第2話
本日二回目の投稿です
「歩きたく無いってじゃあどうするんすか!?」
「ママチャリ」
「だな」
「なんでそんな時だけ息ピッタシなんすか!?」
というわけでライドオン
配置はこんな感じ
カゴ→柊至
右ペダル→真座
左ペダル→大翔
「なんたる羞恥プレイ」
「絶対にこの配置はおかしいおかしいっすよ」
「公平なアミダの結果だ文句言うな」
「とりあえず進むぞ」
「そうっすね」
「1、2で行くぞ」
「「「せーの、1」」」(ガシャーン、グシャ、ポキ
「ぬああああ!」←カゴにケツがジャストフィットしていてろくに受け身を取れなかった者の悲鳴
「ヘルメス号があああ!」←倒れた衝撃でカゴ(in柊至)が外れてしまった愛車の姿に膝をつく者の悲鳴
「いやあああ!なんか今聞こえちゃいけ無い音がしたポキッて聞こえたポキッて!!!」←言葉通り
「仕切り直しだね」
「ううう、ヘルメス号……」
「泣くなよまだ乗れるだろう」
「そうだぞ!失敗は成功のもとって言うだろう次こそ成功させるぜ!」
「行くぞ」
配置
サドル→大翔
荷台(前)→真座
荷台(後)→柊至
「「「レディ・ゴー!」」」
「す、進んでるちゃんと進んでるっすよ!」
「ぬははは!このまま一気に行けぃ」
「おいキャラ変わってるぞ」
「オレたちは風!いやオレこそが風っす!もっと走るっすよヘルメス号!」
「ぬははははははは」
「キャラ崩壊しすぎじゃない?」
「あっ、石踏んd」ゴリュ、ゴス、ゴロゴロゴロゴロ
「はぁぁぁぁぁあ!た、玉が玉様がサドルにゴリュッてゴリュッてぇぇぇぇぇぇえ!!!」←言葉通り
「あ、頭がぁぁぁぁぁあ!」←後頭部に頭突きをくらった者の悲鳴
「ぐふ…」←猛スピードで走る自転車の荷台から落ちて地面を転がった者の悲鳴
「自転車怖い」
「自転車怖い」
「ううう、ヘルメス号ぅぅぅ」
自転車怖い身体中に怪我を負って今回学んだことはそれだけうん、不毛だね。
ちなみにヘルメス号は2度にわたる無茶な扱いに耐えかねてご臨終なされましたとさ
「いきなり話変わるけどお前らの遅刻理由聞いてなかったね」
「俺は寝坊だよ」
「普通過ぎて面白くないっす」
「まあ想像はついてたけどね」
「うるせえ、そういうお前らはどうなんだよ」
「迷子」
「監禁」
「なんだか聞き捨てなら無い言葉が聞こえてきた気がするんだが」
「気のせいだね」
「そうか気のせいっすか」
…………は?
「「監禁!?」」
「うむ、俺の姉は重度のブラコンってやつでね中々弟離れしてくれないんだよ」
思い返せばとんでもない姉だった。友達と遊びに行ったらどこに行ってたのと監禁され修学旅行から帰って来たらお姉ちゃんを1人にしないでと監禁され家にいてもずっと一緒だよと監禁され………流石に監禁されすぎだろ愛が重すぎるよ姉さん
「な、なんか遠い目してるっすよ」
「そっとしといてやろうきっと辛かった過去を思い出しているんだ。お前の迷子ってのは何なんだ?」
「言葉通りっすよ、ヘルメスの【因子持ち】なのに昔から方向音痴でして。いやーお恥ずかしいっす」
「別に不思議なことじゃないさ【因子持ち】だからって【因子】の中の人物の特性を全て得るわけじゃないだろ逆に【因子】に引っ張られて髪の色や体に異常が出る【因子持ち】がいるって話も聞くけどね」
「お、復活したか」
「なんとかね。まあ、気にすることはない第一にヘルメスの権能を全て得たりしたらそれこそ化物だね」
「ヘルメスは様々な事象を司る神っすからね」
「全ての権能を持って生まれてたらキャパオーバーで【神着】してたかもしれ無いんだラッキーだと思っとけよ」
