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俺の東京生活を知ろう

ご感想頂戴した皆さま、誠にありがとうございます!感激です!

しかしvpnの環境が悪いせいか、返事は出させていただいてるのですが、届いているかどうか不明です。

重複してもと思い再度返信はしておりませんが、届いてなかったら申し訳ありません。

郵便報知の帰任条件である“西郷隆盛のカタが着くまで”が達成されたため、俺は晴れて東京へ帰る運びとなった。


西日本縦断の旅を覚悟していたが、三浦少将が横浜行きの船に乗っけてくれるという。

横浜からは新橋まで電車も走っているとの事。

ありがとうございます!


実は岡山の実家に寄って行こうとも思っていたんだが、船に乗れば横浜まではわずか4日。

思いもかけず早く帰ることが出来るとあれば、実家寄るのはまた今度だな。


すまんこの世界でのお母さん、便りのないのが良い便り。


イヤイヤ嘘です。ちゃんと東京着いたら手紙書きます。

ゴロちゃんにもお礼状を書かなければ。

陸軍少将とのコネなんて、あまりにも使えそうです。今後ともよろしくです。



ところで俺について俺が知っている事といえば、所持していた手紙などから判断できたわずかな事のみだ。


慶應義塾に寄宿している事。

藤田茂吉さんの世話で、郵便報知で記事を書いている事。


......以上だ。以上か?少ないなほんと!


イヤ流石に手掛かりくらいはありますよ。


むしろこの人が一番大事。慶應義塾で講師を務める矢野文雄さん。

藤田さんに紹介してくれたのもこの人だし、言わば俺の保証人のような人・・・であるはずだ。


戦場からも手紙は出していたし、返事を読んでみてもかなり良い人ではありそうなのだが。

無事東京の生活に戻れるかは、この人にかかっていると言って良い。


既に手紙で、戦闘に巻き込まれて負傷し、記憶が不確かな部分があると伝えてある。

彼が俺の生活範囲で、『犬養記憶喪失』をせいぜい吹聴してくれていることを祈ろう。


誰かにばったり会って、は?となっても何とかなるように。

そういう意味では戦場より気が抜けないな。SNSとかで顔写真確認できた世界が懐かしいぜ。


まずは新橋から三田の慶応義塾宿舎へ直行しよう。そんで矢野さんに会って、色々と質問する。


その後出来れば同行してもらって、郵便報知で帰任報告と。

ほーら矢野さん(このひと)に全てかかってる。


不安しかない。


そうこうするうちに、汽車はクラシックな駅に到着。


これはまた、予想と違って随分と立派な駅だ。田舎の無人駅のようなものを考えていたが、むしろ現代の駅よりカッコいいぞ。

コレが本に読んだ新橋の停車場か。銀座どっちだ?


俺は普通のサラリーマンやったことがないので、新橋やら銀座やらはあまりなじみがなかった。

ましてや100年以上遡ったんだ。ちょっと見たくらいで方角が分かるわけない。


困ったら人に聞こう。

東海道まで出れば、三田まで真っ直ぐ行けるわけだ。


いや〜この道レンガ舗装されてるよ!オシャレだなおい!

明治の東京ってやっぱりカッコいい。

コレを見ると、九州やその他の地方がいかにないがしろにされてるかって感じる。


ヘイ!そこのナイスミドル!品川方面はどっち?


スーツに帽子ステッキ姿の、いかにも東京知ってるぜ感ある人に尋ねて、旧東海道方面へ。

ここまでくると流石に砂利道だ。

でもしっかり固めて歩行や雨にも問題ないよう工夫されている。


排水溝もちゃんとあるんだね。

当たり前のようだが、100年後にも途上国ではこういう生活インフラが整ってないことが多い。

日本は文化的だなーおい。


100年トリップをめちゃエンジョイしていると、向うからやってきた若い女性が、犬養さま!と声をかけてきた。


「東京にお戻りだったんですね!ご無事で何よりでした!」


すごい笑顔で駆け寄ってくる。淡い桃色の着物がカワイイ。カワイイよ!

で、あなたはどなた.....?


このシチュエーションが最も恐れていたものだ。

知り合いに会っても分からず、気まずい思いをさせてしまうというのが。


俺はこれまでになく全力で、霊界と繋がろうとしていた。

ツヨシ頼む!今だけ思い出せ!


