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夜 航side

「でさ~、そのときがさがさって音がして、瑠夏ちゃんと密着しちゃったんだよ!すげぇよ、俺!マジでやばかった、あの時は!」




同室になった玉城がベッドの上でにやにやしながら、肝試しのことについて語っている。

どうやら玉城が想いを寄せている瑠夏と少し進展があったらしく、うれしそうに報告をしているが、航はそんな些細なことにも苛立ってしょうがなかった。


≪どうして彼女は告白をしなかったんだ?≫




「・・・で?」


「は?」



玉城が興味深そうに、ベッドの上から身を乗り出して航に尋ねる。



「どうなんだよ?」


「だから、何が?」



なんとなく玉城の言いたいことは分かっていたが、告白されていないと言葉に出すことは癪だった。

しかし、空気を読まない男、玉城は航の様子なんて全く気にせず、つめよる。



「ありさちゃんだよ!告白されたんだろ?」


「・・・・・・」



不機嫌そうに黙りこんだ航の様子を見て悟ったのか、玉城の顔が驚きに染まる。



「えっ?ええっ?・・・されなかったの?」


「・・・・・・・」



どうやら、玉城から見ても不自然らしい。

当然だ。

二人はどこからどう見ても両思いだったし、あそこまでお膳立てされたのだから告白しないというのはあり得なかった。



「なんで?なんでだろ?ええっ?・・・うーん・・・」



もはや航は玉城に返事をするのも嫌になった。

今夜はあわよくばありさと過ごそうかと思っていたのに、こんな口うるさい友人の惚気話を聞かされるかもしれない。

航はベッドに入って布団を頭からかぶった。



「いや、ちょっと緊張しすぎただけじゃね?いや、多分、もう一回チャンスがあれば告白してくるよ!絶対!じゃっ、じゃあ俺さ、瑠夏ちゃんに、ありさちゃんを部屋に一人にしてもらうよう頼むよ!そしたらさ、絶対大丈夫だから!」



いつもは穏やかな航のいらだちに恐怖を感じたのか、玉城が一気にそう言って携帯電話を取り出す。

そしておもむろにどこかに電話をかけた。



「も、もしもし?瑠夏ちゃん?・・・・・・・そう。玉城だよ!あのさ~、今そこにありさちゃんいる?・・・・・・・そう、じゃよかった。あのさ~、肝試しでありさちゃんが航に告白しなかったこと、知ってる?・・・・・・え?・・・・・・・・えっ、マジかよ?!えええ?・・・・・・・う~ん、そのことでさ、航がちょっと・・・・そうそう。だからさ~、今夜、ちょっとありさちゃんを・・・・・・・そうそう。・・そこのところ、お願いします!!!・・・・・・・・・・あ、ありがとう!!!!じゃあ、12時に!俺たち、22番の部屋だから!うん、じゃあ!」



そう言って、玉城は電話を切った。

一体いつの間に瑠夏と携帯番号を交換していたのか。抜け目のない奴だ。


玉城の言葉を聞いていると若干引っかかるところはあるものの、航は12時を楽しみにしていた。

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