拾い物
「…うん。わかった、お仕事頑張ってね!」
ガチャ…。
「王子様との電話、終わったのかい?」
「うん!あれ?ミスト、サンは?」
サンが生まれてから数日が経った。
ミストの視線の先を見ればサンはローズと共にチューリップの花粉でおめかししていた。
キャッキャとはしゃぐ2人。
「ミストも混ざってくる?」
「楽しそうだけれど…僕は一応男だから。」
あっ…。というリリィにミストは大人な微笑みを一つ…本を閉じた。
3人の中では一番年上に当たるミストは
なかなかの頭脳派で、いつも難しい本を読んでいる。それは医学書だったり、魔法書だったりと多様なバリエーションであるが彼いわく知識はいくらあってもいいもの。だそうで
事実、ちょっと抜けてるリリィを一番に支えているのは彼…かもしれない。
クールで知的、愛用の眼鏡でさえ自分で作ってしまうのだから…なんともすごい人物だ。
「たっだいまー!」
「あ、ファイおかえりなさい!…それは?」
どこかから帰ってきたファイ。
彼は好奇心旺盛で冒険大好きなためふいに姿を消すこともしばしば…まあそれでもご飯の時間にはいつもきっちり帰ってくるのだから安心ではあるのだが…
「ふっふっふ…すげーだろ!」
じゃーん!とファイが葉っぱの包から出したのはピカピカ輝く銀色の金属。真ん中には赤い小さな宝石がついていて…
何かの紋章が刻まれていた。
「これ…いったいどこで…?」
見た目からして立派なそれに戸惑うリリィ。
「山の方に落ちてたんだよなー…」
「ふむ。リリィ。王子様に聞いてみたらいいんじゃないか?」
たしかには王家であるクラリスなら紋章でわかるかもしれない。
「そうだね!」
…
もしもし?