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GUARDIANS・IN・IRON   作者: 寺野深一
第二章 波乱到来編
27/51

第26話 「俺と彼女と異端審問会」

第26話、お届けします

 





 ほの暗く、暗転された教室の中心部。

 いつもはガヤガヤと騒がしいその場所も、今日は様子が180°違っていた。




 ーーー




「それではこれより……異端審問会を開廷する」



 クラスメイト(男子のみ)がひしめく教室内。

 俺はその中心に立たされていた。

 後ろ手を縛られているせいで、上手く動くことができない。

 さっき後頭部を殴られたようだ。

 頭がクラクラする。


 四ノ宮の言葉によって暴走した野郎共に襲われ、頭を()()()()()()()()()()()でガツンとやられた俺は、気が付いたらこんな状態になっていた。


 えっ?

 おいおい……冗談だろ?


 そう思いつつも、首だけ動かして周りの状況を見てみる。


 机は乱雑に端に寄せられ、俺の周りだけぽっかりと開けている。

 二重にカーテンが引かれてたせいで、外の晴天は遮られていた。

 照明は、篝火のような形のランプが薄く明滅しているだけ。

 というかそんなものどこに置いてあったんだよ。



 そして……俺を取り囲む野郎共。



 …。

 ……。

 や、やだーっ、俺ってば人気者?


 ……いや、全くそんな空気じゃなかった。

 まず人気者なら、縛られたりしない。

 得物を手に、包囲されたりもしない。

 教室内に満ちている空気は、殺意と嫉妬に塗れていた。


 ……正直に言おう。


 めっちゃ怖い!

 やばいよ!

 絶対にやばいってこの状況。


 殺意丸出しで目が血走ったガタイのいい男どもに囲まれてるんだぞ。

 普通に命の危機を覚える。


「ま、待てみんな!

 これは誤解だ!」

「被告人の罪状を」

「ハッ!」


 聞く耳を持ってくれない!

 俺の必死の訴えは呆気なく潰される。


「求刑。

 被告人/木崎優真が、原告/四ノ宮光咲さんに対し強制わいせつ行為をはたらいたと確認した。

 クラスの平和を保つためにもこれは由々しき事態であり、即刻これに対し確実な対処を―――」

「手短に説明せよ」

「美少女と同棲とかどこのラノベ主人公だよ、正直めっちゃ羨ましいでありまぁぁす!」

「判決、死刑」

「待てぇぇぇ!?」


 理不尽!

 なんて私情に塗れた判決なんだ。


 裁判長らしいクラス委員の(そん)くんが放った一言で、一斉に得物が掲げられる。

 弁明も出来ずに刑が執行されようとしていた。 


「ま、待ってくれ!

 本当にこれは全くの誤解なんだよ!」


 慌ててみんなを静止する。

 じゃないとすぐにでも工具(凶器)の波が俺に押し寄せてきそうだった。

 こんなところで死にたくない!


「そんな、皆が想像しているようなことは何も無いんだって!」

「ほほう」

「俺がそんな大それたことを出来るはずが無いだろ!

 もちろん何も起きてないし、これからも起こさないよ!」

「それは神に誓えるか?」

「もちろん!神に誓え――」

「………着替えを覗かれた」

「よし、こいつを処刑しろ」

「四ノ宮ぁぁぁ!」


 また爆弾投下しやがったあいつ!

 あのことをそんなに根に持ってるのか!?


 そして四ノ宮の一言でさらに火がつく執行官たち。

 再び得物が構えられた。


「いやだーっ!

 俺は無実だぁぁぁ!!」

「こらっ、暴れるな!

 手元が狂うだろう!」


 やられまいとジタバタ暴れまわる俺。

 しかし、抵抗虚しく数人がかりで抑えつけられる。


 くそっ!

 処刑なんてされてたまるか!


 それでも往生際悪くもがき続ける。

 だが、たかが一人の力で数人の男子高校生相手に敵うはずもなく、


「さぁ……観念しろ木崎!」

「ちくしょう……ちくしょぉぉ!」

「ふははははっ!

