花火
「ねぇねぇ、やっぱり告白しないの??」
浴衣に着替えた瑠夏がありさに聞く。
ありさは浴衣を持ってきていないので普段着だ。
「え、うん。だって・・・」
「大丈夫だよ~あたしが見ている限り、絶対OKしてくれるって!」
瑠夏は髪の毛を大きなお団子にしながらありさに言う。
≪あたしには、告白なんて無理だよ・・・断られたら立ち直れないもん・・・≫
下を向くありさを鏡越しに見て、瑠夏はため息をついた。
どう考えても航とありさは両思いだ。
航は優良物件だし、告白すればいいのに・・・。
「でも、いいの。あたしは。」
ありさは自分に言い聞かせるように言って立ち上がった。
自分も少しメイクを直さなくては。
暗闇でほとんど見えることがないと分かっていても直したくなるのが乙女心だった。
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「瑠夏ちゃん、浴衣姿超似合ってる!!Can Canのモデルみたい!」
「ありがとうございます。」
玉城は相変わらず口が軽い。
もちろん本気でそう思っているのだろうが、瑠夏が流しているのも事実だ。
ありさは隣に立つ航をちらりと見た。
≪相変わらず、格好いい・・・。≫
女子の中では背が高めで、身体も大柄のほうである自分でも包みこめてしまいそうだ。
そう考えて赤面する。
誰も、抱きしめられるというわけではないのに。
「花火取ってくるね!みんなの分!」
「ありがとうございまーす」
軽いノリで言った玉城に瑠夏が合わせる。
さっきから、ありさと航の間に会話はない。
二人ともちらりと相手を見てははっとして目線をはずす。
まるで付き合いたてのバカップルだ。瑠夏は内心ため息をついた。
「はい、これ!」
「こんなに?!玉城さんすごいですね!」
「お前、どんだけ持ってきてるんだよ。限度を知れ、限度を。」
腕いっぱいに花火を抱えてきた玉城を見て、航があきれたように言った。
確かに、4人で消費するには多すぎる。
「いや~、こっちは打ち上げだから!全部手持ちじゃないから!」
「10本以上あるぞ。全部おれたちで打ち上げるのか?」
漫才のような二人の掛け合いに、ありさは面白くて笑ってしまった。
「あは、いいのいいの。わたしの知り合いがたっくさん花火を用意してくれたから、どんどん使っちゃって?はい、ろうそく。使ってね。」
部長が笑いながらありさに花火を渡す。
ありさは小さく礼を言ってから受け取った。
部長はそのまま周りのグループにろうそくと花火を配り歩く。
―つくづく気のきく人だ。
ありさはそんな姿を見ながら部長に尊敬の念を抱いた。




