気持ち
「…リリは、私が他の誰かと結婚してもいい
そう思っているんだね…」
うつむいたクラリス。
そんな彼の言葉は震えていた。
リリィはそんなクラリスを心配してそっと近づいた。
「クラリス?どうしっ」
どうしたの?
そうリリィが言い切る前に、クラリスは彼女の体を押し倒した。
リリィの体は芝生の上に倒れ込み、頭の両側にクラリスが手をついていた。
目の前には青々とした空。
そして…苦しそうで、悲しそうなクラリスが映っていた。
「っ…クラリス?」
突然の出来事にリリィは何が起こったのかわからなかった。
そんなリリィにクラリスは微笑んだ。
「なんでそういう事を言うの?リリ…
君とずっとに一緒にいるのは私なのに…
君を一番好きなのは私なのに…
リリだって、…私が好きでしょ?」
その笑顔はとても綺麗で、怖かった。
「クラリス…どうして、泣いているの?」
「っ…どうして?私は泣いていないよ。」
リリィの言葉にクラリスは驚いていた。
幼い頃から人前で涙を流してはいけない。
弱みを見せてはいけない。
そう言われてきたクラリス。
「でも、きっと心が泣いてる。」
リリィはそっと体を起こすと、そんなクラリスを優しく抱きしめた。
「っ…リリ…ごめん。っごめんなさい…」
リリィに抱きしめられたまま、クラリスは静かに涙をこぼした。
「ううん。大丈夫だよ…」
リリィはクラリスの背中を優しくさすった。
「リリ。ありがとう…」
そしてそのまま、彼はそっと眠りについた。