神の宝物を探せ! ガチャガチャ・サバイバルゲーム!
神が。
カプセルに入れた宝物を、世界中にあるガチャガチャの中の一つに隠したらしい。
そんな噂が流れて以来、ガチャハンターとして俺は世界中のガチャを探し回っている。
そして今、日本最大級のガチャドームにて、ずらりと並んだガチャガチャの前で仁王立ちをしている。
その横には、硬貨をチャリチャリと鳴らしながらズラリと並ぶ、ガチャハンターたち。
これは、神の宝物を賭けた争奪戦、サバイバルゲームなのだ。
手にした者は、地球を支配できる、いや億万長者になれる、はたまた年金が倍になるとの噂。
さあ、ガチャガチャを回すぞと、俺は100円を入れた。
「バカか。相手は神の宝物だぞ。100円ガチャに入っているわけがないっ」
隣の男が言った。
「なるほどそういう考えもあるな。だが、神は金銭感覚なんかとっくに超越した存在だ。金額なんか関係ねえよ。100円なら回数回せる分、確率も上がるだろう」
俺は隣の男に言い返した。
「ふん、そう思いたけりゃそう思え。おりゃ!」
男が出てきたカプセルを開ける。キャラクターのラバーバンド、手首に巻くアレだ。
男は、そのラババンに、神からのメッセージが書かれていないかを、食い入るようにチェックしているが、どうやらハズレらしい。
「バカめ」
俺のターン。さあ、サバイバルゲームの始まりだ。俺は絶対にアタリを引いて、勝利してみせる!
ハンドルを回し、コロンと出てきたカプセルを渾身の握力で割る。
中身は。
「紙だ! 紙が入ってる!」
興奮のあまり、叫んでいた。すると、その場にいたガチャハンターたちが一斉にこちらを見る。
「なんだと!」
「おい、アタリじゃねーかそれ!」
「読んでみろ」
俺は鼻高々で、紙を広げた。
そしてありったけの声を出し、大声で読んだ。
『紙をくれっ』
ざわっと、騒がしくなる。
「どういう意味だ、神が紙をくれとは……」
「神と紙の漢字違い……まさか、神のダジャレってことはないだろうな!」
「大いにあり得る。おい、誦じてみろ。世界が変わるかも知れない」
「わかった。よし、いくぞ」
俺は腹にありったけの力を込めて、叫んだ。
『紙をくれーえぇぁい』
俺の叫びは天に届くのだろうか。これで世界が変わるのか、それとも俺に億万長者の権利がやってくるのか。
「ちょっとお、『紙』が欲しいのはワシの方なのよ。遊び心でサバゲー開催しちゃったけど、もう待てないな。しゃーない、こっから叫ぶか。『トイレに紙がなーいぃぃい!! 誰か紙をくれーえぇぇ』」




