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Light in the rain   作者: 因美美果
第七章――1
70/77

『種子』

まだまだ未熟なので、ご指導ご鞭撻の程よろしくお願いします。


※この作品は、少し残虐なシーンが含まれます。また少し刺激の強いシーンが含まれます。以上のことが苦手な方はご観覧をお控えください。


この作品は、私の溜め込んできた物語をひたすらに詰め込んでいます。

それでも楽しんで頂ければ幸いです。

 子ども達は皆子ども部屋でぐっすりと眠っている。

 きっと遊び疲れたのだろう。


 けれど、キトロンは私達と一緒に広間のテーブルに並んでいる。


 明かされた真実や解いた誤解などで、現状何が分かって何が分かっていないのかが不明瞭になってしまっている。

 状況の整理やお互いの目的を擦り合わせる意味でも、一度椅子に座って話し合う時間が必要である。


 キトロンも中途半端に情報を知っているより、いっそのこと全てを明かした方が良いと判断した。

 何より、彼女がそれを望んだ。


「まずは、この修道院のことについて――子ども達のことについて、あたしから話すわ」


 私達の向かいに座るコルキは、そう切り出した。

 彼女の隣に座っているキトロンは、普段とは全く違う『お姉ちゃん』の口調に慣れない様子である。

 まるで知らない人を見ているような視線だった。


「私がここに来たのは九年前――十二歳の時よ。当時から既に盗みで生計を立てていたわ。放浪児だったことも本当。コイロに来た理由は人間に化けていれば生活の安全を確保できると考えたから」


 人間に化けていれば――つまり十二歳の時には既に高難度の魔法を使えていたということか。

 末恐ろしいな。


「別に好きで覚えた訳じゃないわ。使えるようにならないと生きていけなかっただけよ」


 その言葉だけで、彼女の半生の波乱ぶりが窺えた。


「子ども達には君が鳥人であることを隠しているのか?」

「当たり前でしょ」

「何故? 子ども達同士は互いが亜人であることを知っているんだろう? 君も言えば良かったじゃないか」

「簡単に言わないで。あたしが鳥人であると教会側にバレた時、子ども達にリスクを背負わせることになるわ」


 そういうものなのか。


「続けるわよ――私が来た時、この修道院は今よりも酷い状態で、欠陥だからだった。今も綺麗とは言えないけれど、これでも素人の手でできることはしたのよ。私も盗人じゃなかったら、街中の空き家にでも住んでいたでしょうけれど」


 それでも、ここを選んだ。

 それだけの価値がここにあったのだ。


「そう。建物の中を調べていた時、あんた達が通ってきた隠し通路を見つけた。あれを使えば、誰にも見られることなくヘロスの好きな場所に出られることが分かった。そして、聖教会へも直接行ける」

「――!」


 下水道から聖教会まで行ける――その事実は私達も想像していなかった。


 あの時は聖教会から離れるように進んでいた為、その事実に辿り着けなくても当然だろう。

 しかし、今思えば聖教会の下水路を他と分ける意味もないし、あの下水道が聖教会に繋がっていてもおかしくはないだろう。


「じゃあ、犯行経路は空ではなく、下水道ってことか?」


 そうなると、聖教会が立てた犯行経路の推測に誤りが出てくる。

 犯人の足跡が途中で途切れていたのは、空へ逃げたからではなく、下水道へ逃げたからなのだろう。


 しかし、コルキはその問いに「半分正解、半分不正解」と、答えた。


「行きは空を飛んで聖教会に向かい、上空から大体の警備の配置を確認する。侵入して無事に物を盗み終えたら、下水道を通ってここへ帰る。行きも下水道を使ったら、臭いが付いて聖教会内でバレるかもしれないし、帰りに空を使ったら、あんたみたいな空を見上げてくる奴に見つかる可能性があるでしょう。機能性とリスクの塩梅を取る為に使い分けてるのよ」


