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Promise  作者: タカ
13/17

12話

次の日の昼休み。

優衣はいつも通り美樹達と昼食を取っていた。

三人で話をしていると制服のポケットに入れていた携帯が震えた。

携帯を取り出すとメールを受信したようで差出人は衛になっている。

携帯を操作している優衣に美樹が話しかける。


「メール?」

「うん。衛先輩から」

「何て?」

「今見るところ」


優衣は受信したメールを開く。

美樹と真理も優衣に声をかけて隣から携帯を覗く。

メールには『今電話しても大丈夫か?』とだけ書かれている。

優衣が美樹と真理に顔を向けると二人が頷いたので優衣は衛に電話をかけた。

数回コールをした後に衛が電話に出た。


『もしもし』

「あ、優衣です」

『悪い、俺から電話するつもりだったんだが』

「大丈夫です。どうかしたんですか?」

『あ~、さっき母さんから電話で買い物して帰ってくれって言われたんだよ』

「買い物、ですか?」

『あぁ。晩飯の材料をな。締め切りで今は家から出れないんだと。5時には締め切りも終わるから晩飯の支度はできるけど買い物は無理だからしてくれって。で、悪いんだけど一緒に行ってくれるか?』

「それはいいですけど…」

『助かる。肉とか言われてもどれ買ったらいいのか俺だけだと分からないんだよ。じゃあ…裏門で待ち合わせようか。あまり目立ちたくないだろ?』

「分かりました。裏門に行けばいいんですね?」

『あぁ。じゃあ、放課後にな』


それだけ言うと衛は携帯を切った。

優衣が耳から携帯を話すと美樹が話しかけてきた。


「なんて?」

「帰りに買い物するから付き合ってくれって」

「うん。それはなんとなく分かったけど何の買い物?」

「夕飯の材料。おばさんが忙しいらしいから買ってきてくれって衛先輩の携帯に電話があったんだって」

「へぇ~、じゃあデートだね」

「そんなんじゃないよ」


美樹の言葉に優衣は苦笑いを浮かべた。

そして、放課後。

HRが終わった優衣は裏門に向かった。

裏門を出ると壁に衛が腕を組んで寄りかかっていた。

優衣は衛に近づいて声をかける。


「衛先輩」

「あ、来たか。悪いな、付き合わせて」

「いえ。でも、どこで買い物するんですか?」

「あぁ、家の近くのスーパーだ。少し回り道をすることになるけど仕方無いだろ」


衛はそれだけ言うと歩き出したので、優衣は駆け足で衛の横に並んだ。

スーパーに着くと衛は買い物籠を手に取った。


「じゃあ、頼むな」

「…何を買うのか聞いてないんですけど」

「あ、そうだっけ?え~と…これメモ取ったから」


衛はカバンからノートを一枚ちぎって優衣に渡す。

メモを受け取った優衣はメモに目を向ける。

メモは急いで書いたのだろう、少し文字が汚い。


「え~と、とりあえず回りましょうか」

「だな。よし、行くぞ」


衛は優衣を促してスーパの中を歩く。

優衣は歩きながらメモに書かれているものをどんどん入れていく。

スーパーに着いて数十分たつと目的のものは全て籠に入れ終わった。


「これで全部かな…」

「ま、足りなかったら買いにくればいいし、無かったら無かったでどうにかなるだろ。…よし、お前何する?」

「え?」

「ジュース買って行こうぜ。だから、何する?」

「いいんですか…?」

「いいんだよ。見返りを求めるのは当たり前。ほら、さっさと選べ」


衛はすでに決めてあったのか炭酸飲料を籠に入れた。

優衣も棚を見て、少し悩んだ後スポーツ飲料を選んだ。

それを見て衛は呟く。


「へぇ…」

「なんですか…?」

「スポーツ飲料好きなのか?」

「そういうわけでもないです。ただ今はこれにしようかなと思って」

「なんで?」

「なんでって言われても…気分です」

「うん、まぁそんなに興味があったわけじゃないけどな」

「…だったら聞かないでくださいよ。じゃあ、レジに行きましょうか」

「はいはい」


優衣は一番近いレジに並んだ。

その後ろに衛も立って順番を待つ。

優衣達の順番になり、店員の作業を見ながら優衣は衛に話しかける。


「…先輩」

「ん~?」

「お金ってどれだけあります?」

「俺はだいたい財布に5000円は入ってるから。お前は?」

「私は今日は1000円ぐらいなんです…」

「ん~?足りなさそうなのか?」

「5000円を越すかどうかってところです」

「あ~、一応財布の中確認しとくか。…あ、大丈夫だ」


衛は財布を取り出して中身を確認すると優衣に財布から取り出した札を見せた。


「一万円入ってたわ。今日貸してた金返してもらったこと忘れてた」

「なら、大丈夫ですね。あ、じゃあ支払いお願いします」


会計を衛に優衣は籠を移動させた。

ビニール袋に品物を詰めていると会計を終えた衛が近づいてきた。

優衣の慣れた手つきを見て衛は感嘆の声をあげる。


「へぇ~、お前慣れてるんだな」

「お母さんと一緒に買い物行ったりしますから」

「俺はできないから任せた」


優衣は衛の言葉に苦笑いを浮かべた。

ビニール袋2つに全てを詰め終わった優衣が袋を持とうとすると衛が止めた。


「ちょっと待て。う~んと…俺のカバン持って。これは俺が持つから」

「え?」

「いいから。ほら」


衛は袋を片手で軽く持ったかと思うとカバンを優衣に向かって放り投げた。

優衣がそれをなんとか受け取ると衛は両手にそれぞれ袋を持って歩き出した。

スーパーの外に出ると優衣は衛の横に並んで声をかける。


「どうして私が衛先輩のカバンを持たないといけないんですか…」

「ん?それが一番軽いんだろ」

「あ…、そうですね。だって、衛先輩のカバンって弁当箱しか入ってないですもんね」

「ほぉ~、言うようになったなぁ。人がせっかく軽いものを持たせてやってるっていうのに」

「女の子には優しくしないと駄目ですよ?」

「ホント変わったよな、お前…」

「それは褒め言葉として受けとっきますね」

「…はいはい。ほら、行くぞ」


優衣と衛は笑いながら家に向かって歩き出した。

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