川で 航side
どうしても泳ぎたいという玉城は水着に着替え、航はTシャツに半パンという軽い出で立ちで川のそばにいた。
男子はだいぶ集まっているが、女子はあまり集まっていないようだ。
みんなきっと水着に着替えているのだろう。
ありさの水着姿を想像すると、少し身体が熱くなった。
もちろん誰にも気づかせないようにすぐに沈めたが。
「お待たせしました~」
それから瑠夏がやってきたのは10分後程だった。
黒っぽいビキニを身につけた瑠夏は恐ろしくスタイルがいい。
8等身あるのではないか。そのくせ、胸はほどほどにある。
すでに近くの玉城の眼はハートだ。
「瑠夏ちゃーん!超その水着似合ってるね!セクシー!可愛いね!」
よくもそんな調子のいいことが口からスラスラ出てくるものだ。航はあきれた。
それに対し、瑠夏はなれた感じで流している。さすが、ほめられ慣れている。
「ありさちゃんは・・・」
ありさの姿が一向に見えなかった。
航の問いかけに対し、瑠夏は申し訳なさそうに答える。
「ああ、ありさは・・・なんか、水着姿をみなさんに見せるのが嫌だから調理班に回るって・・・」
それを聞いた航は走りだした。
驚いている二人は後回しだ。
一番楽しみにしていたありさの水着姿を見ることが出来ないだと?!しかもそんな一方的な理由で!
河原の近くのテントに来ると、部長の峰岸とありさ、他数名の女子とそれの彼氏だろうか何人の男子たちの、数名が野菜を切っていた。
「やぁ。」
「こ、航先輩・・・」
航がありさの背後から声をかけると、ありさは驚いたように振り返った。
手元のニンジンは均等に切りそろえられている。
≪どうやら、料理も上手そうだ・・・≫
「あ、あの・・・泳ぎに行ったんじゃ・・・」
「うん、でもありさちゃんがいないと何しに来たかわからないよ。」
その言葉にありさのほほがピンク色に染まる。
とことん男慣れしていない証拠だ。航はそれを好ましく思った。
「で、も、あの。私やっぱり水着にはちょっと・・・」
「なんで?いいじゃない。」
ありさはピンク色のほほを隠すようにななめ下を向いた。
気づくと、調理班の女の子たちがこちらを興味津々に伺っている。
見たきゃ見ろ、聞きたきゃ聞け。
航はありさとの関係を公にしたかったので、ギャラリーをそのままにしておいたのだが、その状態に気づいた部長が二人に声をかけた。
「中村さん、抜けていいよ。」
「あ、はい・・・すいません・・・ありがとうございます」
「じゃあ、ちょっとお借りします。」
ありさは部長にお礼を言い、前を歩く航に続いた。
航はありさの歩調に合わせて歩く。
ありさは身長165cmと小さいわけではないのだが、航が185cmあるので、ありさの歩幅を考慮しないと早歩きさせてしまうことになる。
≪さて、一体どこへ向かうべきか・・・≫
河原にはサークルメンバーが集まっているし、バンガローに戻るのも面倒だ。
航は結局川の少し上流へ歩いて行った。




