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天狗の弟子になった少年の話  作者: たまむし
二章 蓋
10/131

十 顔合わせ

「これの名はタチ。守りの技に長ける」

横から掛けられた師匠の声に、オレはぎこちなく頭を下げた。

「よ…よろしくお願いします、タチさん」

 対する相手は、その表情からは一切の感情が読み取れないが、オレに向けられた気持ちは好意的なようなので、恐らく歓迎してくれているんだろう。どのような意味かは分からないが、ゆらゆらと頭を揺らしながら舌をしゅるしゅると出し入れした。

 というかオレの勘って今まで動物とかのはわかったことなかったけど、ここに来てどんどん鋭くなってる気がする。このままいくと虫とかの気持ちも察するようになるんだろうか。蜘蛛の巣にかかった蝶の絶望とか。なにそれ怖い。


―――三太朗が相対しているのは、全長で言えば彼の身長より長い、巨大な白蛇だった。


 顔合わせとして師匠の配下の前で挨拶したオレに、今度は彼らが順に挨拶する流れになったのだが、最初に動き出したのが、上座に一番近い座布団にとぐろを巻いていたこの白蛇なのだった。


 三太朗は目と同じ高さで揺れている頭を見つめた。

 三角形の骨格の真っ白い頭。切込みのような鼻、眼の下まで裂けた口からは赤い舌がちろちろと覗く。目の下から目尻に掛けてまるで舞台化粧のように赤い模様がすっと一筋通っていた。全身の純白の中でその赤がやたらと目立つ。

 彼は人に相対するときは目を見て話すべし、と教わって育ってきたのでこうして見つめている訳なのだが、努力してみたけどちょっと無理かな、と考えていた。

 タチは目を瞑っていたのである。三太朗は蛇に瞼があったか否かを悩みかけたが、だって妖怪だし、と結論付けてその疑問を放り出した。それよりタチさんって目がちょっと下向きに弧を描いてるし、口の端が少し上がってて、笑ってるみたいで結構愛嬌ある顔してるな、とか考えていた。


 この短い期間にオレはかなり環境に適応してきていた。自分自身からしてちょっと普通ではない自覚があったので、不思議なことに対する拒絶が起こりにくかったのもある。昨日は驚いて逃げ出したりしたがオレは図太くなった。なったったらなった。いずれはごんぶとになるのが目標だ。


 そんなことを考えている内に、鎌首をもたげた姿勢でしばらくゆらゆらしていたタチは、オレに向かってしゃーーーい、というような音を発した。


 おお?今のってまさか『よろしくお願いします』に対して『はい』と言ったのだろうか?それとも『はーい』だろうか。だとするとなんだかけっこう軽い。

 というかこの館では喋る獣や鳥ばかりだと思っていたけど、どうやらタチさんは喋ることは出来ないようだった。

 はっきり喋ることが出来ないなりに、オレに対して返事をしてくれたということなのだろうか。なんかちょっと嬉しい。


 タチさんはオレの顔に向かってもう一度舌をしゅるると動かすと、なんとなく満足げに元の席に帰って行った。

 雰囲気かなんかを読んで、オレに伝わったことを察したようだ。目で見てない分、他の感覚が鋭いとかそういうことなんだろうか。考えすぎかもしれないが。


「呆けた顔をするでないわ、小童(こわっぱ)

 老人のような声がタチとは反対側から掛けられる。

 畳んだ翼をゆっさゆっさと揺らしながら堂々と進み出てくるのは巨大なカラス。

 巨大なだけで他は普通かな、と思いながら見ていたのだが、オレの目の前まで来ると、カラスの額が縦にぱっくり割れて、みっつめの目がその真っ赤な視線をこちらに向け、膨らんだ胸の羽毛の間から、三本目の脚が飛び出した。


「そなたもあるじの弟子となったのならば立ち居振る舞いに気を遣うがいい。まかり間違っても阿呆(あほう)を弟子に取ったとあるじに恥をかかすことのなきようせいぜい見かけだけでも賢そうにするのだな」

 言いながら、胸の脚の長い爪のついた指をオレに向けて振る。なんだかすごく偉そうなカラスだ。


 多分昨日庭にいた喋る鳥だろう。声も聞き覚えがある。

 言ってる字面だけだとすごく尊大で刺々しい言い回しなんだけど、悪感情を持たれてる感じはしなかった。というかなんかこっちを窺ってる感じがするような?態度からでは全然わからないけど、ひょっとして心配してくれてるんだろうか。