「まあ、昨日は行きで見つかったけれど」と、不機嫌そうに睨んでくる。


「その為にも、街から遠く離れたここを拠点に決めたのよ。この建物も怪しまれない程度には修復し、一応修道院に見えるくらいになった。これで、ここからどこへでも行ける――そこからでも帰れるようになった。とはいえ、聖教会は警備もそれなりに厳重だし、盗みをするには手を出し難い。だから、最初はリスクを犯さず、街の大きめの教会や金持ちの家から食糧を盗んでいた。実際、それで何とかなっていた。けれど、そういう訳にもいかなくなった。ある夜、盗みから帰ってくると、外から赤ん坊の泣き声が聞こえてきた。外に確認しに行くと、納屋に木編みの籠が置かれていたの。中に敷かれた布を捲ると、可愛らしい――獣人の男の子がいた」


 コルキは子ども部屋の方へを一瞥する。


「それがヴァナーナ――あたしを修道女にしたきっかけ」


 彼女の声が先程よりも沈んでいた。


「籠には紙切れも入っていて、そこには赤ん坊の名と赤ん坊を置き去りにした経緯が書かれていた。経緯はしょうもない話よ――ヘロスに住む人間の女が外に出た時、獣人と関係を持って身篭って、ヘロスで産んだ結果が獣人で、育てられないからこの修道院に置いていったってこと。獣人の男にも逃げられたそうよ」


 阿呆な大人はどこの国もいるものだ。

 産んだ子供の責任も取れないとは――子どもが獣人で生まれてくる可能性は考えなかったのか?


 因みに、違う人種同士で身篭った場合、その赤ん坊はどちらかの遺伝子だけが選ばれる。

 なので、例えば鳥人と魔人の間にできた子は鳥人か魔人であって、角が生え、翼も生え、足が鳥――そんな姿の子どもが生まれたりはしない。

 魔人の魔力の保有量の大きさや、親の髪や瞳の色などの副産物的なものは人種によらず受け継げるので、鳥人であっても魔力が大きく生まれてくる場合もある。


 オールも親が火竜と魔竜なので、分類としては火竜だが魔竜の魔力保有量も受け継いでるのも、そういう理由だ。


「あたしだって自分が生きるだけで精一杯だから、厄介なものを置いてかれたって思ったわ。けれど、赤ん坊が飢えて死んでいくのを見過ごせるほど汚れ切れないもの。仕方なく籠を修道院に運んで、ヴァナーナに魔法をかけて人間の姿にした。その間も何で泣いているのか分からなくて、がむしゃらにあやして――結局その時はお腹を空かせていただけだったけれど」


 その時の苦労を思い出しているのか、彼女の表情も疲れ気味になっている。


「当然、子どもなんて持ったことないし、赤ん坊の世話だってしたことなかったから、何で泣いているのか全然分からなかった。昼も夜もなく泣いて、おしめだって替えたこともないし、ご飯はどういうのが良いのかとか……はあ、本当、大変だった。だから、あの子が初めて笑ってくれた夜は、それまでの全部が報われるくらい嬉しかったわ。盗みしかしてこなかったあたしも生きていて良いのだと、肯定された気がした」


 ふと綻んだ彼女の顔は、嘘ではない本当の笑顔だった。

 修道女として子ども達と接していた時と同じ笑顔で、姿を隠していても彼女が子ども達を本当に愛しているのだと分かった。


「それから、孤児を引き取ることを決めた――本当に修道女になることにした。保護対象は亜人のみ――人間の孤児はコイロでなら手厚く育ててもらえるし、亜人の孤児もあたしの魔法を使えば人間並みの支援を受けられる。あたしは時折ヘロスの外へ出て、亜人の孤児を探した。ヘロス以外の街は亜人の立ち入りも許可されているけれど、パラミ教の亜人迫害もない訳じゃない。酷い話だけれど、亜人への暴行や殺害は聖教会や聖騎士団も黙認していたの。亜人の旅商人や放浪者は特にその標的にされていたわ」