 一人だけ良い思いをした報いを受けるがいい!」


 くそったれ!

 それが本音か!

 ……いや、最初からわかってたけど。


 嫉妬と羨ましさによって暴徒とかした孫たちは、もはや止められない。


「な、なにをする気だ!?」

「ふふふ、これを使うのさ」


 そういって孫が取り出したのは……


「薄毛の人には効果抜群。

 薄毛じゃなくても効果抜群。

 そう………」


 そう言って、太く巻かれた茶色いものが目の前に掲げられる。

 これは……!


「ガムテープさ」


 いやぁぁぁぁぁ!!


 ハゲちゃう。

 そんなもの使われたらあたしハゲになっちゃう!


「どうか……どうかそれだけは勘弁してくれ!」


 お婿に行けなくなっちゃうよ!

 毛根まで根こそぎやられたら、俺一生恥ずかしい頭になるじゃんか!


「安心しろ木崎」


 そういって孫がポンッと俺の肩を叩く。

 ……嫌な予感。


「張るのは全身だから」

「おおお、お前は鬼か!?

 なんてこと思いつくんだ!

 そんなことされたら、毛無になっちまうだろ!」


 だが、孫は涼しげな顔で、


「それが?」

「それが?、じゃねぇぇぇ!!」


 誰か!

 誰かコイツを止めてくれ!


 救いを求めて周りを見渡すが、全員知らん顔をしている。

 むしろさっきより楽しそうだ。


 そんなに俺の脱髪式が見たいのかよ!?

 そんなことを平然と出来るなんて、

 お前ら人間じゃねぇ!


「さて……罰の時間だ。

 木崎、覚悟しろ!」

「嫌だぁぁぁぁ!!

 や、やめろぉぉぉぉぉ!!」


 ガムテープが、ビッと引き出される。

 残忍な処刑器具はゆっくりと、抑えつけられた俺の頭へと迫ってきた。

 とうとう俺の毛根達が刈り取られようとしたその時。


 救世主が現れた!


「待てお前ら!」

「た、拓真ぁ!」


 我が心の友、小林拓真だ。

 拓真の静止を受けた野郎共はというと……


「なんだバカ!」

「一体なにを血迷ったバカ!」

「こんなやつをなんで庇うんだバカ!」

「いいから落ち着けバカ共!」


 おお。

 バカがバカにバカって言って、それに対してバカがバカって言い返した。

 なんてややこしい構図なんだ。


 いや、今はそれよりも


「そうだ拓真!

 お前からも言ってやってくれ」


 頼みの綱はこいつだけなんだ。

 じゃないと俺はこの先ずっと、太陽を恐れて生きていかなきゃいけなくなる。

 頼むぞ拓真!


「いいかお前ら、よく考えてみろ!

 この不細工如きが四ノ宮さんに相手にされるわけないだろ!」

「てめぇちょっと表に出ろや」


 誰が不細工だコラ。

 コイツは一回シバいとく必要がある。



「たしかに……一理あるな」

「いや無いよ!?」


 欠片もないわ。

 孫まで納得してんじゃねぇよ。

 マジで一度コイツらとは話し合うべきだ。


 と、その時。

 備え付けのスピーカーからチャイムが鳴り、


 ガラッ……!


「ほら、席につけ。

 授業始めるぞ……って、何やってるんだお前ら」


 先生が教室へと入ってきた。

 こちらに殺意の籠もった目を向け、渋々と野郎共は席へ戻っていく。


 いやーっ、危ないところだった。

 あのままいったら処刑実行されててもおかしくなかった。

 やっぱり拓真は役に立たかったしな。

 ひとまずこれで一安心だな。



 そう思ったのもつかの間。


 今度は新たに、爆弾が落とされた。

 それも予想しなかった方向から。


「あ、そうだ木崎。

 竹中先生からの伝言だが……」


 とっても嫌な予感。



「放課後、四ノ宮さんに学校内を案内して欲しいそうだ」





 波乱はまだまだ、続くようだ。







活動報告でも言いましたが、しばらく投稿間隔が長くなりそうです

申し訳ない

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