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第24話「ティーガーⅠ vs ゴーレム(後編)」

 そうとも…………。


『───ティーガーⅠがなぁ。チンケな石の塊が鉄板でぶん殴ったくらいで、倒せると思ってんのかぁぁあああ!!』


 おぅ、ごるぅぁあああ!?


「ひぃ!! ば、化け物めぇぇえ!! や、やれ! ゴーーーーーレムぅぅうう!! 奴をペチャンコにしろッ」


「ご、ごごご、ごおおあああああああ!!」


 呆気に取られていたのも束の間、悪徳代官もゴーレムも気を取り直して追撃に移る。

 もしかすると、アルガスの強がりだと思っているのかもしれない。


「───あぅぅ……たんこぶできたー……」


 ウルウルと涙目で訴えるミィナ。

 さすがに、車内の振動は結構なものだったのだろう。


『すまん。他にケガはないか?』 

「だ、大丈夫です……」


 スリスリとおでこをさするミィナ。


 見れば、そこがプックリと赤くなっている。擦ってやりたいが、手も足もないので仕方がない……。


『痛い所を悪いが、再装填を頼む』

了解ッ(ヤボール)!」


 涙目でも、アルガスに頼られるのは彼女にとって喜びでもあるらしい。

 キッと顔を引き締めると、砲弾ラックに向かう。


『弾頭は黄色じゃないやつだ───……そう、それだ! 頭のてっぺんが黒い奴を装填してくれ』


「うん!」


 うんしょ、うんしょ……!!


『急げ! 俺にそれを装填しろぉぉおお!』

「いれるよー!! えいっ!」


 ガッショーーーーーン!!


装填完了(ラーデンオケィ)!!」

よし(グート)! 伏せてろッ!!』


 その間にもガンッガンッ! とゴーレムの連撃がアルガスを襲う。

 だが、装甲に変形も生じなければ巨体が後退ることもない。


 砲身の損傷にだけは気を使って、車体を盾にする。


 なんたって、こいつぁぁぁあ【重戦車】ティーガーⅠだ!!


 がん、がん!! ごかぁぁん!!


「ぐはははははは! どうじゃ、ワシのゴーレムは!! 平伏せ、下郎どもぉぉお!」


「ごおああああああ!!」


 ゴッキィーーーーーン!!


 スマッシュヒット───! といわんばかりに、両手を組んで手に持った門扉盾(ゲートシールド)をこれでもかと叩きつけるゴーレム。


 その騒音が街中に響き、衛兵を駆逐した住民がなんだなんだと集まり始めた。


 そして、皆が見守る中ティーガーⅠに残っていた最後の探照灯(軍用ライト)が破壊され、周囲が薄闇に包まれる。


 パリン……ぱきっ。


 光源となるのは、門扉付近でたかれていた篝火と、起き始めた街の明かりのみ。


「お、おい! 見ろッ。も、門が動いている!」

「あ、見ろッ。あそこに、クソ代官がいやがるぞ!」

「捕まえろ! いや、ま、まま、待て───な、なんだあれは!!」


 手に手に、得物をもって集結し始めた住民の姿を見て悪徳代官も少し後退る。


 だが、巨大なゴーレムを見て住民が怯えている様子を見て、再び虚勢を取り戻したようだ。


「───なんじゃ貴様らぁ!! 武装して集合しおって……!! 騒乱罪で縛り首にしてくれるぞ!!」


 その虚勢に住民も驚く。


 そして、代官の命令を聞いているらしきゴーレムにも慄く───。


 その目の前で、


 ガッキーーーーーーーーン!! と威嚇するように、鉄の馬車を叩くゴーレムに住民が逃げ出そうとしたその時……!


 ウィィィィイイン…………!


 耳に心地よい駆動音がゴーレムの下から響いたかと思うと、街の明かりと、門前の篝火の照り返しを受けて鈍く光る鋼鉄の塊が鎌首をもたげた。


 そして、


「ぐははははははははははは! どいつもこいつもワシの権威に恐れをなしておるわ! ぐわーっはっははは───」



 弾種(モニション)、『88mm(アハト・アハト)PzGr39(被帽徹甲弾)装填(ラーデン)ッ──────!



「ぐははははは! アルガスよ! 貴様の攻撃はワシのゴーレムには効かんッ!! 何度やっても無駄よ無駄!! 無ぅ駄ぁ!! ぐわーーっはっはっは!!」


 ハッ、ほざけ。


 すぅぅ、


『───発射ぁぁぁぁああ(シィィセェェェエン)!!』



 ズドォォンッ───!!


「無駄無駄、ぐわーっはっはっは───グハー!?」


 ドッカーーーーーーーーーーーーン!!


 ─────……ァァン。

 ────……ァン。

 ───……ン。

 ──……。


 と、大爆発のあと、ゴーレムが────。


「ご、ごあああぁぁぁ……」


 ズンッッ、と膝をつき、


 ガラァァァアン!……ガラァァァン! と、巨大な穴が開き貫通した門扉盾(ゲートシールド)を取り落とし、


 ズゥゥゥンン…………! と、地響きを立て、崩れ落ちた。


 そのあとは、腹に開いた巨大な貫通孔からサラサラサラーーと、霞のように消え落ちていった……。


「…………んんん、なぁぁ……えええええ? あえ??」



 茫然と立ちすくす、パンイチの悪徳代官。




 …………年貢の納め時だな。

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