魔法
俺たちは屋敷敷地内にある訓練場に来ていた。
さて……本物の魔法を見せてやる(キリッ)と外に出たのはいいもののどんな魔法を使うのかは考えてなかった。
とりあえずこういう時は炎の魔法だよな。炎炎っと……
ちゃんと使えるかな……?ドキドキしてきた……
俺は本から読み取った情報通りに呪文を唱えようとしたが何か恥ずかしくなったので端折った。
「炎よ……」
俺が手をかざし言霊を発すると凄い勢いで炎が爆ぜた。
天高く空に向かって上る火柱。
うわ……私の魔法威力高すぎ……
「すごい……なんて巨大な炎……それも今のは詠唱省略じゃない。それでこの威力なの……?これなら……」
ぶっちゃけ呪文自体いらないような気がしたが、なんか言った方がそれっぽいから今後もそうすることにしよう。
「水よ……」
火を焚いた後はちゃんと火消ししないとね。
空から降ってくる水。
「凍れ」
そういうと一瞬で凍った。
パチン
俺が指を鳴らすと氷は砕け散った。
「当然こんなのは序の口な訳だが」
「今のが序の口?一体本気を出したらどれだけの威力が出るというの……?」
「まぁこの屋敷くらいは吹っ飛ぶだろうな……」
等と適当なことをほざいてみる。
「そんなの一人前の魔術師が何十人も必要な儀式魔術じゃない。それをたった一人でできるというのね貴方は?」
「当たり前だろう?俺を誰だと思っているマスター」
「そうね。魔人が伝承にある通りの存在だとすればそんなの朝飯前だわ」
そうだったのか……魔人恐るべし……
「さて……ここでは少し狭いか」
俺たちは屋敷の広場に移動した。
「本番はここからだ」
俺は手をかざし大規模な魔法陣を展開した。
「魔界の門よ開け……我が呼びかけに答え我が力となれ……」
詠唱は適当である。
召喚陣の形は書庫にあった本で大体知ることができたので俺を召喚したらしき魔法陣(魔界から魔人を召喚するものだが何故か俺が召喚された)をアレンジした。
現れる黒い魔獣の群れ。
「なんて数の魔獣……それも一体一体がとても密度の濃い魔力を秘めている……それが一体何体いるの?」
「666だ」
自分で言ってて安直だと思った。
「我らが主よ。此度の召喚に感謝致します。なんなりとご命令を」
その中の一体が言った。皆思い思いの服従の姿勢をとっている。
「すごい……召喚者に魔獣が服従するなんて……」
「ふむ、魔物の群れがせまっている。そいつらを蹴散らせ」
「承知致しました……それで魔物の群れは何処に?」
「あ」
移動のことを考えていなかった。
こうして俺は心強い666の魔獣を召喚したのだった。