転生者たち⑤
設定回ようやく終わりです。
改めて自分の広げた風呂敷にびびってますが、最後までやり切る覚悟です〜。
今後ともよろしくお願いします。
俺と満で孫文を助ける?孫文といえば.....中国人だ。
辛亥革命!そうだよね、あれだよ。中国の英雄だよ。
満男改め満と俺が革命支援?
「犬養毅ってそんな人だったんですか?」
「結構知られてないけどね。大陸浪人たちを使って情報収集したり、日本では支那事情に最も通じた人だったんです。」
「えーと、大陸浪人って軍関係者が多かったイメージなんですけど。」
「それ以外にもたくさんいたんですよ。特に国粋主義の代表格である、玄洋社系の人たち。その玄洋社の最大実力者こそ、君が会った頭山満です。史実の出会いより恐らく....10年は早いんじゃないかな?」
満が?国粋主義者?いやまあイメージはピッタリだけどね。
しかし革新党の議員と、国粋主義者が協力して隣の国の革命を......カオス以外の何物でもない。
一体何なんだよツヨぽん!メチャメチャじゃないかあんたの人生!
『515事件で死んだ人』という俺のイメージからは遥かに逸脱した、海千山千の大策士、明治・大正・昭和を生き抜いた犬養毅って人の裏の顔が見えてくる。
何か最初の話から、ずいぶんと様子が変わってきたのですが。
戦争反対!って趣旨に賛成はしたものの、コレ相当危ない橋渡らされてない?というより犬養毅って人の人生って危険でイッパイ?
「それに、そこにはハチローさんの弟くんも関わってきます。」
「俺の弟っすか?」
突然話を振られて驚くハチローさん。
「宮崎滔天って言う名前で、ツヨシくんに孫文を紹介する人がいるんですよ。多分一番下の弟さんだと思う。」
「一番下っていうと......寅の事か?」
呟くハチローさん。寅次郎じゃないですよね?ああ、混乱に輪がかかる!
「へー、なんて巡り合わせだろうね。まあよろしく頼むよツヨシ。」
「ハチローさんの並外れた落ち着きぶりに救われます。動揺することって無いんですか?」
「まあ二人が議員になった後の事です。戊戌政変アタリの事だから、日清戦争後。ずいぶん先の事ですよ。」
っていうと20年後ですか....そりゃまだずいぶん先だ。それでもまだ俺の人生のクライマックスですらない。
「そりゃそうだ。寅なんてまだ10歳にもならない鼻垂れだよ。」
「もはや歴史が大改変して出番がないかも知れませんね。」
「それはそれさ。そしたら兄弟仲良く一緒に活動すれば良い。」
アナタが凄い人だっていうのは、何となく分かりました。
この一連の流れでそこまで落ち着いてられるなんて、ヤッパリ10年この時代で生きてる余裕ですかね。
「それからもう一つの大イベント、明治14年政変です。」
おお、コレ俺がモロに巻き込まれるヤツ....しかし今となっては、ささやかなイベントのようにすら思える。
「詳しい話はまたにしますが、山県卿を失脚させれば大隈卿は此処での内閣に残る事ができるかも知れません。」
「そうなんですか?」
さっきは自分で失脚させるとか言ってたじゃないですか。
「それもツヨシくんマターですね。福沢先生から大隈卿へ、議会政党政治へのプッシュが強くあるんです。大隈卿も議会政党政治実現に前のめりになった結果、明治14年政変が起きてしまう。」
先生と大隈重信って、そんな話合いがあるほど仲良いのか?ワセダとケイオーって仲悪いのでは?
あ......でも俺が史実で大隈卿の子分になったのは、先生が紹介する以外あり得ないのか。
そーいう事ですか、実は2人は仲良しだったのね。
「大隈卿の暴走をツヨシくんがある程度制御できれば或いは......という感じですね。実力者が不足気味なので、伊藤博文が大隈卿へ配慮する可能性も出てくると思います。」
「その場合、ツヨシの改進党が生まれて来ないんじゃ?」
俺の改進党じゃないですよハチローさん。大隈さんの改進党ですよ。
コワシさんは何やら考え込んでいる。
「....となると?前提から変わってくるのかな?」
ブツブツつぶやくコワシさんは暫く下を向いていたが、ふと顔を上げて俺たちに告げる。
「まあ目先は山県封じ込め作戦頑張りましょう!想像もしたことなかったですが、3人でやればかなり歴史を変えられるかもしれません。」
真剣な面持ちのコワシさん。楽観的言葉とは裏腹にその声は少し震えている。
「分かりました。そんな軽い気分にでは対処できませんが。」
「うん、俺もツヨシに手伝ってもらって新聞を変えることが出来たら、山県批判キャンペーンで歩調をあわせよう。」
イイですね!やっと働いてくれそうですねハチローさん!
