書庫にて
俺は今情報収集をするべく書庫に来ていた。
なんでもスタンピードは数十年から百年に一度起きるらしい。
詳しい内容は書庫の蔵書に書いてあるらしいのだが……
「……」
当たり前だが読めない。
こんな時22世紀の某なんとか型ロボットがいれば、美味いのかどうかわからないコンニャクを出して一発で解決なんだがなぁ。
「……コンニャクさえあれば……」
「……コンニャク?それが必要なの?」
しまった。声に出してしまった。
「……あぁ、そうだ今とても必要なものだ」
「コンニャク、それが何かは分からないけど神秘的な響きを感じるわ」
そうか?
「しかも、ただのコンニャクではないんだ……」
「しかも、ただのコンニャクではないのね……それはきっととても厳かなものなんでしょうね」
現実逃避しても始まらない。
謎の理解を示すエリーズをスルーして本に目を戻す。
と俺が本のページを凝視していると不思議となんだか意味が解る気がしてきた。
(王国歴782年に記録上最初のスタンピード……)
何の効果か俺は異世界の文字を読めるらしい。
これが魔力の力なのか何なのは知らないが便利な能力だった。
そもそもエリーズと会話できている時点で不思議ではあったのだがこれは本格的に俺の能力が開花し始めたのでは?
しかしこれを一ページずつ読んでいくのは手間だな……
そこで俺は閃いた。物は試しに本を空中に浮かべるイメージをしてみる。
そうするとあら不思議それだけで本が宙に浮いた。
おぉ。次は速読のイメージでページを繰るイメージをする、するとパララララとページが捲れたのだった。
そして驚いたことにやはり書かれている内容が解った。なにこれ超便利。
「それで読めているの?魔人ってすごいのね……」
「ただの速読魔法だ」
とかなんとか適当なことを言ってみる。
俺はさらに同時に数冊の本を浮かべページを繰る。
ページが捲られる音があたりに響く。
問題なく内容が分かった。
「面倒だな……」
今度は残りの蔵書を全て浮かべて三度ページを繰るイメージをした。
パラララララララララ……宙を舞う本の群れ。
「すごい……」
エリーズは純粋に感激しているようだった。
すごい……おれも感激していた。
何がすごいって一度に読んだのにも関わらず混乱することもなく知識が整理されて入ってきてるってことだ。
この能力があれば勉強いらずじゃねーか。実に転移前に欲しかった。
流石に貴族の書庫だけあっていろいろなことがわかった。
だがまずは…
「エリーズ外に出るぞ……」
「外?今度は何をするの?」
「本物の魔法を見せてやる」