 とりあえず阿呆という言葉は種族柄だろう、すごく流暢に発音されていた。


「はい。気を付けます。至らぬところがあるかと思いますので、これからもご指導のほどよろしくお願いします」

 責められている訳ではないと直感したので、素直に受け入れることにした。座敷の席次も上座に近いようだし、何より偉そうなので丁寧な言葉づかいを心掛ける。


 ふん、とカラスは鼻を鳴らして、羽毛を膨らませた。もっふもふである。触りたい。

「殊勝な態度はまあ良し。初心を忘れることなく励むのだぞ」

 そしてカラスはごほん、と咳払いをした。

「我は天輝光火大神あまてるひかりびのおおかみの産み出せし七十七眷属しちじゅうしちけんぞくに連なる天鳥にして生まれながらに神格を得、三千世界の道と(ことわり)を遍く見通す天眼のつ「八咫烏(やたがらす)のヤタだ。道案内が得意で、物知りだが話が長いので気をつけろ」


 長々とした壮大な口上を高遠にばっさりぶった切られたヤタさんは、ぶわっと更に羽毛を膨らませて、恨めし気に高遠を見た。

「……あるじよ…我が話しているのだが?」

「長い」

 またもやばっさりである。

「…これから不明な事柄があれば我に聞くがいい。我の知識は道案内だけではないぞ」

「はい、そのときはよろしくお願いします」

 オレの返事にうむ、と頷くと、ヤタさんはちょっとしょんぼりしながら大人しく戻っていった。

 その寂しそうな背中を見ていると、あとで話し相手になってあげようと思った三太朗なのだった。

 気分は話好きなお爺ちゃんを持った孫である。三太朗は祖父というものに会ったことがないので、想像にすぎないのだが、とりあえず老人は大切にしなければならないと教えられていたのだ。ヤタが何歳かは知らないが、声が老人だったのと態度が偉そうだったので、彼の中では自動的に実家の厩番の常吉じいさんと同じぐらいのところに分類されていた。

 年寄扱いすると怒る。というところまで同じであろうと思われるので、口に出さないように気をつけようと考えていた。

 三太朗は気遣いを絶やさない良い子なのである。


 のそり、と入れ替わりにやってきたのは巨大な体躯の狼である。全身灰色だが、顔の右側全体に白く高遠の目元のものに似た模様が走っている。

 それにしても大きい。すこしばかり距離を開けて腰を下ろしたその狼の顔を見るには、それでも大分と首を傾けなければならなかった。


「私は主よりジンと呼ばれている。このところは留守番を仰せつかることが多い故、主のおられぬ間に何事かあれば言うと良い。力になろう」

 落ち着いた声に穏やかな口調。見下ろしてくる黄色に光る眼もまた穏やかに見えた。

 少し遠くに座ったのも、ゆっくりとした動作も、オレを驚かさないように気遣ってのもののようだと直感する。やっぱり昨日怪我したのを聞いて心配してくれてるんだろうか。

 恐ろしげな見た目に反して、案外怖くなさそうだ。…機会があればその毛皮を触らせて貰えるように頼んでみようかな。

「ありがとうございます。これから宜しくお願いします」

 今はそのときではない、と判断して、当たり障りなく挨拶を返すと、ジンさんは頷いてあっさり席に戻っていく。

 ああ、もふもふが遠のいていく。


 続いて待ってましたとばかりに立ち上がったのは、オレと師匠を除いて唯一人の顔を持った女性である。

 長い黒髪を額の真ん中から綺麗に左右に分けて、耳の前で細い紐で括って後ろへ流し、更にうなじで結っている。

 髪先、爪の先まで手入れされ、鶯色(うぐいすいろ)の地に桃の花の描かれた上品な着物に、薄桃色のひれを持って、所作も流れるように美しい上、きっちり襟を合わせた上からでも胸元が豊満なのがよくわかる。小作りな白い顔。右の口元にある黒子(ほくろ)が色っぽい。文句なく大人の美女である。

 しかし、すり足で近づいてくるその脚は裸足で、ついでに言うと普通の人の三倍くらいの大きさで、更に言うと人の足ではなく、鳥の足だった。

 

 三太朗は健全な少年だ。異性にちょっと興味が出てくるお年頃である。鳥足とはいえ美女に微笑まれたら嬉しい。ドキドキする。なのに、目の前の女性に対しては素直な反応が出来ない。なぜなら彼女は尋常じゃないぐらい目を輝かせていたのだ。


 それは部屋に入ってきたときからだった。視線が物理的な威力があるなら絶対穴が開くだろうというほどオレを凝視して、挨拶に返事を返す度に笑みを深くして小さく頷いたり、嬉しそうに溜息をついたりしていたのが視線の端でちらちらしていた。

 …好意的なのは見て分かるが理由はさっぱり分からず、ちょっと純粋に眼福を楽しむ気になれないのだった。


 女はきっかり四歩分向こうまで来るとすらりと三つ指をついた。

「弟子入りおめでとうございます三太朗どの。わたくしはユミ。慣れぬ内は大変でしょうけれど、じきに馴染みましょう。わたくしも微力ながらお手伝いいたしますので、ご用がおありのときは遠慮なく声をお掛け下さいまし」