「あの.....犬養さま。もしや兄が言っていた記憶の病気で.....綾の事もお忘れに?」


黙り込んでツヨぽんの魂を召喚しようとしていた俺に、女性は困ったように尋ねてくる。

ここでヒラめいた!『犬養記憶喪失』広報担当の矢野さんには、もしや妹がいて......。


「イヤイヤ綾さんすいません!そうなんです取材先で爆発に巻き込まれてしまってでも大丈夫ですやだなあ綾さんをわすれるわけないじゃありませんか今から矢野さんにご挨拶に行こうと思っていたんですよ!」


俺史上最速の早口でまくし立てた。

誤魔化せただろうか?無理だろうな?


しばらくキョトンとしていた綾さんは、やがてパッと顔を明るくした。


「そんな大変だったのに、綾の事を覚えていてくれたのですね!犬養さまはやはりお優しい.....。」

予想外の事に誤魔化せてしまったらしい。

そう言って顔を赤らめる綾さん。


おや?ツヨぽんそうなの?綾さん俺にスキスキビームを出しているぞ?

もう召喚の必要はない、出てこなくてよろしい。


「兄のところへ行かれるのですね?私もご一緒します!」

「え、そうですか?何かご用事があったのでは?」

「よろしいのです!義姉に使いを頼まれただけで、もうご用は済みましたから。」


なんか喋り方とかめっちゃカワイイ。この時代の女性ってこんな感じですかそーですか。

大変よろしいです。


「恐らく三田においでと思ったので、これから歩こうかと思っていたところです。」

「ご一緒しても宜しゅうございますか?それともご迷惑でしょうか.....。」


すごくわかりやすい。いいよ!ご一緒しましょうよ!


「迷惑などと、とんでもない話です。」

「まあ.....。」

赤くなって俯く綾さん。ヤバイ惚れた。


そんな次第で行李を抱えながら、二人で道を歩いていく。

2kmほどの行程があっという間だよ。たんのしい〜!


しかし道すがら投げられる人目がちょっと気になる。


いやもしかしてですよ、この時代若い男女は一緒に道を歩いていたらデスよ、ほぼ交際宣言したようなものという事になってしまうのでしょうか?


ちょっとマズイか?まあいっか!俺楽しいし。超楽しいし!


三田の慶應義塾へあっという間に到着だ!まあここまで来たら綾も兄の顔を見て参ります、てなことで一緒に中へ。

そこには呆然とした若ハゲ気味の男性が、直立してこちらを凝視していた。


オオウこちらが矢野文雄さんで間違い無いですね!


そしてやはり綾さんとウキウキ同行して来た俺は、ウカツだったという事でしょうね?


「あやあ!!お前なぜここにおるのか〜!!!」


やはりマズかったようです。


~~~~~~~~~~~~~~~


程なく落ちつきを取り戻した矢野さんは、俺に向かってクドクドと文句を垂れる。

「犬養よ。軽率な事をしてくれては困るのだ。綾は嫁入り前の娘で、縁談だって一つ二つではない。そんな時期に街中を若い男と歩いたりなどしておれば、道行く者がなんと噂を立ておるか。」


「誠に軽率でした。申し訳ありません。」


平謝り。ここは土下座したほうがいいか?


「お兄さま、そんな言い方をされては犬養さまに失礼です!たまたまお会いしたので、道々取材のお話など伺いたく、綾が無理に犬養さまにお願いしたのです!それをそのような一方的な言い方!だいたい綾はまだお嫁になど行きませぬ!」


いや怒ってる綾さんもめちゃカワイイよ。なんてお淑やかに怒るんだろうか。

100年後のキレた女を見せてやりたい。


「いやしかしお前、常識というものをだな.....。」

「お兄さまに常識など教わりたくはございません!毎日恐ろしげな論客たちと議論ばかりでウチにもお帰りにならず、お義姉さまも呆れておいでです!すこしは常識というものをわきまえてから、人にお説教されるべきではありませんの?」


いやこれはこれで、怒られたら結構コワイか。理路整然として逃げ場がない。


この場は綾さんの頑張り?もあって、三方妥協でまるく収まった、と思う事にする。


綾さんは後で矢野さんが家に送って行く事になり、俺は取り敢えず福沢先生へご挨拶しろという。


当然異論はないが、学生がいちいち先生に挨拶したりするもんなの?

何百人もいるって聞いたけど?


ともかく俺は矢野さん綾さんと別れて、3階にあるという福沢先生の執務室へ。

「犬養です。失礼いたします。」

「ウム。」

中から声が聞こえる。


洋風のドアを開き、一歩部屋に踏み入れる。

ちょっとドキドキ。歴史上の偉人にご対面なんて、かなり人生初である。


先生は窓に向かった机で何やら読書をしていたが、こちらを振り向き開口一番。


「この命知らずの大馬鹿野郎が!!!」


えぇ.....福沢先生にもめちゃ怒鳴られました。

俺が何したって言うのよ?




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