友達
友達はいて普通。
ほとんどの人がそう思うだろう、だがそれは間違っている。
なぜだって
僕は、ぼっちだからだ。
1月。
中学から高校になり、もう半年以上もたっている。
クラスでもいくつかのグループができ毎日楽しく過ごしているやつがほとんどだが、僕は友達ができていない。
元々人見知りだったせいか、話しかけられても
軽く受け答えするぐらいで話が途切れてしまう。
もう、ぼっちの生活になれているせいかその事も今となっては何も気にならない。
『はぁ…はやく学校終わらんかなー』
休み時間が終わり授業のチャイムがなると同時に、僕は小さな声で呟いた。
よりにもよって、世界一いや、宇宙一大嫌いな数学の授業。
しかし、大丈夫だ。いつものように10分後
『先生、ちょっと吐き気がするので保健室行ってきます。』
『わかりました。一人で大丈夫ですか?』
『あ、はい。なんとか。』
教室を出るまで、いかにも病人のように歩いた。
出てすぐ、
ニヤリ(笑)
生まれつき病弱っぽい顔がこういう時役立つ。
『抜け出したのは良いけど、何しよっかなー。』
とくに決めていなかったせいか、いざ何かしようと思っても思い浮かばない。
『ん~~~~~~~、あー、思い浮かばん』
悩み過ぎてその場にしゃがみこんだ。
すると、なぜか僕の名前を呼ぶ声。
『龍真~~!!』
そう、僕の名前は、山谷龍真。ってなんで自分の名前を紹介してるんだ(笑)
いや、そんなことより、なんで僕の名前をよんでいるのだろう。
走ってこちらへ向かって来ている。
『おい、大丈夫か?もう吐きそうなのか!?』
この人心配してるのかな?
『とりあえず、トイレまでおんぶするわ!』
答える前に彼は、僕をおんぶしてトイレまで走った。
『もうちょっとやから、我慢しとけよ』
トイレにつくと、『俺ここで待ってんから』と言い僕はトイレの個室に入った。
たしか、彼は同じクラスの、竹中 翼。
運動もできて、成績もよく、友達も多い。
僕とは全く接点なんか一度もないはずの彼になぜここまで心配されてるのだろうか。
不思議に思いながら、何も吐いてもいないトイレの水を流した。
『おっ!スッキリしたかー?顔色良くなってるぞ!』
いや、さっきから何と変わってないぞ、おい(笑)
『うん。だいぶ良くなったよ。えっと、その・・
あ、ありがとう。色々と……』
『へ?何言ってんだよ、当たり前やろ。友達の心配することくらい』
と、友達??僕が?
『龍真、すっごいヤバい顔だったから、先生に言って走ってきたんだ。』
凄く真面目な顔で言う竹中 翼が嘘をついているようには見えなかった。
『お前さー、いつも教室で一人だろ?実は俺気になってたんだよ。寂しくないのかなーって。だから、今日から俺とお前は親友な?
友情の握手しよーぜっ!』
なんかすごい人。
『し、親友!?』
嬉しい。
『……んっと…うん。竹中君』
『翼でいいぞっーー!!』
『じゃ、じゃあー、……翼…よろしく…』
僕は握手をした。
『おーよっ!』
友達なんかできたのは小学生以来だ。
これからどんな毎日がくるのか考えながら僕は、久しぶりに心からの笑顔になった。