【神着】というのは所謂、暴走のことで自分のキャパシティー以上の力を使い続けると【因子】が羽化して本物の神、英雄、化物が体に降ろしてしまうことがあるそうなった者は、例外なく周りに破壊を撒き散らしその力に耐えられず体が弾け飛ぶ、そうならないように訓練する場所が学園というわけだ。
「と、着いたね」
「長かったな」
「本当に、う、ううう、ヘルメス号ぅぅぅ!」
「まだ言うか!?」
「おい、小僧ども」
「ヘルメス号ぅぅぅぅぅぅ!!」
「泣くなって今度新しいの買いに行こう、な?」
「おい!」
「「ヘルメス号ぅぅぅぅぅぅ!!!」」
「増えやがった!?」
「小僧ども!!!」
「「「ふぁっ!?」」」
いつの間にかサル顔の優しそうなおっさんとサングラスを掛けたヒョロいのに背後を取られていた。
「おっさんたち誰っすか?」
「私たちはこの島の警備員のような者だよ。普段はそこの小屋で橋の番をしている。」
おっさんの指す方向には確かにこじんまりとした小屋が一軒建っていた。胸元には島の職員である事を表すネームプレートも付いているし嘘をついた不審者ではなさそ、あれ?この状況ってよっぽど俺たちの方が不審者なんじゃあ?
「確認だが君たちが入学式だというのに遅刻してきたという新入生君たちかい?」
「多分その新入生で間違いないね」
「その警備員さんが俺たちに何か用でも?」
「いや、用というほどの物ではないが君たちが来たのを確認したら連絡して欲しいと君たちの担任から頼まれていてね。おっと引き止めてすまないね。ようこそ高天原へ」
「良かったので?」
「何がだい?」
「あの小僧どもです。」
「良かったんだよ。人を怒るのは得意じゃないそれに……」
「それに?」
「彼らの担任は高橋女史だ」
「あいつら死ぬんじゃないですか?」
意気揚々と歩いていく3人の背中を見送りながらケルーヒョロい方ーと孫ーサル顔ーとの間でそんな会話が行われていたのを3人が知る由もなかった。
「この後どうするね?」
「とりあえず学園に行くべきっすよ」
「登校したことの報告もしなきゃならんからな」
「そうなるとあのでっかい建物だろうね」
そこは、塔がめちゃくちゃに乱立しメタリックな黒の光沢を放つ謎材質で壁を覆われたロボットアニメとかでありがちな動く巨大要塞を彷彿とさせる建物だった。
「これ本当に学園っすか?」
「間違いなく学園よ」
「グラウンドが普通なのが逆に怖いな」
「色々と理由があるの」
「地下に戦闘機が収納してあるって言われても納得してしまいそうだね」
「あら、よく分かったわね」
「「「………」」」
何なんだよこの島は、この島の住人は気配を断つのが必須スキルだとでも言うんですかね?いつからそこにいたのか分からないが目の前に立ってるのに声をかけられるまで気付かないってどんだけですか?そしてなんでこの眼鏡の似合うスーツ姿の女性怒りのオーラ的なものを放出してるの?怖い
「すごい怒ってるっすね」
「心当たりないんだけど」
「とにかく逃げることだけを考えるぞ。後ろに林があるの分かるか?あそこまで一気に走る3、2、1で走り出せ」
「「分かった(っす)」」
「行くぞ、3」(ダッ
「こ、このクソ野郎ども!」
図りやがったな!と振り返ったところで既に真座が地面に倒れていて今まさに大翔が殴り倒されるシーンが目に飛び込んで来た。それをしたスーツ姿の女性が何事もなかったかの様に自己紹介を始め
「自己紹介が遅れたわね。貴方たちの担任を務めることになった高橋よ。親しみを込めて高橋ちゃんと読んで欲しい」
柊至は、死んでたまるかという一心でその話を最後まで聞かず逃走を試みるもやはりいつの間にか回り込まれ顔面に拳が叩き込まれてあえなく御用。と、ここまでが冒頭のシーンに至るまでの経緯である。
ヘルメス号ダサいとか言ってやるなよ