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異世界から来た女神さまが怪しすぎる!!  作者: 西れらにょむにょむ
異世界から来た女神さまが怪しすぎる!!
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異世界から来た女神さまが怪しすぎる!!

 薄暗い診察室。

 俺は初老の医者と向かい合って座っていた。


『次元の扉を……』

『なるほど……。四波(しば)さん、お薬が足りないようですねぇ』

『先生……』


 俺は胸のペンダントトップを握り、剣を抜き放った。


『先生。これでも、信じてもらえませんか?』

『はっはっは。レナたん命! レナたん命!』

『レナたん命! レナたん命!』


 医者の背後に六本腕の巨人と獣人が現れた。

 3人とも『レナたん命』と書かれた蛍光ピンクの鉢巻をしている。

 診察室にレナたんコールが響く。


『てぇえええい!』


 と、斬りかかった所でガバッと目が覚めた。


「ふわぁ!」


 目覚めたら、壺ちゃんの顔が目の前にあって驚いた。


「なんだ……壺ちゃんか……」


 壺ちゃんは枕元に座り、俺の顔を覗き込んでいた。


「なんだとはなによ。アンタ、またうなされてたわよ」

「……そうか。ごめん」


 俺は額にうっすらと滲んだ汗を袖で拭った。

 深呼吸をして、肺の空気を入れ換える。

 何の夢を見ていたんだっけ……。


 壺ちゃんが俺の隣にコロンと横になった。

 壺ちゃんを掛け布団でふわっと包み、抱き枕の代わりにぎゅっと抱き締めた。

 ちょうどいいサイズだ。


「……まだ、諦められないのね」

「……」


 返事はせずに、抱き締める手にぎゅっと力を入れてパッと緩める。


「流石にあの女神もいろいろと懲りたんじゃない。もう会えないんじゃないかしら……死ぬまでは」

「……」


 ぎゅっ。ぎゅっ。


「ふん、バカみたい」


 掛け布団をはいで壺ちゃんを直接手足で挟んだ。

 あちこち撫でまわす。

 壺ちゃんはくすぐったそうにクスクスと笑った。


 レナさんに会いたい。


 また何かあったのだろうか。

 でも、ロブラリアがついていれば心配はない。

 今は、何か会えない理由があるのだろう。


 それに、壺ちゃんが居れば、俺たちの繋がりが切れることはない筈だ。

 そんな、漠然とした自信があった。


 俺は壺ちゃんを抱いたまま、いつの間にか眠りについていた。


 目が覚めると、壺ちゃんはいなくなっていた。


§§§


 二日後、土曜日。


 レナさん、ロブラリア。

 壺ちゃんまでも消えてしまったあと、俺の心は隙間だらけになっていた。

 仕事も上の空だ。

 夜は久しぶりに壺ちゃんに占領されていたベッドで横になったがまるで寝付けず、何かを思い出してはため息をつき、気付けば朝を迎えていた。


 昼前。


 いつものように八重樫が食事を作りに来た。

 包丁の音が遠くから聞こえる。

 何かの匂い……それが味噌汁の匂いだと気付くまで、少し時間がかかった。


「さぁ、ご飯を食べて元気を出したまえ! 四波パイセン!」

「……サンキュ」

「……」

「……」

「もー。まるで空っぽじゃない」

「……ん? 何か言ったか?」

「なんでもなーい」


 ――鳴る気配。


 俺は玄関へ駆け寄った。

 そして、大きすぎる玄関チャイムの音と同時に、ドアを開けた。


 回線の勧誘だった。


 俺は説明も聞かずに断って、ドアを閉めた。

 全身の力が抜け、俺はその場にしゃがみこんだ。


 何でもない、当たり前の、現実の世界。


 そこに、俺は戻ってきた。

 それだけのことなのだ。

 ため息がこぼれた。


 異世界から来た彼女たちとの別れがこんなにも、寂しいなんて。


「……そんなにレナさんが大切?」


 八重樫が後ろから俺の肩を抱いた。

 背中に柔らかな頬が触れる。

 何故か、気持ちがスッと楽になった。


