お誘い 航side
あのあと、一体航はどうしたのでしょうか・・・
航の友人、玉城も出てきます。
正直、驚いた。
ありさのことは知っていた。いつもフットサルの試合を見に来ている女の子。
大学に入ってから染めたのだろうこげ茶色の髪の長いと、むちむちした太ももが印象的な子だった。
女の子から見たらなるべく細いほうがいいのかもしれないが、がりがりすぎて太ももが細ももになっている子は正直、航は好きではなかった。女の子はやはり柔らかくなくては。また、美容に気を遣わなさすぎるのも駄目だが、気を遣いすぎている子もあまり好きではない。
その点で行くと、ありさは理想的な子だった。
優しげな容姿に控えめな性格。むっちりとした体にどことなくただよう色気。
どこかしら男心をくすぐる子だった。
「おっ!航、チケットもらったのかよ~いいな~俺、誰からも誘われてねーよ。」
気づくと、いつの間にかいた悪友の玉城が後ろからチケットを奪う。
「おいっ、返せよ!」
取り返そうとするが、すばしっこい玉城はひょいひょいと航の手から逃れる。
そして、裏に書いてある誘い人の名前を読んだ。
「誰からだよっ、おっ、えーっと・・・中村ありさ・・・って、あのぷーちゃんか?」
「ぷーちゃん?」
航がいぶかしげに眉をひそめた。
「ぷーちゃんだろ。あの一年生の、ぶっくりした子。モテ男の航がよくあのぷーちゃんの誘いを受けたな~もっといい子から誘ってもらえただろう。お前、デブ専だったのか。」
玉城は友人同士として付き合っていく分には面白く、盛り上げる能力にたけているいい奴だが、いかんせん口が悪い。
顔は中の上または上の下。いまどきな感じで少しチャラいイメージがあるが、本命にはきっちりと尽くす一途なタイプだ。
本人はモデル体型のいかにもな美女が好きらしく、ありさのような子はタイプではないのか、いつも馬鹿にした口調だが。
「おい、失礼だろ。取り消せよ。」
「まじに怒んなって。それより、それ一枚くれよ!」
航は首を横に振った。
何が悲しくて気になる女の子を馬鹿にしてきた男に大事な一枚をやらなくてはいけないのか。
「え~?なんでだよ~くれよ~」
「絶対に嫌だ。」
航は一度決めたら簡単にはそれを変えない頑固なところがあった。
高校時代からの友人である玉城はそれを重々承知している。
こりゃまずったな。航の前でぷーちゃんの悪口なんて言わなければよかった。
と後悔しても後の祭り。
航はさっさと踵を返していなくなろうとしている。
ええい、こうなったら。
「うおっ!な、んだよ。」
玉城は航の腕にすがりついた。
どうしても、そのキャンプに参加したいのだ。
「悪かった!もうぷー・・・ありさちゃんのことについて何も言わないから、それを一枚くれ!いや、ください!」
頭を下げて頼む。
航は二枚のチケットと、目の前で頭を下げている玉城を見比べた。
確かに、このチケットはとても貴重なものだが、そこまでする価値があるのだろうか?
「なんでだよ・・・?」
「それに、瑠夏ちゃんいくだろ?俺、どうしても瑠夏ちゃんとお近づきになりたいんだ。お願いします!」
女のためにそこまで頭を下げる玉城が若干哀れになった。
≪別に、二枚とも俺のものだし、誰にあげるのも俺に勝手か。どうせ、あげるのはだれでもよかったしな。≫
航は自分をそう納得させて、一枚を玉城に差し出す。
玉城はははーっと大げさにそれを受け取って急いで自分のポケットに突っ込んだ。
「じゃ、ありがとなー!」
そして航の気が変わらないうちにその場を後にしたのだった。




