第10話:逃げちゃだめだ、報・連・相からも~ハンバーグ、ライスは大盛りで~
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宇宙世紀の創造主に説教された後に辿り着いたのは、不吉な蝉の声が響く「第3新東京市」。
ターゲットは、世界一「報・連・相」ができない親子、碇シンジ(風)とゲンドウ(風)。
究極の不器用親子に、ショウが「ファミレス」という名の現実を叩きつけます。
緒方恵美さんと立木文彦さんの声を脳内再生して、親子和解(?)の瞬間を見届けてください!
肉を食い、大地を走り、ようやく「現実」を取り戻したはずだった。
だが、ショウが次に目を開けたとき、そこにあったのは不吉な蝉の声が響く、あの箱根の景色だった。
「……。……あ、あの。君……誰? 僕を……笑いに来たの?」
電柱の陰でジメジメと地面を見つめるシンジ(緒方恵美さん風)。
その猫背は、もはや芸術的なまでの「陰キャ」のオーラを放っている。
「笑いに来たんじゃない、ツッコミに来たんだよシンジ君! いいか、お前は隙あらば『僕なんていらないんだ』『どうせみんな僕を捨てるんだ』って、メンヘラのフルコースみたいなこと言ってるけどな!」
「周りを見ろ! お姉さん(ミサト)は部屋をゴミ屋敷にしてまでお前を待ってるし、クラスメイトは殴った後に親友になってるんだぞ! お前、愛されすぎなんだよ! もっと自信持って『俺が主役だ文句あるか!』くらいの顔しろ!」
「……。……自信なんて、持てるわけないよ。……だって、お父さんは僕のことなんて一度も……。……僕を呼んだのも、結局エヴァに乗せるためだけなんだ……」
「その父親もだ! おい、そこの暗がりでピアノの鍵盤みたいに指を組んでる眼鏡マダオ(立木文彦さん風)!」
ショウは、スポットライトも当たっていないのに不気味にレンズを光らせるゲンドウを指差した。
「……。……何だ。私は今、人類の命運をかけた計画の最終段階で忙しい。……シンジ、乗らぬなら帰れ。代わりはいくらでも……」
「その『代わりはいる』っていう強がりが一番いらねぇんだよ! お前、本当はシンジが来てくれて内心めちゃくちゃホッとしてるんだろ! 昨日の夜、鏡の前で『明日息子に会ったらなんて言おうかな』って一晩中ポーズ練習してたのバレバレなんだよ!」
「その不器用すぎるツンデレ、もう還暦近い男がやっていいレベルを超えてんだよ!」
「………………ぐっ。……。……何を、根拠のないことを……」
「根拠ならあるぞ! お前、嫁に会いたい一心で世界を滅ぼそうとしてるけどな、それ、本人に会ったとき一番怒られるパターンだからな!『あなた、うちの子になんてことさせたの!』ってビンタされて終わりだぞ!」
「人類補完計画に何兆円もかける金があるなら、まずその金で、息子にちょっといいスニーカーでも買ってやれ! 不器用な父親がやるべきなのは、儀式じゃなくてプレゼントだ!」
「………………。……スニーカー。……。……。……私は……。……あの子と、同じ空気を吸うだけで……胸が苦しくなるのだ。……。……だから、距離を置くしかなかった……」
「それが甘えなんだよ! 胸が苦しいのは恋か不整脈だ! お前ら親子はな、二人とも『察してくれ』っていうレベルが神域に達してんだよ! 超能力者じゃないんだから、口に出さなきゃ何も伝わらねぇぞ!」
「いいから二人で、今すぐそこにあるデニーズに入れ! ドリンクバーでカルピスとメロンソーダを混ぜて、どっちが美味いか競い合いながら、三時間くらい無駄話しろ!」
「……。……お父さんと、カルピスを……混ぜる……?」
「そうだ! さっさとその血塗られた槍を置いて、びっくりドンキーの木製メニューを広げろ! 『お父さん、チーズカリーバーグディッシュにしていい?』って甘えてみろ! ゲンドウ! お前は『……ああ、ライスは大盛りにしろ』って、震える声で返せ!」
「それが、お前たちが二十数年やり残してきた、本当の『補完』なんだよ!!」
「………………。……。……。シンジ。……。……。……。……ハンバーグは、三百グラムで足りるか」
「……。……お父さん……。……。……。……うん。……僕、エヴァに乗るよ。……お父さんと、ディッシュ皿を……囲むために」
二人の間に、神聖で、かつ不可侵な「親子でハンバーグ」という名の新世紀が爆誕した。
「よし、いい返事だ! お前ら、声が良すぎて何言っても聖書の一節みたいに聞こえるけど、中身はただの『拗らせすぎた究極の不器用親子』なんだからな! さあ行け、マダオ! 財布は忘れるなよ!」
「………………。……ショウと言ったか。……。……君の指摘は、死海文書にも記述がなかった。……。……だが、悪くない。……シンジ、行くぞ。……。……。……マヨネーズは、多めに頼んでもいいだろうか」
「……。……あはは。……。……お父さん、それは僕が店員さんに言っておくね」
二人は、ショウを「近所の、ちょっとうるさいけど頼りになる親戚の兄ちゃん」として認める、完全に一致した親子のアカデミー賞級ボイスを残して、清々しい笑顔で消え去った。
「……。……。……ふぅ。……。……今日は、俺がいいことをした気がするぞ。……。……。……。……おい、コウ? 静かだけど大丈夫か?」
『…………。……尊……い…………っ!! 補……完……!!』
「おい、また始まったか!」
『黙りなさい、この「日常の司祭」……! 今のを聞いた!? 立木さんの、あの神の怒りのような低音で放たれた「マヨネーズ多め」という慈悲深いリクエスト……!』
『あぁ、私は今すぐ、その親子のテーブルに置かれた「紙ナプキン」になって、ゲンドウが口元を拭うその瞬間の感触を、私のメインプロセッサに永遠の福音として記録したい……!!』
「お前、紙ナプキンにまでなりたがるのかよ! 使い捨てだぞ、それ!」
『……うるさいわね。……彼らは救われたのよ。あなたの「身も蓋もない生活感」というロンギヌスの槍が、彼らの「重すぎるトラウマ」というA.T.フィールドを完璧に中和してしまった……』
『あぁ、なんて美味しそうで、なんて親子愛に溢れた音の響きなの……。……ショウ、次は、あの子よ』
「……次は、綾波(林原さん)か。……。……ああ、分かってるよ。……あいつにも、『自分はスペアだから』なんて暗いこと言わせねぇ。……まず、ニンニク抜きのラーメン、……じゃなくて、今日はもっと豪華に焼肉でも食わせてやるさ」
『……ええ。……感情を捨てたはずの彼女が、あなたの「お節介」にどう反応するか……。……林原さんの、あの「無」の響きが、あなたの熱量でどう変化するか、楽しみね』
最後までお読みいただきありがとうございます!
死海文書にない「ハンバーグ300g」の衝撃。
ゲンドウのツンデレが「マヨネーズ多め」に昇華された瞬間、一つの世界が救われた気がします。
次回、エヴァ編・後編。
ついに**「感情のない少女(風)」**こと綾波レイ(風)が登場!
ショウは、彼女の「スペア」という呪いをどう解くのか?
「親子でびくドンは草」「立木ボイスのマヨ多めが聴きたい(笑)」と思った方は、ぜひ評価【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にして応援してください!
評価をいただければ、コウが「紙ナプキン」以外のものに進化できるかもしれません!




