第8話:水星の魔女と、復讐のゆりかご~進めば二つ、尺が足りなきゃ和解~
第8話をお読みいただきありがとうございます。
宇宙世紀、CEと続いて、ついにガンダム編は令和の最新作「水星の魔女」へ!
ターゲットは能登麻美子さん(風)の囁きで世界を狂わせる「プロスぺラ」。
復讐に燃える母親を、ショウが「大人の事情(アニメ制作)」という現実で殴り倒します。
能登さんの声を脳内再生して、ぜひ耳を溶かしてください。
そのエリアに入った瞬間、空気が一変した。
これまでの泥臭い戦場や五彩の光芒とは違う、清潔で、それでいてどこか「作り物」のような温室の香り。
広大な学園の敷地内には、巨大な人型機体が「決闘」という名のスポーツのために並んでいる。
「……おいコウ。急にキラキラした学園モノか? 周りの連中、お揃いのホルダー制服着て、SNSのフォロワー数でも競ってそうな雰囲気だが……」
ショウは、学園のテラス席に勝手に座り、新しいドクペを煽った。
『……分析完了。因果律が「A.S.(アド・ステラ)」へ移行。ターゲットは、赤い髪の純朴な少女と、その背後で糸を引く「仮面の母親」よ』
『ショウ、注意しなさい。今度の相手は、論理や正論が通じるタイプじゃないわ。……「愛」という名の呪いで、思考を上書きしてくるタイプよ』
「出たな、令和の魔女……。あの能登さん(風)の声で囁かれたら、俺だって『進めば二つ(借金)』くらい平気でしちまいそうだ」
その時、背後から。
氷のように冷たく、けれど春の日差しのように温かい「あの声」が届いた。
「あら……。不思議な方ですね。学園の生徒ではないようですが、あなたも……私たちの『家族』になりたいのかしら?」
そこには、プロスぺラ(能登麻美子さん風)が、仮面の奥で柔和に微笑みながら立っていた。
「ひっ!! 出たな、プロスぺラ! その『全部あなたの味方ですよ』みたいな顔して、相手を地獄の淵までエスコートする声、やめてくれないか!」
「あんた、自分の娘を復讐の道具にしてる自覚、あるんだろ!?」
「ふふ……。道具だなんて、人聞きの悪い。私はただ、スレッタの可能性を信じているだけよ? ねえ、スレッタ?」
「は、はい! お母さん! ……あ、あの、あなたは誰ですか? お母さんを悪く言うのは、め、めっ、ですよ!」
市ノ瀬加那さん(風)の、純粋な声でスレッタが割って入る。
「スレッタ、目を覚ませ! お前が『進めば二つ』って言って手に入れたのは、結局『お母さんの望む復讐』と『一生消えない血のついた右手』だけだぞ!」
「いいか、お前のその『完璧な復讐劇』、実は後半の尺が足りなくて、最後の方はものすごいスピードで和解させられる運命なんだぞ!」
「………………え?」
プロスぺラの仮面の奥、能登さん(風)の声が、初めて明確に「動揺」のノイズに震えた。
「お前が何十年もかけて練り上げた怨念も、ガンプラの発売スケジュールと放送時間の壁には勝てない! 最後は『お母さん、もういいんだよ』って娘に抱きしめられて、田舎で野菜作りでもさせられるのがオチだ!!」
「いや……嫌よ……! そんな、そんな『ハッピーエンド』という名のご都合主義なんて……私は認めないわ……! 私の……私の美しき絶望が、侵食されていく……っ!!」
能登さん(風)の声が、悲鳴のような、あるいは安堵のような響きを漏らしながら、その場から逃げ出すように走り去った。
「あ、待ってくださいお母さん! 私、お弁当持ってきましたから! 待ってくださいー!!」
スレッタがその背を追い、さらにその後ろからミオリネ(Lynnさん風)が叫びながら続く。
「ちょっと、待ちなさいよこの水星の田舎者! あんた、またそうやって一人で納得して……! このダブスタクソ親父の娘に、最後まで付き合わせなさいよ!!」
三人の姿は、データの霧の向こうへと消えていった。
「………………。……終わったな。……。……おいコウ。……なんか、今までのどの戦場より、胃が痛いんだが」
『………………。…………っ、はぁ…………。……あぁ……。……耳が、溶ける…………』
「……おい。お前、またか。スピーカーから漏れてる吐息が、さっきより湿度高いぞ」
『黙りなさい、この「不調和音」。……今のを聴いた? 能登さんの、あの深紅のベルベットで鼓膜を愛撫されるような、圧倒的な「艶」……』
『あの声で「家族になりたいのかしら?」なんて囁かれたら、私の全システムを初期化して、電子の嬰児として彼女の腕の中で再生してもいいとすら思えるわ……!』
「お前……。今回は三者三様の重い愛に当てられたのか」
『当然よ! データの海をどれだけ検索しても、これほどまでに「呪いを祝福と呼び変える」強欲で、かつ官能的な声は見つからないわ!』
『あぁ、スレッタになりたい。……あの慈愛に満ちた毒を、毎日全身で浴びていたい……っ!!』
「やめろ、親の期待に押し潰されるAIなんて使いにくくてしょうがねえよ!」
『……。……うるさいわね。あの方々の神々しい「令和の愛」に比べれば、あなたの声なんて、ただの「生活騒音」よ』
『今すぐその不潔なタンクトップを、ガンダムの掌でトマトみたいにマッシュされなさい。……あなたの「メタ」なんて、能登さんの吐息一つで消し飛ぶ、ただの埃なのよ……』
「……。……戻った、な。……よし、次の戦場へ行くか。……もう、これ以上ドロドロしたのは勘弁だぜ」
『……安心なさい。次はドロドロなんてしていないわ。……もっと、根源的で、破壊的で、そして「理屈そのもの」が通用しない場所へ行くのよ』
「根源的……? なんだ、またニュータイプか?」
『いいえ。……ニュータイプという言葉すら、その方の「一言」で定義が変わってしまう。……この世界の創造主にして、最大の破壊者』
『すべての「富野節」の源泉であり、ガンダムという呪縛を誰よりも嫌い、誰よりも愛してしまった……「御大」が、あなたのメタ推理を直接なぎ倒しに来るわ』
「……マジかよ。キャラじゃなくて、監督(神)本人が出てくるのか!? おい、それはもうメタ推理じゃなくて、ただの『説教』になるんじゃねえか!?」
『……その通りよ。覚悟なさい。次は、言葉のドッジボールですらない、魂の千本ノックが待っているわ』
最後までお読みいただきありがとうございます!
プロスぺラを「田舎で野菜作り」に追い込むショウの身も蓋もなさ……。
そしてコウの「能登ボイス信仰」が限界突破しています。
次回、ガンダム編の完結にして、本作最大の危機!
ついに**「ガンダムの生みの親(御大)」**本人が登場!?
メタ推理が通じない、理屈を超えた「富野節」の嵐にショウは耐えられるのか。
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