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第5話 狩猟

ナツがオレとハルの愛娘というポジションになって3日が経った。今朝は朝早くからシュガーお姉ちゃんが信者たちの所に出かけていたのだが、どうやら足音から察するに帰ってきたようだ。

「ただまー!イッセー、イッセー!」

「はいはい、イッセーですよ。」

オレはテキトーにそう答える。

「仕事頼まれたんだけど一緒にいかない?街はずれの森に住みついた魔獣の狩りなんだけど、駆除か捕獲したことを証明できたら、あとは食べてもいいって!」

食べてもいいって……食べれる魔獣なのか?そもそもこの世界の魔獣の肉って食べれるのか?

「ふふーん!しかも、なんと!今回のターゲットの魔獣はイカトパス!超高級食材だよ!」

「イカトパス………?」

いや、わからん。けど森に住みついてて食べれる生き物で超高級食材ということはおそらく鹿とかクマみたいなジビエ的な何かだろう。

「イカトパスですか……そういえば最近食べてませんでしたね。」

リエスママが口元のヨダレを拭きながら言う。

「イッセー君とナツと一緒に新鮮なイカトパスで一杯やる……ありよりのありだね。」

JKか、お前は。

しかし、この2人の反応を見る限り、イカトパスとやらはそうとう美味いのだろう。これは行かない手はないな。

「パパ様……、ワタクシも、イカトパス食べたいです……。」

ナツが上目遣いでオレに言ってくる。ちくしょう、我が娘ながら可愛いなぁ。

「よーし、イカトパスがどんなやつかはわからんが、サクッと倒してバッと金貰ってガっと食うか!」

「「「「おー!!!!」」」」


そして、森に来たわけだが……。

「なあ、イカトパスってあいつ?」

オレが指さした先……オレたちの目の前には10本足の虹色のタコのような巨大生物がいた。

「うん、あれがこの国にしか生息してない魔獣であり、超高級食材でもあるイカトパスだよ。」

タコは予想外だな。まあ、オレはタコは大好物だから問題ないけど。

「よーし、サクッと倒してやるぜ!」

そう言ってオレは2割ほどの力での右ストレートをイカトパスに叩き込んだ。

「き、効いてない!?」

何故だ!?オレのパンチはスキルでチートになっているはずなのに!!

「イッセー……、言い忘れてたけどイカトパスは身体がすごく柔らかいから物理攻撃は無効なんだよ。」

そういうことは早く言ってくれ。

「気を取り直して……これならどうだぁぁぁぁ!!」

そう言ってオレはイカトパスを剣で攻撃した……のだがまったく切れていなかった。

「イッセー君…、イカトパスは斬撃も含めて物理攻撃は全部無効なんだよ……。」

マジで……?

「くそっ、こんなやつ、どうやって倒せばいいんだ!?」

もちつけ…もとい、落ち着け、オレ。オレには魔法がある。それを使って攻撃すればワンチャンあるはずだ。まずはこの炎属性初級魔法の『ムイレフ』で―

「危ない、イッセー!」

気づいたらオレはイカトパスの足に捕まってしまっていた。

「な!?は、離せ!」

ダメだ。しっかりと捕らえられた上に柔らかすぎて無理矢理抜け出すことも引きちぎることもできない。

「むぐ!?む、むぐぐ……!?」

別の足を口に突っ込まれた。おかげで言葉を発することができない。

「むぐ!んー、んー!!」

そのままオレはされるがままイカトパスに服を破かれて裸にされ、足で身体中を撫で回された。こういうのって普通はヒロインの担当では……?そう思いながら、助けてくれることを期待して女神たちの方を見た。

「「「い、イッセー(ちゃん・君)が大変な目に……」」」

3人ともオレがイカトパスに好き放題されてるのを見て興奮してた。なんでこういうところは地球と共通なんだ?

「イッセーちゃん!今助けますからね!」

リエスママがそう言ってイカトパスに触れると、次の瞬間、急にイカトパスが倒れ、足の力も緩んで脱出可能になった。

「あ、ありがとう、リエスママ……。」

「無事でしたか?イッセーちゃん。」

リエスママがオレの頭を撫でる。とてもさっきまでイカトパスに捕まったオレを見てヨダレ垂らしながれ興奮してたやつの言動とは思えない。

「よし!それじゃ、さっそくイカトパスを食べよー!!」

シュガーお姉ちゃんが大はしゃぎだが、そんなに美味いのだろうか。

「討伐証明のために見せる分だけ残せばいいわけだからさ、早く食べよう?イカトパスは死ぬと死後硬直のおかげで刃物で切れるほどよい柔らかさになるんだよ。まずは刺身で食べよう!」

そう言ってシュガーお姉ちゃんがイカトパスの足の1本をナイフで切って刺身にし、全員に配る。

「では、いただきます!」

「「「いただきます!」」」

リエスママのいただきますに続けて残りのメンバーもいただきますと言い、イカトパスの足の刺身を口に運ぶ。

「こ、これは………見た目は地球のタコと似ていたが、味はまったくそんなことはない!タコやイカ特有のグニグニと噛み切りにくい柔らかさはなく、むしろプリンのように簡単に口の中でバラバラのコナゴナになっていく……!しかも味はマグロの大トロを思わせるほど脂たっぷりでジューシー!さらに肉が濃厚な味わいだこら醤油なしで十分!美味い!美味すぎる!」

あまりの美味さについ長々とコメントしてしまったが、とにかくそのぐらい美味かった。

「お次はシュガーお姉ちゃんオススメの食べ方だよー♪」

そう言ってシュガーお姉ちゃんは何切れかのイカトパスの足の肉を串に刺すと、『ムイレフ』で出した炎で炙った。

「完成、イカトパスの足肉のムイレフ炙り!」

先ほどの刺身とは違って炙られているからか、ものすごく香ばしい、美味そうな匂いがする。

「こ、これは……炙ったことにより皮がパリパリになっていて、同じく炙ったことで柔らかくなった肉やトロトロの脂と一緒に口に入れると絶妙なハーモニーになっている!!」

美味い!美味すぎてイカトパスを口に運ぶ手が止まらない!

「美味い!美味すぎる!」

「これをつけても美味しいよ。」

そう言ってシュガーお姉ちゃんがリンゴぐらいの大きさの青い木の実を出した。

「これは?」

「中に白いソースが詰まってるマヨネーの実だよ。」

シュガーお姉ちゃんがマヨネーの実を割って中のマヨネーソースをイカトパス肉にかけてくれたので、とりあえずソースだけ口に入れてみる。

「これは……マヨネーズだな。」

見た目も味も完全に地球のマヨネーズそのものだった。そりゃ肉にも合うわけだ。なんせ、マヨネーズは地球で一番美味い食べ物だからな。今度は肉とマヨネーソースを一緒に口に運ぶ。

「うん!マヨネーソースの酸味とまろやかさがイカトパス肉にベストマッチだな!」

美味すぎて無限に食える。


気づいたら完食してしまっていた。イカトパスは軟体動物だったのでもちろん骨など残っていないし、内臓はなんの魔獣のかわからないので討伐証明としては無効らしい。つまり、イカトパス退治の報酬はなし。イカトパスの肉が食えたのが唯一の報酬みたいなもんってことだ。

「すー、すー………」

まあ、隣でイカトパス肉をたらふく食って寝落ちしたナツを見ればまあ、いいかって思えて来たし、よしとするか。

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