目を覚ませば
「う…うん…」
「っ…クラリス!」
「リ…リ?」
クラリスが目を覚ましたのはそれからしばらくたってからだった。
もうすっかり日も暮れてしまっている。
どうしてもクラリスが心配で帰れないリリィにメリーはクラリスの部屋の近くに一部屋用意してくれた。
着替えなどはマリーが取ってきてくれ、リリィはクラリスが目を覚ますまでずっと傍にいた。
途中でメイドさん達が交代すると言ってくれたけれどリリィはクラリスの傍から離れようとしなかった。
「リリィ…大丈夫?」
「気にしすぎは君の悪いところだね…」
「マリーも心配してたぞ。」
皆それぞれリリィを心配してくれていた。
「皆…ありがとうね。」
そんな妖精たちにリリィはにっこりと微笑んだ。
「リ…リ?」
目を覚ましたクラリスが最初に呼んだのはリリィの名前だった。
クラリスはゆっくりと体を起こすとリリィを抱きしめた。
「クラ…リス…?」
リリィを抱きしめるクラリスの体は震えていた。
「ごめん、ごめんなさい…
私を…1人にしないで…」
リリ…リリ…
とリリィの名前をつぶやき続けるクラリス。
そんなクラリスをリリィは優しく抱きしめかえした。
「大丈夫。大丈夫。」
マリーがいつもするようにリリィはクラリスの背中を優しく擦った。
「…大丈夫。クラリスは悪くないよ。」
クラリスは悪くない…
その言葉を聞いたクラリスは安心したように再び眠りについた。
…彼の瞳には涙の雫が光っていた。