 無い話ではないだろう。

 亜人迫害を正義だと掲げる宗教だ。

 亜人の制裁を大義名分に、溜飲を下げる輩は今もいることだろう。


「だから、親子で旅をしていた亜人の子どもが、コイロに来て親を殺されたりすることもあった。あたしはそういう子達を保護することにしたの。キトロンもそうだったわ」


 キトロンの方を一瞥する。

 彼女は下を向いて押し黙っている。


 彼女からは事故で親を亡くしたと聞いていた。

 その事故が偶発的だったのか――誰かの手で起こったものなのか、それは分からない。

 事故を装った殺人さえ、きっとこの国は動いちゃくれないだろう。

 まして取り残された亜人の子どもを保護するなんてこの国の誰がするというのか。


「子どもを保護し出してからも、下水道を使って街の教会から盗みをしていたけれど、消費する量が手に入る量を上回ってきた。一番多い時で、十一人の子ども達を保護していたからね」

「その時の子ども達は今はどこへ?」

「他国にいるわ。信頼できる修道院に移ったり、里親が見つかったり――召し使いとして雇ってくれるお家もあったわ」

「じゃあ、元気に生きているんだな」

「ええ、今でも便りが届いたりするから、大丈夫よ。今は生まれたままの姿で暮らせているわ」


 それなら何よりだ。

 今ここにいる子ども達もいずれ自立できるようになったら、ここを巣立ってそうしていくのだろうか。

 キトロンはここに残ることが望みのようだけれど。


「今は当時と比べたら、教会からの支援や畑もあるから安定しているけれど、当時は難儀したものよ。一度に盗める量の食糧じゃ足りないし、けれど、過度に盗んでしまうと怪しまれる。だから、より大量の食糧を備蓄しているところから盗むしかなかった」


 それが聖教会だった。


「ええ。けれど、聖教会の食料庫も毎日管理されているから、盗んでもバレないぎりぎりの量を持ち帰って、それをぎりぎりまで切り詰めたりして……あの頃は、皆に十分な食事を食べさせてあげられなかったわ。それから、子ども達の受け入れ先も探すようになって、無事に見つかって、今に至る、って感じよ」


 コルキの説明を受け、理解できたこと、納得したことがちゃんとできた。

 ――が、まだ疑問点は消え切っていない。


「質問しても良いか?」

「ええ、どうぞ」

「聖教会からの情報だと、最近になって盗む食糧の量が増えたと言っていたけれど、何故そんなリスキーな真似をしたんだ?」


 すると、彼女は悪びれた様子もなく、堂々と答える。


「仕方ないでしょ。丁度クレミディとアピオンとロダキノを引き取って、備蓄がちょっと足りなくなってきたの。食べ盛りの子もいるし。怪しまれる結果にはなったけれど、別に後悔はしていないわ」


 盗みの時点で後悔も何もないと思うが、まあ、それについては納得である。


 しかし、こちらの疑問はまだ残っている。


「君が盗んだコイロの国宝――『トポス・ティアラ』。あれを盗んだ理由は何だ?」


 彼女が金や宝物が欲しいタイプの盗賊だとは思えない。

 資金を得る為だとしても、市場に流せばすぐにバレるだろうし、闇市にでも売ったのだろうか?


「売る訳ないでしょう。馬鹿ね」

「なら、ティアラなんか盗んでどうするつもりだったんだ?」

「は? ティアラなんだから、冠るに決まってるじゃない」


 さも当たり前という顔で言い返された。

 いや、確かに当たり前のことだが。


「クレミディが欲しいって言ったの。絵本で出てきたんだって。だから、ここに来た記念に盗んだの。どうせ聖教会には盗人が入り込んでいるってバレてたし」


 そんな理由で国宝を盗んだのか?

 度胸もそうだが、彼女の子へ対する愛には呆れを超えて感心してしまうな。


「だって、絵本のはお姫様のティアラなのよ。それくらいじゃないと」

「いや、でも、リスクがさ……」

「あんた達、聖教会のティアラの使い方知ってる? 玉座の横の台に置いてるだけなのよ? 勿体無いじゃない。しかも、夜になったら、宝物庫で厳重に管理されてさ。ティアラからしたって、冠りたがっている人に冠ってもらえる方が絶対良いじゃない」