「俺は朝鮮改革派と接触して、彼らに力を貸していくこと。三浦さん、谷さんを巻き込んで、反山県キャンペーン。この出来次第では大隈さんの失脚防止に向け動くと。」
目が眩む。どんな大政治家だ俺は。
「そうですね。場合によっては頭山満へ早めに接触し、朝鮮改革の手伝いをさせてもイイかもしれませんね。」
満がそこで動いてくれるだろうか?
「史実でも玄洋社は、改革失敗後の金玉均を援助しています。玄洋社設立年度までは覚えてないですが、ある程度の助力はしてくれると思いますよ。」
「分かりました。」
ワラにもすがる気持ち、いやまだ満が生きているかは分からないんだった。
「いやー、何かここまでの人生が大きく変わった気がするよ。ココから攻めに出れる!っていう追い風をガンガン感じるねえ!」
「本当にお二人のおかげで、目の前が開てきた気がします。」
「いや混乱しかありません。余裕あるお2人が信じられません!」
俺はまだ、この時代を半年しか生きていない。だから二人の気持ちが正確には分からないが、長いトンネルを抜けたような気分だろうか?
俺にしてみれば、巨大なトンネルが目の前に出現した気分だが。
「この後は俺たちどうやって連絡取り合いますか?」
ハチローさんが疑問を呈する。
「それ大事ですね。どの程度の頻度で集まるかも決めた方が良くないですか?」
俺も完全に同意だ。
「連絡方法は、暫くこの料亭を使ってください。書状のやり取りもココを通しましょう。」
コワシさんが提案する。
「お喜多に集合したい旨を連絡つけていただければ、他の二人へ使いを出すよう言っておきます。それと当面は不定期に集まることとしましょう。少しでも周りに行動パターンとして知られるのは、イイことと思えません。」
なるほどですね。
「では次回は、基本的に私から連絡します。今日でた項目も実行計画、或いは実施した行動の報告、そして他の2人に協力を要請したいことなど打ち合わせましょう。」
「分かった。」
「分かりました。明日にも全員呼び出しそうな気分です!」
そして2人は俺をなだめすかして言いくるめ、俺たちは再会を誓って固く握手を交わし、一人ずつ裏口から表に出たのだった。
まだそれほど気にすることもない、権力者から見ればちっぽけな存在である俺たちだが、コワシさんは驚くほど用心深い。更に表には人力車が手配されていた。
車に揺られながら、今起きたこと全てが熱っぽく頭に繰り返される。
ココに今いること自体が夢のなかのようなのに、仲間ができた事や目標が大きく膨らんだ事で、頭がフル回転しても理解が追いつかない。
ハッキリしているのは......これから戦って行かねばならない敵が、明治日本で最強の相手であったり、世界の権力者であったりすること。それに対して俺たちの武器は、先が読める事だけだ。
いや、それだけじゃないな。
西南戦争時にも感じたように、この世の中には世論形成っていう手段が形成されつつある。
これは完全に俺の独壇場だ。
だからって山県卿を封じ込むっていうミッションが、簡単に達成できる訳じゃないが。
どれもこれもハナシがデカすぎる。
朝鮮の改革を支えて?孫文を助けて?戦争を止める!
仮にこの計画がバレても、タワゴトすぎて誰も相手にしないんじゃ?
人力車は真っ暗な道をひた走る。
コレやっぱ怖いな。提灯てこの時代でも必要なんだ。
暗殺やらが横行するわけだよ、俺がやられるのも含めて。
ん、暗殺って言えば......そうだ!大久保卿が暗殺されるのって、西南戦争後じゃあなかった?
コワシさん分かってるかな?今日は話が出なかったが。
明日手紙で確認しよう。
ああああ!恐っ!自分が抑え切れるかコワイ!毎日ストーカー並みに手紙出しそう!
最初のミーティングはこうして俺に巨大な不安をもたらした。
暗殺される前に神経すり減って死にそう.......。
チョット説明が多すぎました。
筆力の問題です!面白く描きたいんですが・・・・。
読むのが面倒ですいません!サラッと流して次回から軽くおたのしみください。