使われていない番号
男がどこかに電話を掛けた。しばらくした後、電話向こうの音声が言う。
「現在、この番号は使われておりません。もう一度お確かめの上…」
受話器を置き、男は首を傾げる。
「おかしいな、確かにこの番号で合っているはずだが…」
再び、今度は番号を確認しながら掛ける。しかし、
「現在、この番号は使われておりません。もう一度お確かめの上…」
と、結果は同じだった。
「やはり間違えているのだろうか…。いや、そんなはずは…」
納得のいかない男は電話を切り、三度同じ番号に電話を掛けた。
「現在、この番号は…」
ガチャ…。
再度掛ける。
「現在、この…」
ガチャ…。
また掛ける。
「現在…」
ガチャ…。
また掛けた。
「何度掛けても一緒です」
ガチャ…。
「!?!?」
電話を切った後、今までと違う音声に気づき驚いた男は、何度目かの電話を掛けたが、二度とその番号に繋がる事はなかった。