「……いいや」


 嘘だ。

 だが、このままずっと、八重樫の柔らかさに甘えてしまいたい気持ちになる。

 いつか、八重樫に感じた気持ちが、再び沸きあがってきた。


「それじゃ、壺ちゃん?」

「――!!」


 それじゃ。そうだ、忘れていた。


 俺は背中の八重樫を振り向いた。

 目の前に八重樫の顔が迫る。


 一瞬ハッとした八重樫が、スッと目を閉じて口元を緩ませた。


 それは放っておいて俺は立ち上がった。


「ソレジャ! 命令だ、戻ってこい!」


 ベッドの上にポンと煙が上がり、壺ちゃんが現れた。


「あーあ、見つかっちゃった。もう少し困らせておこうと思ったのに」


 八重樫がひっくり返りそうな勢いで驚いている。


「えッ! えッ! えーーーッ! 壺ちゃん!! いたの!?」

「隠れてただけよ、八重樫。さ、早く私のベーコンを焼きなさい……ちょ、リョーサク!」


 ぺったりくっつこうとする俺を壺ちゃんが全力で拒否した。


「ふん。この前アタシのことを置いてきぼりにしたお返しよ。なによ、涙ぐんじゃって、男のクセに」


 そして。


 ――鳴る気配。


『ピンポン!』


 俺は、ゆっくりと振り向いた。

 そして一歩ずつ玄関へと近寄る。

 そっとドアを開けた。


 そこには、女神さまが立っていた。


 豊かなブロンドに(ふち)取られた均整の取れた顔立ち。

 青い瞳。きめ細かい(つや)やかな肌。目元と口元に残る幼さ。

 清純な白のワンピースから伸びる細くしなやかな腕と、ほのかな色気を放つ肩、胸元。


 爽やかな笑顔。


 全身が痺れるような衝撃が走った。


「異世界で掘り出しものを探していたら、少し時間がかかってしまいました。今日はボーナスが出たシバさんにピッタリの開運ラッキーアイテムがあるんですよ。へへへ……」


 怪しすぎるセールストーク。


「まあ、立ち話もなんですから、中で……」


 俺はいつものように、彼女を部屋へと招き入れた。


2019/07/06

こんにちは。西れらにょむにょむです。↓でお知らせしていました全体の見直しが完了しました。

まだまだ良くない点もあるかと思いますが、キリがなく、このへんで切り上げて話を再開させていただこうかと思います。

引き続きよろしくお願いいたしますm(_ _)m


~~~

こんにちは。西れらにょむにょむです。

「異世界から来た女神さまが怪しすぎる!!」とりあえずここで第一章完となります。

雑で拙い拙作へのお付き合い、ありがとうございました。

また、数々のコメント、応援、とても励みになりました。この場を借りて御礼申し上げますm(__)m


さて。ユルい四コマ漫画のようにサクーッと読める感じのスタイルを目指して書き進めてきたのですが、どうしてなかなか難しく、及第点までの道のりは遠そうです。


特にシンプルでテンポよく……を目指して書くと、思い入れがある部分やイメージが出来ている部分ほどザックリと省いてしまう癖があるようでして、その結果、いろいろと伝わらない所が出てしまっているようです。

途中で気付き、反省はしたものの……なかなか直せていません。


そして、何よりも雑。

これは劣悪な執筆環境にも原因はあるとは思うのですが(言い訳)……むう。


とは言え、とりあえずは構想を練ってる時に『ここだけは書きたい!』と思った……

・前半に散りばめた色々な伏線(て程でもないのですが)をセドリーズ戦で回収する流れ

・それじゃ、ソレジャ

・冒頭と同じく「ピンポン!」からの流れで終る第一章

が書けて自己満足です。へへへ。


さてさて。今後ですが、上記反省点を踏まえ第一章全体のリライトを進め、少しでも読みやすく体裁を整えてから、第二章を開始する予定です。

他拙作との兼ね合いもあり、少々時間がかかるかもしれません。


ではでは。

よろしければ、また、ぜひ!!



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