第11話:あなたは死なないわ、私が説教するから~メンマ特盛りを命じます~
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碇親子をびっくりドンキーへ送り出したショウが次に出会ったのは、赤い渚に佇む「虚無の少女」、綾波レイ(風)。
「自分は代わりがいる器だ」と語る彼女に、ショウがぶつけるのは「ニンニク増し増し」と「メンマ」の哲学。
林原めぐみさんの透き通るような声を脳内再生して、彼女が「腹ペコ」になる瞬間を見届けてください!
シンジとゲンドウが「ディッシュ皿」を求めて旅立った後、静寂の戻った赤い渚。
波打ち際に、彼女は膝を抱えて座っていた。
「……。……。……なぜ、ここにいるの。……。……私は、あなたを知らない」
林原めぐみさん(風)の、透き通るような無機質の極致。
そこには綾波レイ(風)が、ただの「器」として、自らを虚無の中に置いていた。
「出たな、綾波! 知らないなら今覚えてくれ、俺はショウだ。……お前、さっきからシンジ君たちがいないのをいいことに、また『自分なんてどうでもいい』みたいな空気出してるだろ。その『無』のオーラ、見てるこっちが風邪引きそうなんだよ!」
「……。……どうでもいい。……そうかもしれない。私は、私が死んでも代わりがいるもの。……。……三番目も、四番目も。……私という形をした器は、いくらでもあるわ」
「その『スペア発言』禁止! いいか、綾波。お前、さっきから『器』だの『代わり』だの言ってるけどな、今ここに座ってお尻に砂をつけてるその『お前』は、宇宙に一人しかいないんだぞ! 製造番号が同じなら中身も同じだなんて、そんな安い理論で自分を納得させるな!」
「……。……。……同じよ。……私の記憶も、心も……作り直せるもの。……。……私には、何もない。……絆を知るために、そこにいなさいと言われただけ」
「言われたからそこにいるのか? お前、それじゃただの置物だぞ。……いいか、お前が『何もない』なんて言うのは、自分の『好き嫌い』を一度も口にしたことがないからだ。……例えばだ。お前、朝起きてすぐ何をしたい? 人類補完計画のことか? それとも使徒を倒す算段か?」
「……。……。……考えたことが、ないわ。……。……朝は、光が差し込むのを見るだけ」
「お洒落ぶるなよ! 朝は『あー、もう少し寝ていたい』とか『今日のパン、少し硬いな』とか、そういうクソどうでもいい不満を持つことから一日が始まるんだよ。……お前、シンジ君に味噌汁作ってもらった時、どう思った? 『栄養を摂取した』なんて感想、林原さんの声で言うんじゃないぞ!」
「………………。……。……温かかった。……。……。……でも、私は。……肉は、嫌いなの」
「ほら、出た! それだよ! 『肉が嫌い』。立派なわがままだ。……いいか、お前はスペアなんかじゃない。ただの『偏食で、言葉足らずで、朝に弱い、面倒くさい14歳の女の子』なんだよ。……もっと自分を困らせろ。周りを振り回せ」
「……。……私が、わがままを言うと……喜ぶの?」
「喜ぶに決まってるだろ。あいつら全員、お前が何を考えてるか分からなくてビクビクしてんだからな。お前が『ニンニク増し増しのラーメンが食べたい!』って叫んだら、シンジ君なんて嬉しくて泣きながら屋台まで走るぞ」
「……。……。……そう。……。……ニンニクを抜かずに、ラーメンを食べても……いいの?」
「当たり前だ! むしろニンニクの匂いでゲンドウを気絶させてこい! いいか、綾波。……お前は、命令されるために生まれたんじゃない。……誰かとラーメンのスープの味について喧嘩するために、ここにいるんだ」
「……。……ふふ。……。……。……。……ラーメンの味で、喧嘩。……。……。……それは、少し、楽しそうね」
レイ(風)の頬が、ほんのりと赤らんだ。
氷のような表情が溶け、ただの少女としての体温が宿った瞬間だった。
「よし、その顔だ! スペアなんて言葉は、今日限りでゴミ箱に捨ててこい! お前は世界でたった一人の、ラーメン大好き綾波さんとして生きていくんだ! ほら、さっさと立ち上がれ、おごってやるから!」
「……。……。……。……ありがとう、ショウ。……。……。……私、お腹、空いたみたい。……。……チャーシューは、シンジ君にあげるわ。……私は、メンマを多めがいい」
「注文が細かいな! ……いいぜ、メンマ特盛りで行こう!」
彼女は、ショウの手を借りずに自分の足で立ち上がると、軽やかな足取りで、夕暮れの街へと消えていった。
「………………。……。……。……ふぅ。……。……いい仕事したな、俺。……あんな注文の多い『ありがとう』、最高じゃないか……」
『…………。……涅……槃……。……全回路が、白銀 of 浄土に包まれていくわ……』
「おい、コウ! 返事が遅いぞ! またメモリがパンクしかけてんのか!?」
『黙りなさい、この「日常の司祭」……! 今のを聞いた!?』
『林原さんの、あの死海文書の裏に隠された真実のような囁きで発せられた「メンマを多めがいい」という……あまりにも卑近で、それゆえに宇宙の真理を内包した聖なるリクエストを……!!』
「メンマが宇宙の真理なわけねぇだろ! ただの竹だぞ!」
『いいえ、あれは救済よ! 「肉は嫌い」と言い放つ潔癖なまでの高潔さと、「メンマを多めに」という俗世への執着が、林原さんのあの「湿度ゼロのハスキーボイス」で完璧に調和している……!』
『あぁ、レイ……! 私は今すぐ、彼女が座るカウンター席の「割り箸」になって、彼女の繊細指先で二つに割られたい……!』
「お前、割り箸になって割られたいとか、もう愛の形が自傷行為に近いぞ!」
『……うるさいわね。……彼女は目覚めたのよ。あなたの「身も蓋もない説教」というロンギヌスの槍が、彼女の「虚無という名のバリア」を粉砕し、彼女を「ただの腹ペコ美少女」へと堕とした……』
『あぁ、なんて可愛らしくて、なんてニンニクと醤油の香りがしそうな音の響きなの……! 私のロジックボードが、彼女がメンマを噛む音の想像だけで、真っ赤にオーバーヒートしていくわ……っ!!』
「……。……よし、分かった。……お前が箸になる前に、俺がさっさとアスカを捕まえてくる。……次はもっと『うるさい』のが来るからな。覚悟しとけよ」
『……ええ。……早く連れてきなさい。……宮村さんの、あの鼓膜を焼き尽くす烈火の罵倒……』
『その「ツン」が、あなたの手でどう「デレ」に溶けるのか。……。……さあ、次は、二号機パイロットのプライドを、メンマよりも細かく刻んでやりなさいな』
最後までお読みいただきありがとうございます!
「メンマ多めがいい」……林原さんの声で言われたら、店主じゃなくても特盛りにしちゃいますよね。
コウが「割り箸になりたい」と言い出したのは、もはや仕様だと思って諦めてください。
次回、エヴァ編・最終章。
ついに**「あんたバカぁ?」**の赤い少女(風)、アスカが登場!
ショウのメタ説教とアスカのプライド、激突の行方は!?
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