表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/50

プロローグ 進君とイカの妖精さん

勉強はできるけど運動音痴な少年を主人公とした学園ラブコメ霊能バトル小説です。

初めての投稿なので分からないことだらけですが、よろしくお願いします。

今回は主人公の幼い頃のエピソードです。

楽しんでいただけると幸いです。

岩清水進いわしみずすすむは幼い頃妖精さんの存在を信じていた。

 いや、普通に居るものとして行動していた。なぜなら、彼にはイカの妖精さんと出会い、危ない所を助けてもらった経験があるからだ。

 その日、進は同じ市内にある母方の祖父母の家に遊びに行っていた。祖父母の家は小規模ながらも花農家を営んでおり、花の栽培に使うため灌漑用のため池を所有していた。

 進がそのため池の側で赤トンボを追いかけて遊んでいる時にそいつは来た。

 そいつは葦で囲まれ水草の生い茂った池の中から突然這い出てくると、いきなり進の足を掴んで池の中に引き摺り込もうとした。

「助けてえ~。お化けに攫われる~」

 進は大声で助けを求めたが、大人たちは仕事で忙しく、更に進からかなり離れている場所に居たため誰も助けにきてくれなかった。

 ――もうダメだ。

 進がもう少しで池に引き摺り込まれそうになった時、女の子が現れた。

「この」

女の子は進を掴んでいたそいつの腕を思いっ切り踏んづけた。腕を踏まれたそいつは、「ぎゃ」と叫ぶと進を掴んでいた腕を放した。

「このクソ魍魎!覚悟しなさい」

 女の子は更にそいつに一撃蹴りを加えた。女の子の蹴りを受けたそいつは、

「ぐぐわわわっ」

 と、断末魔の叫びを残して跡形もなく消えてしまった。

「ふん!ザコ魍魎の分際でこのマイカ様の前で悪事を働こうなんて十万億光年早いわよ」

 そいつを退治した女の子は鼻息を荒くしてそう捲し立てると、その場から足早に立ち去ろうとした。その様子を見ていた進は慌てて女の子に声を掛けた。

「ちょっと、待ってよ」

「何よ。あたし、こう見えても忙しいんだからね」

「あの、その、ありがとう」

「別に大したことはしていないわよ。それじゃあね」

 女の子は子供っぽい生意気な口調でそれだけ言うと、手をヒラヒラと振りながら今度こそ去って行った。

 ところで、なぜ進が自分を助けてくれた女の子の事を妖精さん、更にはイカの妖精さんだと思ったのだろうか。以下、その理由である。

まず、女の子の事を妖精さんだと思った理由は、女の子が小柄な体格でその上髪の毛が茶色のショートカットで、絵本の『ピーターパン』に出て来た妖精のティンカー・ベルにそっくりだったからである。それに容姿だけでなく喋る時のちょっと生意気な口調もティンカー・ベルに似ていたので、ますます進は女の子の事を妖精さんだと確信したのだった。

そして。

――妖精さんはマイカって名乗っていたけど、真イカって確かスルメイカの事何だよね。お刺身が美味しいんだよね。

真イカと妖精が名乗ったのが、イカの妖精だと進が思った決定的な理由である。

 以上の二点から進は女の子の事をイカの妖精さんだと思った訳である。

それからというもの進は妖精さんの存在をすっかり信じてしまい、友達に話したりもしていたのだが、それから二度と妖精さんに会う事も無く、成長するにつれ世の中の現実を思い知るうちに、本当は妖精さんなんていないんだと考えるようになっていった。

そして、あの時の事も何か悪い夢を見たのだと思うようになっていた。

だから、随分経ってから妖精さんと再会する事になるとは想像の埒外であったのだ。


序章は以上です。

本日あと何話か投稿します。7

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