あれから
あの日から、クラリスはなんだか変わったと人々は言った。
昔よりも心から笑うようになったし、
リリィへの気持ちを隠さなくなった彼はいままで以上に積極的になった。
そんなクラリスの態度に最初はリリィに嫉妬していた姫君や令嬢たちは今では皆クラリスの恋を応援している。
相変わらずの鈍感なリリィは
クラリスのおかげでたくさんのお友達ができたと喜んでいたけれど…
そしてクラリスの両親であるマリーはもちろんシリウスもそんなクラリスを陰ながら応援していた。
さすがに厳しくしすぎたシリウスはあれから
1人落ち込んでいたけれど今ではきちんと親子仲良くやっている。
それもこれも
「リリっ!!」
…彼女のおかげだったりするのだけれど。
「クラリスっ!?どうしたの?たしか約束したのは明日だったはず…あれ?私間違えてたかな!?」
「…まさかのご本人のご登場だよ。」
「相変わらず派手な登場だよな…」
リリィは馬の駆ける音を聞き外に出ていた。
「ああ。約束したのは明日、間違っていないよ。ただ、ちょっといいものが入ったから…
手、だして。」
そっと手を出すリリィ。
その手のひらにクラリスは小さな木のみを三つ置いた。
鮮やかなオレンジ色の木のみ。
「もしかして…これ、妖精の実!?」
妖精の実。というものは妖精使いのなかでは有名な木のみであり、その実からは妖精が産まれてくる。
なかなか手に入ることはないと言われているためかなりレアなものの1つだ。
「リリ前、言ってたよね。妖精が産まれるところを見てみたいって。だから、
残念だけれど私には妖精は見えないから…」
たしかにリリィはそう思っていた。
しかし…
「あれ?それ…」
「ん?」
「う、ううん!ありがとうクラリス!」
「(クラリスに言ってたかな…)」