 と、キトロンは何かにはっとして、怯えたようにコルキの方を見る。


「お姉ちゃん……もしかして、あのティアラがそうなの?」

「ええ、そうよ」

「私、冠っちゃった……」

「良いのよ、冠っちゃって。あたしが盗んできたんだもの」


 どういう理屈だ。


「ティアラはどこかに隠しているのか?」

「何よ、教えないわよ」

「いや、別に盗もうだなんて思っていないよ。義賊から盗むなんて」

「……隠しているけれど、多分見つからないわ」

「『アルケミア』で分解しているのか?」

「…………」


 あれ、当たりか。


 まあ、確かに、それなら方法は分かっていても、見つけることも盗むことも不可能だろう。

 粒子になったティアラを再構築して実体化できるのは、魔法を使ったコルキにしかできない。


「はあ、何か嫌になってきたわ。賢い奴って嫌いね」


 そう言って、彼女は右手を出す。


 上を向いた掌に段々と粒子が集まってきて、その正体を現す。


 荘厳で煌びやかな宝石が散りばめられた髪飾りは、蝋燭の小さな光を鮮やかな七色に変えて輝いている。

 素人目にも分かるほどの一等級の宝である。


「よく盗めたな。これなら警備も相当厳重だろう」

「まあね、こちとらキャリアが違うのよ」


 と、ティアラの放つ光を映したその瞳で、キトロンがコルキに訊ねた。


「お姉ちゃん、いつ盗みをしに行っていたの?」

「夜よ。あなた達が眠った後とか。毎日ではないけれど」


 しかし、聖教会の話によれば、日が沈んですぐやって来た時もあったらしいが、そういう時は皆には何と説明したのか。


「教会の集まりとか適当に理由つけてたわ」

「えっ……あれも嘘なの?」

「ごめんね、キトロン。あれも嘘なの」


 次々と明かされる真実にショックを重ねていくキトロンに対し、コルキは曇りのない綺麗な笑顔で答える。

 そして、無愛想な顔に豹変し、こちらへ向き直る。


「あんた達からは以上?」

「まあ、そうだね」


 聞いておくべき疑問は晴れた。

 細かい点もまだ残っているが、聞いたところで予想通りの答えが返ってくるだけだろう。


「そう。それなら、今度はこちらから質問させてもらうわ」


 彼女はそう言って腕を組み直す。

 何だか取り調べを受けているようだ。

 盗人は向こうなのに。


「あんた達、これからどうするつもり?」


 これから――か。

 正直言うと、何も考えていない。

 得られた情報もあったけれど、当の目的の魔国とコイロの繋がりを探ることにはあまり関係のない情報ばかりだったし。


「あたしが犯人だったことを聖教会に言う訳でもないんでしょう?」

「そうだな。そのつもりはない」

「ふうん……そもそもあんた達が聖教会の警備に参加していた理由って何なの?」


 それもまだ話していなかったか。

 聞くばかりで、こちらからは何も言っていなかった。


 私達はここに来た経緯、ここでやるべきこと、達成したい目的、そして、昨日起きた出来事を、全てコルキに話す。

 聞き終えたコルキは「ふうん」と、退屈そうに応えたが、隣のキトロンは話の要所要所で驚いたり、怯えたり、忙しなくて可愛かった。


「とりあえずそれを聞いてあたしが言えるのは、昨日はあんた達が騒いでくれていたお陰で、いつもより盗みやすかったわ。ありがとう」


 そんなことを感謝されても。

 盗みに加担してやったつもりはないのだが。


「そうね。でも、申し訳ないけれど、あたしからもあんた達の欲しい情報をあげることはできないわ。私自身は勿論、この国や聖教会が魔国と繋がっているって話は聞いたことがないわ」


