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第六話 地属性魔法無双

本日六話目です。

 十一歳になった俺は、ちょっとだけ大きくなった妹が手がかからなくなってきたという理由でお目付け役の任を解かれた。

 というかエレーナが水属性魔法で畑の水撒きを手伝うようになったので、両親の目の届かない場所に行くことが少なくなってきたというのが正確か。


 そんなこんなで久しぶりに自分の時間が多く取れるようになった俺は、かねてから計画していた冒険者になるためのレベル上げを実行することにした。


 最も近い山林の中に生息していると思われる魔物、フォレストウルフを狙う。

 とはいえ、誰にも気づかれずに村を抜け出すというのは現実的ではないので、俺は狩人たちを説得し、狩りの最中に単独行動する許可を得たのだ。


 転生特典のおかげで狩人に必須のスキルはどれも一定以上のレベルで身につけたし、かつては風属性が使えなかった狩人も今ではキッチリ使いこなすようになったということもプラスに働いた。


 見習いのいなくなった狩人たちは、それぞれが単独で狩りをすることで、ここ数年ずっと猟果が右肩上がりである。

 ならば最も魔法の扱いに長けた俺が単独行動すれば、もっと多くの肉を得られるだろうと判断されたわけだ。


 実際、『気配察知』だけで探す狩人たちより、『魔力感知』を併用し広範囲を探れる俺の方が狩猟効率は良い。

 だから狩人たちより少ない程度の猟果を得たあとは、魔物の棲む領域に行ってレベル上げをしてもよかろうなのだ。


 まあ、変に刺激して村の方に移動されないように注意をはらう必要があるので、少数の群れをしっかり全滅させるか、万が一逃げられても大丈夫な場所でのみ狩ることにする。


 そして今日も今日とて魔物狩りだ。

 ここ数年は空間属性を上げるために、風の結界でなく空間を遮断する魔法である『空間結界』を常時使用して、自分の臭いや気配を消している。


 この魔法は例によってコストが高いが、完全に自分の周囲を区切るので枝や蜘蛛の巣などをまったく気にする必要がなく、深い山中でも移動が楽になるという利点がある。


 まあ、完全に区切ると言っても空気がないと死んじゃうから足元は空いているし、『魔力感知』を足元でやらないと結界で阻まれてしまうという問題はあるが、そこはちょっとした魔力操作でどうにかなるから大した手間ではない。


 幼い頃から鍛え上げた魔法系スキル様様だな。


(お、いたいた)


 村から四十キロほど離れた場所で、五匹の群れを『魔力感知』で発見した。

 感知範囲は直線距離で一キロほどだが、フォレストウルフが臭いや音に気づく範囲は今までの経験では五百メートルほど。


 そして俺の魔法の射程は目に見える範囲内なので、魔物が移動する方角で待ち伏せ、視界に入った途端に魔法をブッ放して倒すのだ。


「石槍!」


 俺の発声とともに、オオカミたちの足元からいきなり細長い円錐形の石の槍が発生する。

 それは魔物の喉を、胸を、腹から肋骨をすり抜けるように心臓を貫き、即座に絶命させた。


 ちなみに生きているか死んでいるかは、『魔力感知』で感じられる魔力の大きさで判断する。

 魔物は死んでも一定の大きさの魔力を発しているのだが、逆に言うとそこまで魔力が減れば確実に死んでいると判断できるのだ。


 もっとも俺が戦ったことがあるのはフォレストウルフだけなので、他の魔物に関しては実際に相対してみないことには判断基準が得られないが。


「よし、魔石は無事だな」


 オオカミたちの遺体を解体し、胸の奥にあった魔力の結晶を取り出す。

 この魔石が、さっき言った「死んでも一定の大きさの魔力を放っている」という状態の理由だ。


 要は魔力が塊になった物が魔石であり、魔力である以上は『魔力感知』にもひっかかるというわけ。

 そしてこの魔石は、年に一度だけ来る行商人の話によれば、都会ではいくらあってもいい物として冒険者のメイン収入源となっているそうだ。


 もちろん、それ以外の素材も無駄にはしないが、確実に金になると分かっている物は優先的に確保しておこうと考えている。

 そのため、なるべく一撃で急所を突いて傷つけすぎないように倒しているのだ。


 これは魔法を適切に使い、短時間で複数の相手を倒すいい訓練にもなっている。

 ど田舎出身の子供が都会に出て、いきなりいい人や仲間と出会えるとも思えないし、できる事はすべて自分でやる覚悟でいるべきだからね。


 魔物の素材に関しては種類により異なり、オオカミの魔物であるフォレストウルフの場合は、毛皮と牙、それに魔石が売れる。

 肉は食おうと思えば食えるが、筋ばかりで硬い上に生臭くて不味い。


 そのため、俺は素材を採ったあと地面に掘った穴に埋めて処分している。

 穴を掘るのは手じゃなくて地属性魔法ね。


 直径、深さ数メートル程度の穴を掘るのも『掘削』の魔法なら一瞬だし、埋め戻すのも『掘削』を逆に動かせばやはり一瞬だ。

 長々と作業しなくてすむのは、森という危険な環境では非常に助かる。


 この『掘削』は、村の井戸を増やす際にも大活躍した。

 かつては家によっては離れた場所にある小川まで水を汲みに行かなければならなかったが、『掘削』によって要所要所に井戸を掘ってからはそんな手間もなくなった。


 まあ、各家庭に一人は水属性の魔法が使える者がいる現状では、井戸の恩恵もそこまで大きくはなくなってまったが。


「よし、つぎ行ってみよう!」


 というような日々を過ごした結果、俺のステータスはこんな感じになった。


【名前:ソーラ 種族:人族 レベル:24

 所持スキル:魔力操作10 魔力感知10 無属性魔法10 地属性魔法10 水属性魔法10 火属性魔法8 風属性魔法10 光属性魔法10 闇属性魔法8 空間属性魔法5 魔力増大10 魔力回復10 回復魔法8 調合8 木工8 投擲8 弓術7 皮加工7 気配察知7 隠身7

 転生特典:万事習得】


 一年に満たない期間だったけど、かなりレベルが上がったぞ!

 それと日常的に空間属性を使うようにしたことで、スキルレベルが5まで伸びたよ。


 一方、あまり使う機会のない火と闇属性は中々伸びない。

 火は森のなかでは危なくて使えないし、闇は直接攻撃に不向きだし。


 まあ、獲物を一切傷をつけずに狩るなら、闇属性の『魔力霧散』で魔力を枯渇させるという選択もあるが、どうしても時間がかかってしまうからなあ……。


 他の状態異常魔法も使えると言えば使えるけど、どれもこれも対象が単体だし、黒い靄が出るから見て反応されやすいんだよね。

 靄が出ないようにアレンジすれば良いとも思うけど、今の所いい方法を思いつかない。


 まだまだ修行が足りないなーと思いつつも、地属性魔法が便利だから頼ってしまうのだった。


 だがまあ、おかげで魔法を上手く使うという技術はそこそこ身についていると思う。

 だからしばらくは、オオカミ相手に地属性魔法で無双をするのも良いだろう。


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