その後は
眠ってしまったクラリスはメイド達によってベッドへと運んでもらった。
リリィに抱きつくようにして眠ってしまったクラリスを見てメイド達は大層驚いていた。
クラリスは両親にですらこんなふうに甘えるようなことはなかなかないらしく、
そんなクラリスの姿を見て妃であり、クラリスの母親であるメリーは嬉しそうに涙した。
「ありがとう皆、私じゃクラリスを運べなかったから…」
「どういたしまして!リリィが押し倒された時はひやひやしたけれど…」
「本当…もっと警戒心を持って欲しいよ」
「優しいからなーリリィは。」
クラリスが眠ってしまった後リリィは妖精達に人を呼んでくるように頼んだ。
と言っても普通の人には妖精たちの言葉は聞こえない。
そのため妖精使いである母、マリーに伝えてもらったのだ。
温室でティータイムをしていたマリーは大慌てでメイド達に知らせてくれたらしい。
ついでに妃であるメリーも大慌てだったらしい。
クラリスがリリィを押し倒したことは、
リリィの内緒にしといてあげて。という頼みから妖精達は誰にも話さなかった。
国王様の耳に入ってしまうときっとクラリスはとても怒られてしまうから。
だから誰にも言わないであげて…というリリィの頼みから。
クラリスの父である国王シリウス・シャーリーは真面目で威厳のある人物だった。
大きなたくましい体に、強い心を持っており、民の声を聞き国を愛する素晴らしい国王だった。
優しい心をもつ人物ではあったが人にも自分にも厳しい人物でもあった。
もしそんな国王にクラリスが幼なじみの少女を押し倒した。なんて話が伝わってしまったら…
次期国王になるという自覚が足りないと言われて、クラリスが国王になれなかったら…
大切な友達の頑張りを知るリリィだからこそ
クラリスの足は引っ張りたくなかった。
それに…
「…どうしてクラリスはあんなことしたんだろう?」
彼女は大変な鈍感であった…




