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第一『蒼黒の糸を持つ少年』
人の心は、力になり繋がる。
澄み切った青空に、二色の糸が舞った。
一本は空を映したような青。
もう一本は夜を閉じ込めたような黒。
その蒼黒の糸は風を裂きながら雲の間を駆け抜け、街の建物へと伸びていく。
青髪のツーブロックを風になびかせ、赤い瞳を輝かせる少年。
その名は、エミュール・アドラー。
「よし、今日も遅刻回避だぜ!」
少年は勢いよく、仲間たちが待つ訓練室の扉を開いた。
「アンタねぇ……また石解を遊びに使って!」
呆れた声の主は、幼馴染のリリア・ヴァンシアだった。
ここは、武羅江。
世界に存在する十一国家の一つ。
この世界では、人の心が力になる。
喜び、怒り、悲しみ、願い。
強い想いは形となり、やがて特殊な力として具現化する。
人々はそれを――
石解と呼んだ




