん…まさかあの人たちに怒ってたんじゃなくて元から…ひっ」

 ゆらっと頭を揺らしながら、黒髪の頭が柚葉を向き、その奈落の深遠のような二つの眼が柚葉を絡め捕った。


 小雛が纏っていたのはまさしく葭津を追い詰め取り乱させ泣かせた恐ろしい空気だった。改めて間近にすると、彼らに非常になじみのあるもの、そう、怨霊が発する瘴気に酷似していた。特別な呪文なしに呪いとか余裕そうである。


「か、かけまくもかしこき双祖神(ふたおやがみ)よっっ!()が声聞こえなば(はら)(たま)(きよ)め給えと(かしこ)み畏み…」

「っ広亮!小雛を祓ってどうする止めろ!」

「こ、小雛ちゃんっごめんね無神経に訊いてごめんね許して!だからちょっとで良いからお願い落ち着いて怖いよぉおお!」


 その後、明日の出発を遅らせて時間を取る事に加え、阿弥彦から春馬に言伝(ことづて)を入れておくと約束したことで、なんとか収拾がついた。



妖怪よりも小雛ちゃんの方がホラー。

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