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(〜んぅ〜、ねむ、ぃ〜〜〜・・・・・ん?)
起きて目を開けたのにあたり一面真っ暗だった。
(いつの間に寝ちゃったんだろ、ってかどこだここ?)
無事食べられることなく、何か埋もれるようなフワフワに寝せられていたらしく手足を動かすとフワッとくすぐったい柔らかさを感じた。
『おや、起きたようだね』
(っ‼‼‼)
途端に寝せられている地面から振動と共に声が聞こえてきた。
びっくりして硬直したら地面が僅かに揺れて何かに顔を舐められた!?
てか、このフワフワ、生き物か!?
『ヒトの赤子も可愛いねぇ』
何やらでっかい舌でベロンベロン舐められながら、告げられた。
(若そうな声のおねーさんは人じゃないですね!? わかってたけどっ!)
『おっとごめんよ、ついお前さんが可愛くて・・・』
アプアプしながら藻掻いていたらベロンベロン攻撃が止んだ。
『!$■✕→@◁♀!』
『ハイハイ、ヒトの赤子はとてもか弱いんだからそっとするんだよ?』
あの謎の声が聞こえてきたかと思ったら、またベロンベロン攻撃がきた。
『〜♪、@◁♀Θ↹!』
『そうだねぇ、ずいぶんと私達と相性が良いようだね』
『■✖♧%∆§℃?』
『それは主様のお考え次第だろうが、まぁそうなる可能性は高いんじゃないかしら』
2人?2匹?だけで会話が進んでいく。
それを聞いて、とりあえず私は食べるれることはないのではないかと判断した。
だってどうやら2匹は私を可愛がってくれてる風だし、「主様」という存在がいるみたいで、ワンチャン「主様」が人の場合、私は無事保護されたことになるのでは!?
それならママとパパと皆の所に帰れるかも!?
な〜んて、考えてたこともありました。
あれから1年、今私がいるのは、私を拾った仔シルバーフォックスのミノアが従魔をしている人のお屋敷で、私はその屋敷の末っ子として育てられている。
これには色々事情がある。
まず私が意思疎通出来ないこと。
ミノアと共に私を「主様」の所まで連れてきてくれたミノアの母カノン。
カノンの言葉が分かることから、私はてっきり異世界転生物あるあるで互いの意思疎通ができると思ったのだか、これが間違いでなんと聞くだけの一方通行だった。
しかも私の能力じゃなくて、カノンが人と話す時の癖で念話というスキルを使ってただけ、というのが、カノンが念話を使わなかった事とミノアが念話を覚えて「主様」と話しだしたことで判明した。
ということで私が一方的に聞いてるだけで、まさか相手も赤ん坊が意味を分かってると思わないから意思疎通を図れない。
一応、努力はしてみた。
問いかけに対して反応してみたり、規則的に動いてみたり。
・・・・・・・気づいてもらえなかった。
しかも人の言葉は分からないから尚難しい。
まぁ、そんなこんなで私は周りと意思疎通が出来なかった。
そして、私の居た場所も不味かった。
大陸のほぼ中央、数ヶ国に接する広大で鬱蒼とした森は、昔から様々な動物や魔物が住んでいる。
幼子や老父母を捨てる貧民の口減らしに、貴族のお家騒動等など、昔から都合良く使われてきた森に捨て置かれた赤子。
ボロボロに汚れてはいるものの生地の質は良かったことから、貧民ではないと判断されたが、捨て子か誘拐かお家騒動か判別が付かない。
こっそり探そうにも最初に私を見つけたミノアは実はまだ生後間もなく幼かったこともあって、広大な森のどこをどう通ったか分からず、国の候補すら挙げられなかった。
本狐曰くなんか楽しそうな気配の方にひたすら進んだら私が居て、母の気配を追って戻った、と。
知らず遠出したことをカノンにとっても怒られていた。
お家騒動で命を狙われていることを考えると大っぴらに親を探すわけにもいかず国に届けるのも同様に憚れる。
ならばいっそウチで大切に育てましょう!と「主様」の奥さんが言い切った事で、私はこの家の末っ子長女として生まれたことにされた、というわけなのです。
「主様」ことお父様は領主軍で働く騎士エルンスト・フォン・フェルヒ
優しくふわふわおおらか、と見せかけて3人の男の子を育てる肝っ玉お母様はシルビア・フォン・フェルヒ
3人のお兄様
剣術大好きっ子のわんぱく長兄アルフレート兄様
お兄ちゃん大好きしっかりものの次兄フライムート兄様
絶賛第一次反抗期中のヤダモン怪獣三兄エックハルト兄様
そして、私の名前はコルネリア
コルネリア・フォン・フェルヒ、今日も元気に幸せ目指して頑張ります!
えい、えい、おー‼




