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グラニスラ〜アブノーマルな“人工島”〜  作者: 片宮 椋楽
EP1〜脱獄シザードール〜
30/155

第29話 翁坂⑸

 驚いた。メチャクチャ驚いた。

 どれくらいかというと、いい歳した大の大人が朝刊読んで、まず飲んでたコーヒーを吹き出す。その後、辺りを一通り拭いてから、再度見返して、縦にした拳3個分ぐらい、上に飛び跳ねてしまったくらい。


 俺は何故に、そして何にそこまで驚いたのか? それは俺がシザードールを預けに行く時に交番で出会った警官、槇嶋君と早乙女愛さんとぶつかった警官が逮捕されたこと。そして何より、2人とも警官ではなく、ジャック・エヴァーのメンバーだったこと。


 ホントもうさ……そもそも、警官が偽者だとか普通思わないでしょ!? 疑わないでしょ?!


 ハァー……この島は予想の斜め上をいく答えを用意してくる。まあ、だからこそやりがいはある、かなり。こんなの、政治記者時代には味わえない——って、いかん。また振り返ってしまった。なんでこんなにあの頃のことを思い起こされるのだろう。

 もしかして、記者としての事件が起きる予知能力が目覚めたりして……なーんて何馬鹿なこと考えてんだ、俺。もう懲り懲りだ。


 喫茶店での取材後、独自に調べていたら日付の変わってすぐ、0時30分頃だったかな? それくらいに編集長からの「早く記事にして来月号に間に合わせろ」というお達しがあった。それでも俺は「ギリギリまで取材をさせてくれ」と無理を言って、締め切りを納入ホントギリギリ3日伸ばしてもらった。

 そして、調べた。「シザードール」について調べ続けた。正確には、もう1体のシザードールについて調べまくった。


 結論から先に言ってしまうとだ、何も分からなかった。

 理由は、至ってシンプル。あれから一切目撃されなくなったからだ。だから、目撃談などの目新しい情報は何1つ得られなくなってしまったのだ。そうして、足がかりとなるものが何1つなくなってしまった俺は、過去の被害者にもコンタクトを取り、調べに調べた。でも、無駄骨だった……


 もちろん、捕まった警官が偽者だからということで裏を返せば昨日取材した被害者たちがそれぞれ出会った警官2人は本物だということになると思うから、取材しようとしたが、見つからずじまい。名前も聞いてなかったみたいだし、完全に手詰まり。


 そして、約束の3日が経ち、俺は疑問が拭いきれないまま、記事を書かざるをえなくなってしまって、なくなく……




 まあ、なんやかんや色々と愚痴ってはきたけどさ、シザードールの記事が掲載された来月号は蓋を開けてみれば、バカ売れだったのは途轍もなく喜ばしい事実。そりゃあもう、今までの中でトップ5に入るくらいだったらしい。


 それでメッチャ機嫌良くなった編集長からポケットマネーでの臨時ボーナスが出たし、これからは「お前が書きたいのを選んで書いていいぞ〜」って言ってくれたし、まあ結果的に見たら得しかしてないんだけどね……うん。

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