 まるで蕩けるような笑顔をこちらに向けてくるユミさんに、当たり障りなくよろしくお願いしますと返しながら、オレは姉を思い出した。納屋で生まれた子猫がよちよちしてるのを見ているときの姉。至福とばかりに笑って、かわいいと連呼しながら悶えていたあの顔。

――――なんか察しがついた気がする。


「ユミは姑獲鳥(うぶめ)だ」

 ぼそり、と師匠が呟く。

「うぶめ?」

 聞き覚えのない単語に首をかしげる。ユミさんが感極まったみたいな感じで口元を手で押さえて頬を染めた。

「…………子供好きなので有名な妖だ」

 そう、好きすぎて思わず連れて帰っちゃったりするのだが、高遠はそこまで口にしなかったし、言葉の前のたっぷり空けた間に、子ども扱いに憤慨していた三太朗は気づかなかった。むすっとした顔のオレを見てユミさんが満面に笑みを浮かべた。

 主が言い方をめちゃくちゃ柔らかくした意図を正確に理解した配下たちも揃って口を噤んだので、少年が姑獲鳥のなんたるかを知るのは何年も後になったのだった。皆いたいけな少年が無駄に怯えるのは良くないと思っていたのである。


 最後にやってきたのは、嬉しそうな顔のタヌキとキツネである。

「ご存じ家事全般担当のごんたろうとぎんじろうですよ。改めてよろしくおねがいしますですよ、さんたろさん」

「何か必要なものとか欲しいものがあったり、怪我をしたとか服を破ったとかおねしょしたとかあったらなんなりと言って下さいね、さんたろさん」

 このキツネはもちろん冗談で言ったんだよな?

「…これからお世話になります」

 当たり障りなく返したら、二人はこちらが罪悪感を覚えるぐらい嬉しそうに笑った。



「さて、これで今うちにいるのは全部だ。何かあれば近くにいるものに頼れ」

 高遠の言葉に、オレは内心で首を傾げた。これで全部なはずはないのだ。

「はい。わかりました…ところで高遠さま、昨日は壁から腕が生えてきたと思うんですが、あれは配下の方ではないんですか?」

 不思議そうに首を傾げる少年に、師はいかにも忘れていたようにぽんと手を打った。

 ちょっと酷くないか。


「ああ、塗り壁だな。せっかくだから挨拶させよう。おい」

 高遠の呼びかけに応えるように、ずずっと左手の壁から腕が生える。うおお、やっぱりちょっとだけ怖い。ちょっとだけな!

『はい、お呼びですか』

 さらさらとひとりでに浮かび上がる文字が返事をする。

「ああ、聞いていただろう。三太朗に挨拶を」

『ご挨拶したいのは山々なのですが、彼は文字が読めないようなので』

「いえ、一通りは読めますよ」

 どうやら塗り壁はオレがものも言わずに走っていったので、文字が読めないと思っていたようだ。それ自体は不思議ではない。世の中、読み書きができる者はそう多くはないのだ。ただ、オレが返事をしなかったのは、図太くなる前だったからだ。

『おや、それは失礼した。では改めて、壁だ。よろしく』

「え…っと、よろしくお願いします。塗り壁さん?」

 壁、と呼ぶのはさすがに抵抗があったのだが、塗り壁さんと呼んだオレに、みんなイヤイヤと首を振る。塗り壁は手をナイナイと振った。

 本人含めての総否定に、増々疑問が深まる。


「壁は壁だな。うちの家の壁だ」

「はい?えと、壁の姿をした配下の方ではないんですか?」

「配下…ではないな。元々は余所にいた塗り壁を捕まえてきて、術を掛けて家の一部の壁に使ったものだ。だから家の材料のひとつで、配下とは言えんな」

 同じ妖怪なのに材料扱いだ!?

「えええ!?なんでそんなことを…?」

 驚くオレに高遠はふっと良い顔で笑った。正直この場面でする顔ではない。


「良いか、三太朗。塗り壁を使って家を建てると、その内同化して家全体が変じ、自我を持つようになる。そうなった家は丈夫な上に非常に便利だ。百年経とうが千年経とうが、自己修復するから家鳴りも隙間風も無縁。害虫や害獣の類に侵入者も自ら追い払う。少しの汚れは自分で綺麗にする。少々手間を掛けて最初に術を使っておけば温度も自分で変えるようになる故、夏は涼しく冬は温かく保たれ、梅雨でもしけることもない。少し気分を変えたいときには家を建て替えたり引っ越したりせずとも命じれば部屋の位置を変えることも容易だし、それこそ家の形から変えることも可能。お前もいつか家を持つことになったら塗り壁を使うと良いぞ」