 ふむ、これに関しては、彼女が嘘を吐いているようにも思えない。


「でも、不自然ね。亜人とは言え、傭兵として雇ったはずのあんた達を、エクヴォリだっけ? ――突然殺そうとするなんて」


 私が人間ではないこと――人間だけではないことを知っていての行動だとしたら、相当やりづらい相手ではある。

 因みに、私やオールの正体については、コルキ達には黙っている。

 少なくとも、キトロンの前では話せない。


「エクヴォリなら、何か知っていそうね」

「そうなると、やっぱり聖教会にもう一度向かわなければならなそうではないか?」

「そうじゃな。しかし、儂らが侵入しても、また昨日のように追われる羽目になるのは必至じゃろう」


 私が言おうとしたのに、今まで喋れなかったオールとアラフがここぞとばかりに話を奪ってきた。

 トーク泥棒め。


「けれど、このままでは進展しないでしょう? ヘロスにはきっと聖騎士達があんた達のこと探しているし、ここだっていつまでも安全とは言えないわよ」


 確かにそうだな。

 街で手に入る情報もたかが知れているし、何よりこの修道院に迷惑を掛ける訳にはいかない。

 私達との関わりがあると聖教会に知れたら、ここの子ども達もただでは済まないだろう。


 すると、コルキが何か思いついたような顔をする。

 そして、大きく伸びをして、眠たそうに欠伸をする。


「まあ、あんた達の好きにしたら良いわ。それより、今日はもう遅いし、寝ましょう」


 そう言って立ち上がり、キトロンの前で膝を屈めて目線を合わせる。


「キトロン、今日はごめんなさい。あなたに沢山の負担をかけてしまったわね。こんな姉をどうか許して」


 コルキはキトロンを抱き締め、後ろ髪を優しく撫でる。


「お姉ちゃんは、私達の為に頑張ってくれているんだよね。私達の為に手を汚してくれているんだよね」


 キトロンもコルキの背中に手を回す。


「お姉ちゃんに比べたら、私は全然大丈夫。いつもありがとう」


 キトロンはコルキに笑ってみせる。

 とても気丈で――哀しい笑顔だった。


 それから、夜も更けてきたので、眠る為にキトロンは子ども部屋へと去っていく。

 私達はそれを見送り、再び広間の席に着いて、しばらく黙り込む。


 子ども達が眠る子ども部屋からは、啜り泣く声が微かに聞こえてきた。

 それが鳴り止み、私達はやっと話を再開する。


「……で、何でキトロンを退室させたんだ?」

「分かっているんでしょう? あの子にバレてしまった以上、今までの種明かしはしなければならないけれど、これから作る種の話はできないわよ」


 それを聞き、オールは溜め息を吐く。


「また嘘を重ねるのか」

「……仕方ないでしょう。ここまで来たらいっそのこと全部巻き込もう、なんてできないわ」

「……まあ、嘘を吐いているのはキトロンもだが」


 気丈に振る舞ってみせたあの笑顔が、泣き出したい気持ちを殺して作られたものだということは、ここにいる全員が気付いている。


「え、あれ本心じゃなかったの?」

「…………」


 アルステマは別として。


「向こうの嘘は君より大分可愛らしいけれど。やっぱり辛いことには変わりないだろう。大好きな姉が盗人だなんていうのは」

「…………」


 彼女もそんなことは分かっているのだろう。

 しかし、コルキの表情は曇るどころか、思いついた顔で微笑み出す。


「あーあ、そんなに言うなら、あたしだって決めたわ」

「ん?」

「あんた達、あたしの仕事手伝いなさいよ」


 何を言い出すのかと思えば――本当に何を言っているんだ?

 仕事――つまりは盗みを手伝えと?

 義賊の盗みを黙認さえすれど、それに加担するのはし兼ねる。


「違うわよ。今更そんなこと頼まないわ」


 だったら、何を手伝えと?


「魔国の悪事を暴くとか、魔王をぶちのめすとか――あんた達、要するに善いことをしたいんでしょう?」


 まあ、あながち間違ってはいない。

 善いことをしたい訳ではないし、魔国の悪事を暴いたり、魔王をぶちのめすことが善いこととも言い難いけれど。


「細かいことはどうでも良いの。今のところやることだって見つからないんでしょう? だったら、あたしの計画に加わりなさい」

「計画?」

「ええ、実は前々から決めていたの」


 一歩一歩こちらへ歩み寄り、私達一人一人の目を見て話す。


「いつまでもこんな生活を続けられる訳じゃない。いつまでも子ども達が安全とは限らない。だから、この国ごと変えるしかない」


 ――国ごと?


「聖教会の悪事を暴くのよ」

 

次回にご期待ください。


本作品は、不定期更新となります。次の物語をお待ちください。

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