第一章 進君とオカルト大好き人間の関係 5
本日6話目の投稿になります。
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翌日の昼休み、昼食を食べた進は中庭で友達二人と談笑していた。
「やっぱり平舞香ちゃんがこの学校の中では一番の美人かな。九八点というところか」
三人は校内美少女談義で盛り上がっていた。それ自体は思春期男子高校生にはよくある話だが、こう舞香の事を押しているのは同じ中学校から進と一緒にこの学校に上がって来た大星内蔵助である。
尚、内蔵助の名前の由来は『忠臣蔵』に出てくる某家老からという事である。
内蔵助何て前近代的な名前だな。進は友人の名前についてそう思っていたが、バカだけど気のいい奴なので進も仲良くしている。もっとも、この学校に入学できている以上それなりに勉強はできる訳で、進の中では『勉強ができるバカ』という扱いになっている。
「学校一の美人なのに百点満点じゃないのかい」
「まあ、何と言うかな。彼女の外見はものすごい美人だし、家柄も申し分ないんだけど、ちょっと性格がな」
「性格?」
「そうだ。彼女はその性格と行動に対して二つの名前を付けられている。一つは『復讐女王』というあだ名だ」
「それは知っている」
そう。それについては先日生徒会の先輩から進は聞いたばかりだった。
「そして、もう一つが、『心の中身が顔に反映される世界では醜い女』というヤツだ」
「そんなに、彼女はひどい性格なのか」
「まあ、直接見た訳ではないのだがな。仲の良い数人の友達を除いては誰にでも傲慢な態度を取るし、理事長の孫である事を傘にきて、先生たちにも偉そうにしているらしい」
「ふ~ん、あの子はそういう子なのか」
――というか、それだけの欠点があると知っているのに、こいつが満点からたった二点しか減点していないのは、元々の基準点が百点よりも随分高いから何だろうな。
「まあ、どっちにしろ、平舞香という子はあまり僕の好みではないけどな」
「進君はああいう感じの子はあまり好きではないからね」
と言ったのは、やはり進と同じ中学から一緒に上がって来た学生で、中山安夫という子である。今年、進の中学校から某市学院に進学してきたのはこの三人だけで、寧ろいつもの年ならば一人いれば御の字なので三人は多い方なのである、三人で集まって昼食を食べるのが日課になっている。
「進君は清楚な感じの女の子が昔から好きだからね。それに、どちらかというと外見よりは中身の方を重視するタイプだしね」
「何を言ってんだよ。安夫。女の子は性格じゃないよ。顔何だよ」
安夫の意見に対して内蔵助はあくまでそう主張した。そんな内蔵助に対し、
――お前、将来顔重視で結婚して、結婚してから絶対苦労するタイプだろう
進は友人の事が心配になり、それについて何かアドバイスをしてやろうとして、「おい、クラ」と声を掛けようとした。その時、
「岩清水君。ここに居たのか」
「あ、荒川先輩」
「あ、どうも」
「ちいっす」
と、どこか興奮した様子の荒川が現れ、進に声を掛けて来た。
「荒川先輩、どうしたんですか。何だか慌てているみたいですけど」
「そうだ。これが慌てずにいられるか。一大事だ」
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