『ハレノヒ』にチャットをする日
僕は今日も自分専用の部屋にある時計をを見て、時計の秒針がチクタクと動く回数を数えながらひたすらに待っている、時間が進むのをただ……ただひたすらに。
毎日同じことを繰り返しているだけだ、1日3食、トイレ、そして寝る、ただこの繰り返しだ。
今もパンを一切れ、入り口から入れてもらった、どうやら今日は珍しくコーンスープがついているみたいだ、コーンスープといってもとても味が薄い。
――― 昔、一度だけ味が薄くない、味の濃い、ちゃんとしたコーンスープを飲んだことがある、その時はとても感動した、涙が出そうになった、でも涙を流す気力もなかった、その時だけだった、僕が感動したのは―――
ただ今日は、コーンスープがあるだけマシだ、たとえそれが薄くて不味かったとしても、それは生きる喜びだ。
でも《《僕たち》》は生きていることが幸せということでは無い、僕たちの幸せというのは、この変わり映えしないこの生活に、少しでも、些細でも変化があることだ、もし刺激がなかったら僕たちはどうなっていたのだろうか?
僕たちはいつも怯えている、いや全員ではない、年上になればなるほどそれは薄れていく、それは慣れるからだ。
《《担当》》の気分によって僕たちは何をされるかわからない、だから怯えている。
担当に聞いた話だが、外の世界はもっと恐ろしいらしい、僕はそれでも外の世界には夢が……、希望があると信じている。
「僕はこの暮らしのことを記録することにした、今、あなたが見ている《《これ》》が僕が記したものだ、これを誰かに教えてってほしい。」
今日もまた一人、何処かに連れて行かれた、何処に行くんだろうか? それはわからない、ただ一つ言えるのは年上がどんどん連れて行かれている、もう少しで僕は一番の年上になるだろう、その時は何が起きるんだろうか。
最近、不思議なことが2つある、1つ目は食事が良くなった、ただこうなるのは予想していた、年上の人はなぜか食事が豪華になるのだ、パンと味の濃いコーンスープ、そしてよくわからない、茶色をした飲み物と緑色の食べるときにシャキシャキとした音がなるものだった、とても幸せだ、このような日がずっと続くように願っている。
そして2つ目に担当がよく集まっている、いつも「スマホ」とかいう箱に話しかけていたが、担当同士が話しているのは初めて見た、一体何を話しているのだろうか、もしそれが外の世界のことだったら、ぜひとも聞いてみたい。
僕たちは、全員違う部屋に移された、全員で一つの大部屋で雑魚寝をするようだ、なんでかよくわからないが窓をつけるらしい、これは僕にはチャンスだ、外の世界を感じられる、外の世界に僕はチャット(手紙)を送るつもりだ。
僕たちは今日、いつもの部屋に戻れるようだ、入った瞬間分かった、今までと何か違う、この部屋の見えない透明なものが変わっていると感じた。
今日、担当に『ハレノヒ』と伝えられた、僕は『ハレノヒ』がなにか知っていた、どうやら僕は外の世界に出れるようだった、今日は窓からチャット(手紙)を送るつもりだ、それを見てくれる人がいたらとても嬉しい。
何か担当が落としていった、バレないように読もうとしたがそれは叶わなかった。
それは僕が読めない文字だったからだ、とても残念だ。
だが、外の世界の人ならそれがわかるかもしれない、だからそこに書いてあった文字を、汚いかもしれないが残しておく。
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極秘
「奴隷・臓器提供用児童の取扱説明書」
・コスト節約のために、食事は最低限とすること
・出荷の時期になったら、栄養治療食を使用し、人並みの体格にすること
・児童に対する価値が下がるような暴力は禁止する
・生きる価値を植え付けさせ、死なせないこと
(中略)
・児童にこれがバレないこと
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最後に、僕はここでの暮らしの最後にチャットを残せて満足している、次の過ごす場所でも同じような暮らしが待っているのだろうか、もしそうなら僕は味の濃いコーンスープを飲みたい、果たして自分は何処に行くんだろうか、きっとこれを誰かが拾ってくれることを期待している、読んでくれたら本当に嬉しい。
jふは切実にこのような世界がないことを祈ります。
この作品をお楽しみいただけたでしょうか、初めての作品ですが、頑張って書いたのでリアクションしていただけると嬉しいです。
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これからもこのような短編を書いていきたいと思っています。