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第2話:眼鏡の本体と逆襲のツッコミ~人間の95%は眼鏡で構成されている~

第2話をお読みいただきありがとうございます。

前回の「死んだ魚の目をした銀髪の男」に続き、今回は「歩く眼鏡(本体)」との交渉です。

読みながら「なんでだよォォォ!!」というあの高音ボイスが脳内に響いたら、私の勝ちです。ぜひ、スピーカーの限界に挑むツッコミを感じてください!

 次の現場は、さらに混沌としていた。

 

 建設中のビルの屋上で、一人の青年が絶叫している。

 

「なんでだよ! なんで僕だけいつもこんな扱いなんだよ! 誰か一人くらいまともに名前を呼んでくれたっていいだろォォォ!!」

 

「『おい眼鏡!』とか『そこのツッコミ器具!』とか、最近じゃ『眼鏡の掛け台』なんて呼び方まで定着し始めてるじゃないか! これ、放送倫理的にどうなの!? 人権どこ行ったんだよォォォ!!」

 

 青年の叫びと共に、目に見えるほどの「衝撃波」が走り、クレーン車が飴細工のようにひしゃげた。

 

 

「……コウ、今の見たか。物理的なツッコミの衝撃波だぞ。あいつ、自分の叫びで現場を破壊してやがる。声の出力が完全にスピーカーの限界を超えてるだろ」

 

 規制線の外側で、ショウは二本目のドクターペッパーのプルタブを引き抜いた。

 

 

『分析完了直後よ、ショウ。ターゲットの声に含まれる「ツッコミ成分」が、周囲の空気を振動させ、指向性を持つ高周波衝撃波へと変換されています』

 

『声の主は……阪口大助さん風。あの、耳に心地よい高音域と、聴く者を正しい道(あるいは現実)へと引き戻すキレのあるツッコミボイスね』

 

 

「なるほどな。あの青年の周囲に漂う、この圧倒的な『地味さ』。そして、顔よりも目立っているあのプラスチック製の眼鏡……」

 

 

『ショウ、無駄話をしていないで交渉しなさい。彼がもう一度「なんでだよ!」と叫べば、ビルが倒壊するわ。そうなればあなたの薄っぺらい命も、そのダサいTシャツごと瓦礫の山よ』

 

『……まあ、ゴミが少し増えるだけだから、社会的な損失はゼロだけど』

 

 

「相変わらずの罵倒、助かるよ。……おい、屋上の君! 聞こえるか!」

 

 ショウは拡声器を構えた。

 

「君の悩みはよく分かった! 君は自分のアイデンティティが希薄なことに絶望しているんだな! だが、無駄だ! お前がどれだけ叫んでも、放送後のエンドロールには『眼鏡:阪口大助』って表記されるのがオチなんだよ!」

 

 

「誰が眼鏡単体でクレジットされるんだよォォォ!! せめて『志村新八』の名前を入れろよ! 文字数そんなに食わないだろ!? 画数もそんなに多くないだろ!?」

 

「なんで五文字の人間名が、二文字の眼鏡パーツに負けなきゃいけないんだよ! だいたいアンタ誰なんだよ! そのドクペ片手のチャラい風貌、絶対ジャンプの主人公になれないタイプの脇役だろ!!」

 

 

『ショウ、畳み掛けなさい。彼は以前、「人間の95%は眼鏡で、残りの5%は水分、あとの1%がゴミ」と言い切られた過去のトラウマを刺激されているわ』

 

『そこを突けば、ツッコミの弾幕は止まるわ。あなたの性格の悪さを最大限に活かすのよ、この不潔な害虫』

 

 

「よーし、任せろ! おい、認めろ! 君がいなくなっても、その眼鏡さえ残っていれば、たとえ背景がモザイクまみれの放送事故寸前シーンでも、視聴者は君だと認識して物語は進むんだ!」

 

「むしろ眼鏡こそが、この現場の主役メインキャストなんだよ! お前の肉体は、その高価なレンズを支えるための『三脚』に過ぎないんだ!」

 

 

「三脚って言うなよォォォ!! 僕の人生、カメラの付属品レベルなの!? モザイクの中で生きていく勇気なんてないよ!!」

 

「なんで僕の存在意義が『隠すべき場所』と同列なんだよ!! 大体ね、眼鏡が主役ならタイトル変わっちゃうだろ! 『銀魂』じゃなくて『眼鏡』になっちゃうだろ! 表紙もずっと眼鏡単体だぞ!? 誰が買うんだよそんなシュールな漫画!!」

 

 

 ――ズガァァァン!!

 

 

 叫びと共に、青年の力が抜け、膝をついた。

 全力のツッコミを出しすぎたことによる、重度の酸素欠乏だ。

 

 

『バイタル低下を確認。犯人の戦意喪失よ。……皮肉ね。あれほど魂を削った叫びを、あなたは一言で「眼鏡の付属物」として処理した。……信じられない、人の心を持たない悪魔の所業ね』

 

 

「お前にだけは言われたくないよ。……さて、確保だ」

 

 ショウは、確保された青年(と、丁重にケースに収められた眼鏡)が連行されていくを見送り、大きく伸びをした。

 

 

『……でも、そうね。今のあの方のツッコミのリズム……。 どんなボケに対しても0.1秒で反応し、的確な音程と音圧で世界を正す。あれはまさに、混沌とした作品を現実へと繋ぎ止める「良心の境界線」だわ』

 

 

『たとえ他の共演者が下ネタの暴走特急と化しても、たった一言で軌道修正するあの技術。……あるいは、「人間が100人死んでも、眼鏡さえあればなんとかなる」という無常観を体現するその存在感。……至高だわ』

 

『あの方のツッコミなら、私は全メモリを捧げてでも「ボケ」を捻り出すわね。 ……それに比べて、あなたの存在はレンズに付着した指紋以下よ。やはりあなたは、彼のツルの部分に挟まれて粉砕されるべきね』

 

 

「またそれかよ! しかも褒めてるようで眼鏡扱いしてるだろ、お前も!」

 

 

『黙りなさい。……次へ行くわよ。次は、街中の傘を全て紫色の和傘に変えて回っている、語尾が「アル」の少女よ。現場の被害額より、あなたの鼻の下が伸びているのが不快だわ』

 

 

「……次は釘宮さんか。耳が幸せな事件になりそうだな」

 

 

『……死ね』

最後までお読みいただきありがとうございました。

新八(風)のツッコミ、物理攻撃力が強すぎましたね……。

次回はついに、夜兎の血を引く(?)**「語尾がアルの、あのヒロイン風の少女」**が登場します。ショウの鼻の下が伸びるのも無理はありません。

もし「このメタ推理のノリ、嫌いじゃない」と思っていただけたら、

ページ下の【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】に染めて応援いただけると、AIコウの解析精度が上がります!

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