『自信を持って勧める』

「なんかとんでもない家ですね!?」

しかも自己推薦である。

 妖怪界の住宅事情はオレの中の常識から外れ過ぎていて、オレの心の許容量を越えそうになる。…いやいやオレは図太くなったんだ。少々のことではビクともしない精神を持っているんだ。だから大丈夫だ。うん。


「え、と…家自体に自我があるっていうことは、家の中のことを全部家自体が分かっているってことですか?」

 どうにか色々と押し込めて、気になったことを訊くことにする。

「そうだ。探し物があれば訊けばすぐに見つけてくるぞ」

『探し物は得意だ』

「あの…それは、家の中ではいつも見られてるってことじゃ…」

 いついかなる時も見張られているというのはオレは正直言って御免こうむるのだが、高遠はきょとんとした顔で瞬きした。

「見られている、と言ってもな、これは壁だぞ?」

『私は壁だが』


「ぁあああ…」

 物は下に向かって落ちる。という当たり前のことを言うような調子で、自分で動いて意思疎通もできる存在をただの壁と同じ感覚で『壁』と言う天狗と、当たり前のように自己主張する自称壁に、オレは今度こそ両手で顔を覆って呻いた。見ないようにしていた常識の違いはよじ登らなければならないほどの段差になっていて、乗り越えるのには暫く時間が必要なことを認めてしまったのである。

 自己暗示の限界であった。ごんぶとへの道は非常に長く険しいようである。


 なにはともあれ、天狗の弟子になった少年は、天狗の配下とその家に快く迎え入れられたのだった。































「待たせたな」

「おう、お前にしては珍しく遅かったじゃねーの」

「あら、やっと来たのね。何かあったの?心配したわよ」

「…」

「まあ色々とあってな、とりあえず決めたとおり報告からしようと思うんだが」

「おう、そっちが大丈夫ならそれでいいんじゃね?」

「そうね、どうだったの?」

「…さっさとしろ」

「ああ。何度か重ねて探ってみたが、残り火の血筋で間違いなさそうだ」

「そうか。じゃあ処理は早いうちがいいだろうな」

「そうね、白ちゃんなら万が一ということも無いだろうけど、何かある前にやっちゃうのが安牌だわね」

「ふん、それより先にこっちに寄越せ。あれは不明なことも多い。やるのは調べつくしてからだ」

「まあ待て。あいつはあれと血が繋がっているのは確かだが、かなり薄いようで、火よりも水の気配の方が随分濃い。それにどうやらあいつ自身は自分のことを知らん。ただの無力な子供に過ぎない」

「おいおいおい…お前な。欺いて罠にはめるのはあいつらの常套だぞ」

「ちょっと。残り火の血筋なのにただの子供ってそんなわけないじゃない。いくらあんただからって発現したら下手したら死ぬわよ?」

「…お前らうるせぇ。黙れ。こいつに油断などする可愛げがあるものか。…今度は何をするつもりだ?まさかとは思うが、手懐けて使うつもり…か?いくらお前でもあれを御すのは難しいと思うが…」

「ん。それについてはまだ結論は出していないが、できるようならやってみる価値はある。それよりあいつを拾ったときに奴らの傀儡(くぐつ)に追われていてな。今度のことは連中にとっても不測の事態の可能性が高いと見た。もしかしたら何か事態を動かせるかもしれん。幸いすぐに発現する気配はないから封じつつ様子を見て、傀儡のいた山を中心に探りを入れている。あいつを置いておくのには俺の山以上に適したところも無いだろうし、このまましばらく動くつもりだ」

「お前が油断してないんならいいんだけど。なるほどなー。そいつを餌にしたらあいつらが釣れるかもしれんのか。そういうことならうちも動いてみるさ」

「まあ…白ちゃんの言う事もわかるわね。確かに他よりあんたの手の中に置いとく方が安全だし。だけど気を付けるのよ?」

「…何かあれば、言え」

「ああそうする。ありがとう。それとあいつ今日から俺の弟子だから」

「おおそーか……お?」

「へぇ…弟子…ん?」

「…………あ?」

「「「はぁ!?」」」

「あいつな、どうやら…ん?ああ、すまんな。なにかあったようだからちょっと行ってくる。じゃあまたいつもの時間に」

「「「ちょっと待て!!!」」」


私は、塗り壁の家に住みたい!


今日見てみたら、PV数が370アクセスを超えていました!

見てくれたみなさん、ありがとうございます!

こんなにたくさん読んでいただけると思っていなかったのでちょっと震えが・・・


拙いものですが、楽しんでいただけると幸いです(*´∀`*)

今後とも精進して行きたいと思いますので、何か思うところがあれば遠慮なく言ってやって下さいまし!


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