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ポム  作者: 天野 うずめ
2/16

変な生物、ポムの生態。

ポムは犬に例えるとポメラニアンに近い形態をしている。

真っ白で、ふわふわで、もふもふで。

顔は若干違うような気がするけども、無理やり押し通そうとすれば押し通せるくらいの見た目だ。

だから友人が僕を訪ねてきた時も、犬だと言い張れば向こうもそれ以上は詮索できない。


餌はどうするのか、という点についてはものすごく迷った。

試しに市販のドッグフードをあたえてみたところ、喜んで食べた。

キャットフードも同じ結果だった。

ならばとハムスターフードも試してみたら、これまたおいしそうにする。


こいつ、なんでも食べるのか……?


ならばと僕の夜ご飯であるハンバーグをあたえたら、急に倒れこんでしまったのでびっくりして抱き上げると、ポムの顔はこれ以上ないくらいの幸せを表現した顔で蕩けていた。


「びっくりさせないでよ……」


結果は「なんでも食う」だった。

本当に、「なんでも」食うのだ。


大学からかえってきたら、こいつがごみ箱を漁って生ごみをもしゃもしゃとやっていたので慌ててやめさせたこともあった。

かと思えば、ベッドのシーツをビーット引き裂いてもぐもぐやってる時もあった。

道端の石ころにかぶりついたこともあったし、空き瓶をがりがりやってることもあった。


この前はついに犬のフンまで口に含もうとしたので、いい加減僕があたえるものしか食べてはいけないと注意した。

したら、おとなしく従う。


「……思ったより素直なのね」


以降、こいつの主な食事はドッグフードにたまに僕の夕ご飯と同じものとなった。



こいつの鳴き声も少しおかしい。

普段は何も言わないか、かろうじて聞き取れるくらいの微妙な大きさで「ふぁ~」と変な音を発しているが、嬉しいことがあった時には「ぽむ!」と鳴く。

こいつの名前の由来でもある。


その他にはないのかと思って色々と実験をしてみた。

結果は望ましいものではなかった。


こいつは基本「ぽむ」としか言わない。


「お前それだけで感情表現できるのすごいなー」

「ぽむ!」

「というかどやって出してるの、そんな鳴き声」

「ぽむ?」

「自分でもわからないって?」

「ぽむ」

「そんなもんなのかー」

「ぽむー!」

「そっかー……よいしょっと」


僕は、ポムにお菓子でもあたえてみようかと立ち上がった。

と、ずっと胡坐をかいていたから足がしびれてしまっていて、かくんとバランスを崩してしまった。


「うわっ!!」


どしん!

ぶにゅ!!


二つの音が同時に聞こえた。

お尻に何か柔らかいものをつぶした感触。


ポムだ!

僕は慌てて飛び起きる。

「うわ、ごめんだいじょうぶ……」

「グワアアアアアアアアアアアアアアアアアアッ!!!」


全身の毛を逆立てて、普段からは想像もできない程にその口は裂けて、お腹の底から響くような剣幕で吠えたてた咆哮は、危うく僕を吹っ飛ばすほどの威力だった。


たらりと冷や汗が流れ落ちる。

「ぽむ!!」

不機嫌そうにそっぽを向いたポムは、もういつもの毛玉に戻っていたが、先ほどの咆哮の振動はまだ当たりの空気を振るわせていた。

ご近所さんには確実に聞こえていただろう。



しばらく動けずに、僕は心の中で、ポムを怒らせてはいけない、と刻み込んだ。



ここまでお読み下さりありがとうございます……!

もこもこ

もふもふ

一回サモエド犬に顔をうずめてみたいです。


次回もどうかお読みいただけると幸いです。

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